セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

くすぐったがり

2012年01月29日 23時49分14秒 | クエスト163以降
更新ギリギリでこの時間のせいか、何だか真夜中テンションなイザ女主話となってしまいました。おそらくコンマ一ミリ(ほんとにコンマ一ミリか?)エロスシリーズでございます。ところで皆様は、学校で体育館で全校集会等の際に、狭いところで体育座りで足が痺れたことはございませんか?そして、痺れを訴えると、友人たちが一斉に痺れ足に攻撃しかけてきませんでしたか?そんな非情な友人持ちは、ひょっとして私だけでしょうか?

 ここはリッカの宿屋の一室。明日の旅の仕度も終わった。後は、眠りが訪れるまで、思い思いのくつろぎの時間。
 ミミは、暖炉の傍の敷物の上に膝を抱えて座って、踊るように金色の光を放つ火を、飽きもせずに眺めている。寒いからもう少しあったまってから箱舟に帰ろっと、と思っているサンディは、そのミミの隣に座り、爪を磨いている。イザヤールはソファーの上に座り、図書室から借りてきた錬金術師の日記を読んでいる。
 やがてサンディは、爪を磨くのを終えてから、うっとりと暖炉の火を眺めるミミに視線を移した。瞳が炎を映して、濃い色の紫水晶の中に黄金を宿したかのようだった。
 だが、サンディの関心は、そんな美しい瞳ではなく、ミミの隙だらけの脇腹にあった。如何にもくすぐってください、と言わんばかりの無防備っぷりだ。
「ミミ、隙あり~!」
 声と同時にサンディの手がミミの肋骨の辺りに伸び、こちょこちょと動き出した。
「!?!!」
 突然の攻撃に、声も出せずに体をよじるミミ。やがて、笑いと悲鳴の入り交じった声を上げ始めた。
「や、サンディ、やめて、苦し・・・きゃ、あはははっ」
「ミミってホントくすぐったがりだよね~」
 サンディは、こちらは面白くてけたけた笑い、逃げようと転がるミミを容赦なく追いかけた。お腹を守ろうとハリネズミのような姿勢で丸まったミミだが、背中もくすぐったいので、逃れようがない。
 ミミも反撃しようと手を伸ばすが、サンディは案外素早い。軽やかに身をかわしては、手を伸ばしたことで空いた脇の下まで狙い始め、ミミはまた縮こまる。
「このアタシをタッチペン・・・じゃなかった、手でくすぐろーなんて百年早いっつーの!」
「サンディのいじわる~」
 日記に夢中になっていたイザヤールは、室内が急に騒がしくなったことに気付いて目を上げて、子猫のようにじゃれ合う二人を見た。いや、やんちゃな子猫と縮こまる小鳥(ミミの方が大きいが)と言うべきか。
 一人前のレディとやらが何をやっている、と注意するか、微笑ましいから放っておくか迷って、結局放っておくことにした。だが、日記を読むのは断念して、苦笑混じりで二人の様子を眺め思った。
(ミミを弟子にしたばかりの頃を、ちょっと思い出すな)
 見習い天使の寮やら集合講義やらで、いたずら好きな彼女の友人たちに翼をつままれて飛び上がったり、長い講義で痺れた足を軽く叩かれてじたばたするミミをちょくちょく見かけた。
 ミミがくすぐったがりなのは、痛みを極端なくらい恐れるのと、もしかしたら関係があるのかもしれない。師匠だったイザヤールは思ったものだ。おそらく、触覚が敏感なのだろう。ミミ本人もその弱点を気にしていたが、気合いと特訓でもすぐにはどうにもならなかった。
 触覚が鋭いのは、決してマイナスばかりではない、しょげる彼女に、よく言い聞かせたものだ。鋭敏な感覚は、危険回避に必要な能力の一つだ。弱点も活かすことで長所になるのだと、納得させるのにかなり時間がかかった。
 と、彼がそんなことを思い出していると、部屋がふいに静かになった。涙のうっすら溜まった目で恨めしそうに見上げるミミが哀れになったのか、サンディが攻撃の手を止めたのだ。
「ミミ~、アンタリアクションが面白いから、余計にやりたくなっちゃうのよ、シカトすればすぐ飽きるのに~」
 サンディ、なかなか勝手な言い分である。
「だって・・・くすぐったいのは我慢できないもの・・・」
 ちょっとすねた顔をするミミ。
「あ~、ゴメンゴメン、悪かったって~!可愛くしたげるから許して~」
 そう言ってサンディは、ブラシを持ってきて、散々転がって乱れたミミの艶やかな髪を、優しく整え始めた。機嫌を直し、嬉しそうに微笑むミミ。
 それもまた微笑ましい光景だったが、イザヤールは絵のようなその様子にみとれると同時に、少し複雑な気分も抱いた。ミミは、心を開いた者にしか気安く自分に触れさせない、それもよく知っている。サンディを信頼しきっているのだと、よくわかる。それが、ほんの僅かに羨ましい。
 それをミミが知ったら、羨望の必要はないのに、と、驚くだろう。イザヤール様も心から信頼しています、と。だが、親友への信頼感と、恋人への信頼感は、また別物なのだ。
 彼の腕の中に居るとき、ミミはおそらく、安らぎの他に、ほんのかすかに恐怖をも抱いている。彼女を食らいたいが堪えている狼に本能的に抱く、無意識の恐怖だ。それが、親友に触れられた時にはない、微量の緊張感をもたらす。
 だが、その緊張感は互いの恋心ゆえの産物でもあるから、それがまた甘美でもあり・・・だから、複雑な気分になる。
「はいっ、めちゃめちゃいいカンジになったワヨ☆ミミ、超キュート~」
 サンディはブラッシングを終えると満足そうに頷き、ミミに手鏡を見せた。
「アンタもたまにはポニテもよくね?」
「サンディこそ、髪型変えないの?」
「ん~、ストレートにするくらいはしてみよっかな~。それで美白したら、マジおねーちゃんとクリソツだかんね」
 他愛のない会話を交わしてから、サンディは伸びをした。
「あ~何か帰るのダルくなっちゃった。アタシ、今日は泊まってくワ。お風呂貸してね~」
 言うと同時に返事も聞かず、サンディはあっという間に浴室の方に行ってしまった。

