星屑の日誌2

SSとか書くブログ。たぶん。

Thisコミュニケーション第19話感想

2021-10-09 23:00:13 | Thisコミュニケーション
・修羅場
内輪揉めの巻き添えで崖下に落ちたデルウハ殿。その回収を巡って口論するよみとにこ。
前回ラストの「ギャーギャー」でしょうかね。

落としたにこが責任取ってしろ→殺されるかも知れないからイヤ→いつも無駄死にしているからいいじゃない

開幕から物凄い一撃をかますよみ。オスカー戦まで引き合いに出す。「いちこですら避けた攻撃に当たって死んだそうじゃない」。
ここでいちこに飛び火。物凄いカオになる。特にいつかが割って入った後は般若の顔。このコ女の情念持ってるわぁ。

ハントレスは少年漫画的な主人公陣営ではない、というのが良くわかるのが今回です。
ホラー映画の主人公グループなのでしょう。恐怖を前に喚きあうしかできない。

とりあえずいちこが作戦の方針をまとめる。イペリットも動き出し、そいつから崖下のデルウハ殿を守るという方向に行くが、
にこはいちこの命令を聞かない。
「お前よわい癖にこの前オスカーの攻撃防ぎやがって。お陰で私まで馬鹿にされた」
というカオで凄む。「というカオ」を描ける技量は凄い。
ハントレスの争いもホラーめいて見えるのは、こういう誰しもが抱く感情を彼女らが搭載しているからでしょうね。
「いそう」「ありそう」だから怖い。
一方のいちこは冷めている。「あーハイハイそういう八つ当たりをする訳ね。私は今どうするか必死に考えをまとめているのに
あなたはそういう考えで突っかかってくるのね。私はあれがあなたが弱い証拠としては考えていなかったのに」と軽蔑しつつ
「これと話しても話にならない。むつはどうしているのかしら」と視点変更。
よみとむつの怪獣大激突にちぢみあがっている。仲良しハントレスが崩壊しているわデルウハ殿が殺しにくるかも知れないわで
もう心は崩壊しかかっている。あまつさえ殺しでリセットした方がいいかもとさえバイアスかけてる。仲間に牙むく熊みたいな存在
だから駆除した方がいいという考えは怪獣大激突の前にいまや風前の灯である。
自己主張のないみちを加えイペリット討伐に向かうが、道中よみが切り出した先ほどの言葉への侘び(「いちこですら~」)は
まったく受け付けない。「あなた私を見下しているのね」で一刀両断。いちこにも問題はありますけどね。私は長女、いつも作戦
立ててやっているのに、と頭脳方向からよみ達を見下しているから、戦闘力方面で見下されるとプライドが傷ついて、怖い怖い
オンナの情念が見え隠れする。
「後悔するなら最初から言うな」。レベルE理論ではバカと言ったも同然。よみ、立腹するが負い目があるため反論できない。
だが負い目とは別に「力量ではいちこが下」という事実があり、事実を言っただけなのに噛み付かれたという不快感があり。
結果辿り着いたのはにこといちこへの怒り。ちょっと口が滑っただけであんなキレやがってという反省の対義語なよくない感情に
染まる。
で、どう償うかという結論が「敵全部倒しゃいいんだろ」。よくない。実によくない。にこは戦死率を、いちこは一枚劣る戦闘力を、
それぞれコンプレックスを刺激されて傷ついたから怒っているのに、それらの原因とはまったく別の飛行型イペリットを全滅すれば
いいんだろという、まったく噛みあってない思考法になっちゃっている。
ただ、ホラー映画の主人公グループとしては斬新なキャラですよね。敵を殺せるけど、味方にも亀裂を入れるという。

・覚醒
承認されるために反撃へ転じるよみであったが、肩を謎の一撃が貫く。
弾みで劣勢に陥る彼女へ、にこはここぞとばかり誹謗を浴びせるが無視される。
いつかは血液操作による手当てをよみに強く要請され、やむなく応じる。

