ママ研究者~人生まだまだこれから~

製薬会社で新薬開発に挑む研究者。2人の息子(6&0歳)がいます。ママ研究者(今は臨床系)、日々の思いを綴ります!

医薬品(漆原良一著)~その2

2008-08-02 22:59:19 | お薬、疾患、健康
読んだ本。業界研究シリーズ 医薬品 (日経文庫)
漆原 良一 (著)

【自分ポイント】前エントリーの続きです。→は私の意見。

○薬が人口動態に与えた影響
  1950年~1970年:抗生剤の開発により、感染症での死亡率が大幅に減少。
  1980年~降圧剤、高脂血症治療剤、糖尿病治療薬により、脳内出血、脳梗塞、心筋梗塞が減少。
 → 歴史を振り返り、医薬品開発の重要性を、改めて認識しました。

○萎縮する製薬企業
  バイオックスの副作用、集団訴訟以降、製薬企業はあからさまな利益追求を見せなくなった。(バイオックスの場合、副作用を指摘されながら、隠蔽したのが問題であった。)

○FDAによる副作用監視の強まり
  副作用が薬剤により引き起こされたかどうか、因果関係が不明なものまで、規制が及ぶはめに。。。
  → タイサブリとPMLなども、これに当てはまるのでしょうか・・・。
  → この問題は非常に難しいです。統計的に有意だと分かるためには、多くの使用例が必要ですが、そのために、犠牲になる方が出てはならない。
  → 一方、因果関係がはっきりしないまま、市場から薬が消えたため、症状が悪化する方もいる。ジレンマです。

○ブロックバスター狙いの見直し
  ブロックバスター志向により、研究開発の生産性が低下(筆者の見解。)
  これからは、手薄だった患者の少ない病気の薬の開発にも力が注がれてゆく。
  → ビジネスとして魅力的な新たな疾病を作り出し、研究資金を投入する前に、アンメットメディカルニーズ(未だ満たされていない医療ニーズ)を満たしていくべきだと私も思います。
  ただ、利益が上がらなければ、そのための研究開発費も捻出できない訳で、希少疾病などへは、国レベルの支援がもっと必要な気がします。

○専門医向けの付加価値の高い製品の開発
 例として、ブリストルマイヤーズが、リウマチ・癌専門医向けの製品に特化する姿勢を見せていることが挙げられています。
 → MRや臨床開発モニターを専門性を上げ、自社の商品と共に、質の高い情報を提供し、医師や患者さんの疾患に関する知識、治療戦略のボトムアップを測ることも医薬品産業の重要な使命だと思います。

長くなりそうなんで、、、続く。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