 サンディが部屋を出ると、ミミはイザヤールの座るソファーの傍に立って、言った。
「あんなにくすぐって・・・サンディったら、ひどいですよね・・・」
 そうは言うものの、顔は楽しそうに微笑んでいる。ブラッシングされた髪が、いっそう緩やかに波うって、滑らかな艶を放っている。
「私はくすぐったりしないから・・・おいで」
 イザヤールは囁き、手を差し伸べた。素直に近寄ってきた彼女を引き寄せ、抱えて自分の膝に載せた。そして、絹のような髪の毛に、指を這わせた。触れられた瞬間彼女は、ほんの僅かに身じろぎした。・・・本当に、くすぐったがりだ・・・。
 彼が髪から頬に指を滑らせる間、彼女は瞳を潤ませながらも堪えていたが、その指が首筋に移動したとき、びくっと身を震わせ、呟いた。
「イザヤール様の嘘つき。・・・くすぐったりしないって・・・言ったのに」
 その抗議の言葉に彼は艶かしい笑みを浮かべ、彼女の耳元に唇を寄せて、囁いた。
「くすぐっているつもりはない」
「イザヤール様も、いじわる・・・」
 弱々しく呟き、ミミはイザヤールの手をつかんで、動きを封じた。
 すると彼は、そのまま顔を首筋に埋めて、今度は唇を這わせた。明らかに鼓動が早くなったとわかる動脈を、美しい線を描く鎖骨を、僅かに覗く華奢で丸い肩を、ほしいままに辿った。
 身をよじらせたが、つかまえた筈の手で逆に捕らえられ、身動きできなくて、彼女は言葉で儚い抵抗をした。
「くすぐったいもの・・・イザヤール様、絶対くすぐってるもの・・・」
 すると彼は顔を上げて、それこそ金色の炎を宿したかのように底に熱を湛えた瞳で、彼女の紫の瞳を見つめた。
「くすぐっているつもりはない」
 言った言葉は先ほどと同じだったが、その瞳の熱にミミはかすかに怯え、だが強烈に魅せられた。彼は潤んで煌めき、陰影を描いていく瞳を満足げに見つめてから、また彼女の首筋に顔を埋めて、囁いた。
「・・・くすぐったいだけか?」
 違う。くすぐったいだけじゃない。ほんの僅かに横に振られた頭が、それだけでないことを、はっきりと伝えた。
「・・・いい子だ」
 その言葉は、ほとんど声を出さず、息と、やわらかな首の皮膚の上で動く唇で、呟かれた。それから、唇はそのまま強く押し付けられ、やがて、白い肌の上に赤い印が刻みつけられた。
 ようやく顔を上げれば、陶酔しきった表情、潤んで今にも涙が落ちそうな瞳、首筋に刻まれた赤い印、そして、僅かに開いた、薔薇色の唇。
 それらが目に入れば、することは一つ。間もなく、重ね、食まれることで、薔薇色の唇も首の印くらいに赤くなった。

