闘うインテリアデザイナー

スタイルイズスティルリビングのデザイナー齊藤が日々の現場で考える家作りと庭づくりとは?闘うお仕事日記。

左官大好き

2006年08月11日 19時03分16秒 | Weblog
左官が好きだ。僕がつくる空間には欠かせない。写真に撮ってしまえば、左官の壁だろうと、無垢のフローリングだろうと、ビニールクロスや合板フローロングと変わらないし、ほとんどのお客さんはその良さを体験したことがないので、説明しようがない。価格はビニールクロスの4倍から6倍以上だと、尚更である。だけれど一度漆喰や、珪藻土の壁・無垢フローロングに触れると、その価値がわかっていただけると思う。床や壁が呼吸をしていることを実感する。
今日は、左官日和でした。特に漆喰はなめらかな表情をだすために、水引のタイミングを見ながら鏝をさばいてゆく。これが梅雨時なら本当に苦労するのだ。左官という言葉は、左は壁を仕上げてゆくのに左から作業するから(左利きのひとは右なのだろうか?)。官は、その昔、お殿様がおなりになっても、ひれ伏す必要がなかったからだとか。とにかく左官は水引きとの真剣勝負である。一度材料を練ったら、一面仕上がるまで手を離せないんですね。だからたとえお殿様が通ろうが、ひれ伏さなくてもよかったそうです。それが彼らのプライドであり、今に左官という名を残すことになったというわけ。
今は、私たちインテリアデザイナーが、積極的に店舗などの商業空間で土壁や漆喰を使うようになりました(昨今の和ダイニングばやりで)。でも、住宅では絶滅危惧種です。私たちが手がけるような、左官や無垢の床材や、造作家具・オリジナルのキッチンなどは、ハウスメーカーや分譲マンションの効率優先空間には適さないからです。