新たなる力の発露っていうのは、敵の三下幹部がわぁわぁディスって居るとき音もなくそいつの間近に迫るもんですが、
Thisコミは仲間4を煽っている仲間3に訪れる。
いつかの血液操作で傷をふさがれたよみは、そのままなんとラーニングをする。
どころかワイヤー化という応用を苦もなくこなし、イペリット殺しを成し遂げる。
巨大な新型にして飛行型の怪物を一瞬で一刀両断して戻ってくるよみは、にこの煽り口調をそっくり借りて煽り返す。
なんでこのコ、敵にすべきコトを味方へやってるんでしょうね・・・。
新たな力を得てイキっている、としかいいようのないよみに、まずにこが拒絶を示す。
その態度で自分がどれほどよくない言動を取っているか気付けないよみは、頭(こうべ)を垂れないにこへと呆れと不快感を
露にする。
ああ、増長したな。こうなるともう聞きはしないと悟ったのは、いちこ。
なにか言うべきだ。ここで言わないと本当によみは1人になる。だがこの態度ではもう何も届かない。もう、救えないとはいつかの顔。
ただ困惑するばかりなのは、みち。
引いている3人に、よみは傷つく。これだけ強くなったのにどうして認めてくれないのか、と、

いつか「バケモンだな」

うしおがとらに終盤放ったような訣別のセリフ。色んな感情がこじれにこじれていまったよみはもう、モンスター的な、バケモン。

・選択
イペリットを殺しに跳躍するよみ。だが狙撃に遭う。デルウハ殿の狙撃に遭う。
ヒロイン格が新能力に覚醒して最初に見舞われるピンチが、師匠役の狙撃ってのもおかしな話だが、そうなった。
あとはもう手馴れたもんです。連載開始から1年半、ほぼ毎月やっていたハントレス殺しをデルウハ殿はやり始める。
まず闇夜に紛れ背後からいちこを殺害。次に物陰から明かりを投げ、にこといつかの元へイペリットを向かわせる。
戦闘力の高いにこの足を撃ち抜くコトも忘れない。なんで怪物と戦う隊の長が、隊員が怪物に殺されやすくする下準備を
しているのかよくわからないが、そういう漫画だから仕方ない。
イペリット特攻。崖の上は大きく壊れる。すかさずデルウハ殿、ハントレスに声をかける。

「誰か生きているか。何があった」

よくあるセリフで頭のおかしさを演出できる手法は流石。お前がだいたいやっといて、今きたような態度を取るな。
「助けに来たぞ!」で狙撃準備するのは「OK!(ズドン)」に似ている。
呼びかけに反応したのはいつか。マヌケといいつつ撃つと……血液で作った擬態だった。

吉永の言葉。デルウハ殿をギロチンにかけたあと彼が1人1人に伝言した「デルウハ殿の思うハントレスの弱点」は
いつか、そしてみちに成長を促していた。
視野を広く持ち、デルウハ殿の騙し討ちを予期したいつか。人と関わるため大事な帽子をいつかに渡したみち。
この2人の合作が狙撃を防いだ現場のその横で、にこもまた立ち上がる。イペ特攻の傷を、いつか直伝の血液操作で修復して。

想定外が多すぎた。デルウハ殿は考える。自分の状態は悪く、「敵」は心身ともにグレードアップしつつある。
狙撃したよみが弾丸をものともせず舞い戻ってきたのも最悪といえた。
彼女は覚醒していた。いつかの能力を得ただけなのに、見違えるほど強くなっていた。

事情を教えるようデルウハ殿にプレッシャーをかける、よみ。
もう記憶操作も7の殺害も、バレている。コンセプトさえも見抜かれている。

1つ間違えば死亡。デルウハ殿の答えは。

こんな俺でも、選んでくれるか。

・鮮血の結末
自らの得た強さに驚きつつも、魅了され、忘れたくないとも揺れるよみ。
実力を評しつつも、トラウマを抱えるコトの危険性を指摘し、理想の環境で再び覚醒をさせてやると約束するデルウハ殿。

にこ。みち。いつか。散乱する彼女らの死骸の中心で、デルウハ殿の銃を頭に突きつけられたままよみは。

忘却が一番いいと思ったから、俺を選んだのだろうと問いかけるデルウハ殿に、そうかもねと相槌した。

節子。こいつヒロインやない。
敵や。教祖を狂信する強敵や。



彼女らがよりかかる大岩の遥か後ろには、7番目のハントレスの死体、リボンをつけた少女が相変わらず横たわっていた。
すぐ傍に歩み寄ってきたのは。
リボンをつけた少女。岩陰から見えるデルウハ殿を静かに見つめる。




色んな漫画を読んできたけど、主人公陣営がここまで揉めに揉める話は見たコトない。
人間としての正しい道を模索するため意見が対立して勝負に、みたいなのはよくある。
でもこっちはただただ「自分が傷つけられたから傷つけ返す」。いちこ、にこ、よみね。
むつはいよいよ追い詰められているわ、みちは言い争いに不干渉だわ。
唯一穏健ないつかですら、「いまやるべきコトやろうぜ……?」と話変えるのが精一杯。

この集団、破滅しか見えないんですが……。

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