 もうすぐ、サンディが戻ってくる。イザヤールは名残惜しげにミミを膝から下ろしたが、互いに手は重ね合ったまま、見つめ合っていた。
 彼女にとっては、困った弱点かもしれないが、自分にとっては。
 彼は内心呟き、彼女の髪を優しくなでた。ミミのくすぐったい以上の反応を引き出し、見ることができるのは、自分だけ。やはりこの方がずっといいと、複雑な気分はとっくに引っ込んでいた。
「イザヤール様・・・くすぐったがりって、どうしたら直るんでしょう・・・」
「直さなくていい」
 おまえに気ままに触れられるのが、そして、恋の快楽を与えられるのが、私だけであるのなら。直す必要は、ない。〈了〉

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6 コメント

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フーウッ! (鈴山まさこ)
2012-01-30 00:16:44
いいのういいのう真夜中のテンションいいのう!
サンディが箱舟に帰らなかったのが残念w
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てへへ/// (津久井大海)
2012-01-30 09:35:17
鈴山まさこ様

おはようございます☆てへへ、真夜中テンションおっけーですか、ありがとうございます♪
ここはよいこも大丈夫な(かなり怪しい)のサイトですので、残念ながらwサンディ居るんですよね~w
「そしてよがあけた!」方式では味気ないですし(笑)
返信する
真夜中テンションWelcome! (オディール)
2012-01-30 22:30:51

私もかなりのくすぐったがりです…
習い事で普通に私がお茶飲んでて友達が、「ねーねー○○~」と呼んだとき、つんつんと私のお腹の横の部分をつついて…


ほかにも私がこちょこちょのツボにはまると、友達が20cmぐらい離れたところから手をこちょこちょ動かしただけでくすぐったくなります… (おかしいだろ…)



あー(´~`;)ベッドまでは行かなかったか…( ̄ー ̄)サンディ箱舟が家でしょ!(無理矢理厳しい)
ま…サンディが箱舟に帰ってもラウ゛ィエルさんが入ってくるんだろうな…(;^_^A
返信する
ウェルカム頂きましたw (津久井大海)
2012-01-31 00:04:05
オディール様

こんばんは☆ウェルカムとおっしゃって頂くと調子に乗るので、どなたか「ツッコミ」お願い致します(笑)

オディール様もくすぐったがりですか☆ああ・・・何となくわかる気がします・・・くすぐったい感覚って、直接触られなくてもぞわぞわ来る気がしますよね・・・。

お見事な大正解ですwサンディがもし箱舟に帰っても、ラヴィエルさんがやってくることでしょう。ラヴィエルさんが来なくても、宿屋メンバーが来ますw来ないとたいへんなことにw
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あぁ、凄い分かります (ちいはゲーマー)
2012-01-31 00:29:11
私もくすぐられるのが駄目で、くすぐられるとミミさんみたいなリアクションをとってしまうので相手は面白がって更にくすぐってくるんですよね・・・


そういえば以前コメントにも書いたのですが
うちの女主は天使のときはお酒が弱い以外にはコレといった弱点は無かったのですが、人間になってからは耳が最大の弱点になってしまい、耳元で声をかけられたり息を吹きかけると嬌声みたいなのが出てしまうんですよね

そして息を吹きかけられないように普段は髪の毛で隠しているんですが、夏になると時々髪を結ぶので耳が露になってしまい毎回サンディに息を吹きかけられてしまうという(笑)

女主~、今年の夏はイザヤール師匠も参戦させる予定だから覚悟した方がいいよ~(←ヒドッ)
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友とは容赦なき者ですかw (津久井大海)
2012-01-31 01:34:50
ちいはゲーマー様

こんばんは☆やはりリアクションが大きいと更なる迫害?に遭われてしまうのが世の常なのですね・・・無情ですねえ。

おお、そちらの女主さんが耳が弱いことは伺っておりましたが、人間になってからだったのですか~。何か理由話がおありなのかしら、わくわく♪
今年の夏がたのしみ・・・いえたいへんですねえそちらの女主さんw悩ましい声を聞いてしまったイザヤール様のリアクションや如何に☆
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