諏訪山岳会公式ブログ

諏訪地域の山好き、クライミング好きが集まって、ウラヤマからヒマラヤまで四季を通じてオールラウンドに活動しています。

鹿島槍ヶ岳天狗尾根

2021年05月08日 | アルパインクライミング

日時:2021年5月3日~5日
メンバー:U山、O石(記)

GWの悩ましい天候の中、ピンポイント好天を狙い天狗尾根で鹿島槍ヶ岳に行ってまいりました。


5月3日
翌日の好天を狙い、3日より大谷原より入山しました。
車は数台、すでにパーティーは入っているようです。


橋を渡り、赤岩尾根、東尾根への分岐を過ぎ林道を進むと
やがてそれも消え失せ大川沢の床にはいります。


右岸を進みますが一旦左岸に移り、また右岸に戻る際に観念して靴を脱いで渡渉。冷たい。


取水口の橋は渡りません。


右岸の残雪をへつりながら進むと荒沢出会いにつきます。


荒沢に入っても雪交じりの足場の悪い中をやはり靴を脱いで渡渉しながら出合から200mほどで天狗尾根のとりつきに着きます。赤布が目印です。
今回、新兵器としてネオプレーンソックスを使用しましたが、暖かく足元も安定するので一時的な渡渉にはお勧めです。(履いた場合とそうでない場合の比較をしたので確かです)


下部の藪漕ぎ1時間ほどで雪の被った尾根に出ます。
さらに1時間ほど進むといよいよ雪山の景色が始まります。


1時間ほどで第1クーロアールが現れます。
念のためロープを出して過ごします。


やがて雪が降り始め、すぐ近くで雷も鳴り出しました!(汗)
冷や冷やです。


視界も悪くなり今日の宿の予定にしている天狗の鼻は時刻的に難しそうなので第2クーロアール手前の2150mほどの適地で幕営することに。今日の行動は終了です。
コロナ禍のためテント2張り分の土木(雪穴掘り)工事をして床に就きました。

5月4日
朝から快晴。但し強風。
昨日は見えなかった第2クーロアールが目の前です。


痩せ尾根を越えて第2クーロアールもロープを出してやり過ごし
天狗の鼻に着きました。
思っていた以上に痩せた平坦地で、昨日の幕営地の方が快適に感じました。目指す北峰がバッチリ望めます。


天狗の鼻を過ぎて直ぐ、あまりの強風で一時停滞。頂上近辺の稜線を見あげれば雪煙がバリバリ上がっているではないか!これではとても先に進む気に慣れず、実のところここで二人相談して撤退を決めた。とぼとぼと戻り始めて間もなく、やはりせっかくだから最低コルまで行って北壁へのトラバース地点の目途くらい押さえてから戻ろうということになり(今回はその偵察が目的なのでした)、反転して進むことに。やがて風も治まり、やめなくてよかったと二人安堵して進む。

その最低コルから次の目標にしている北壁もよく観察できました。


痩せ尾根と嫋やかな尾根を交えて進みます。遠くに山小屋のような岩が見えます。まさしく小屋岩と言うそうです。


ここまでくるとお隣の東尾根がよく見えます。
3パーティーほどが取りついていました。
こちらは我々だけなのに、やはりあちらは人気ルートですね。


(あとで聞いたのですがその3パーティーの他のパーティの一人がヘリで救助されたようです。
県警ヘリが随分長く飛んでいて何度かヘリから声掛けされましたがローター音で聞こえませんでした。我々を要請パーティーと勘違いしていたのでしょうか?ご無事だとよいのですが…)

その小屋岩を越えると岩稜登攀が待っています。


残置ハーケンに一つハーケンを補完して


下部を右に回り込んで


30mほどの攀りです。


さらに雪稜を進みもう一つ岩稜を一越しますと


先に最後の岩稜が見えます。


ここは岩稜ではなく右側の急な雪面を登ります(ちょうど右側半分が雪でよくわかります)
やがて斜度も緩まり遠くに見える小さな雪庇を崩して超えるとそこが
荒沢の頭です。


荒沢の頭から天狗尾根の見返し


北峰までもうひと頑張り。東尾根の先行2パーティー4人がトレースを付けてくれていました。ありがとうございます。


北峰と南峰が望めます。気温は高く雪は腐ってはいないがアイゼンにこびり付くので慎重に。


歩いてきた雪稜。最後の見返し。


14時過ぎに北峰登頂!握手。まずはお疲れ様です。剱岳をバックに記念撮影




先月登った遠見尾根から眺めたカクネ里と北壁を、今度は上から見下ろすの図。感無量です。




さてと、さっさと南峰を目指しましょう。(遠い~)


雪に埋まった夏道をすすみます。


南峰に15時50分到着。再び握手。


布引山を越えて冷池山荘を目指します。


できれば今日は赤岩尾根を下って高千穂平で幕営としたかったけれど時間的に冷池山荘近傍の樹林帯で幕営することにしました。行動時間12時間越え…疲れました。
他のパーティーも近くに幕営していました。

5月5日
早くから天気が崩れる予報なので5時前に出発。赤岩尾根を下ります。


鹿島槍ヶ岳の双耳峰を目に焼き付けて下山開始。
予想より早く7時半過ぎから雨に打たれての赤岩尾根でした。


9時過ぎに大谷原に帰着。

今回、鹿島北壁を来年3月に計画する上での偵察登攀の意味もありましたが、北壁自体の登攀も大変であろうが、全体の行動時間の長さ、体力の必要性、下降ルートの労力、いずれもじっくり計画して臨まないと私には完遂は難しいものだと感じました。

しっかり備えて楽しみにしようと思う3日間でした。
ありがとうございました。


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