スポイチ編集長日誌

最近はGTAオンラインの攻略ばっかりです。
日付そのままで修正・追記したりします。

中身よりも「誰の提案か」が重視されるという現実

2008年05月05日 | その他
だったらそれを逆手に取っちゃうべき。

それに、なにか改善案を出した時に速攻で否定されたからといって、それでガッカリしたり絶望する必要は無い。


「儲けを生み出す企業は、さわやかに生きていける」――reponの日記 ないわ~ 404 NotFound(暫定)

僕は仕事でどれだけ情報共有できるかについては、いろいろと思うところがあって、社内でそのような仕組み作りを訴えたのだけれど、周囲からは総スカンだった。
「与えられたことを与えられた範囲でやれば良いんだ」
「repon のくせに生意気だ」
「何を言いたいのかわからない」
というのが大半の反応だった。
絶望した。



身につまされた。

reponさんの職場の事情は分からないけど、でも絶望するの早い、早いよ。
世の中には、自分の提案を却下されても全く懲りずに新しい提案をどかどか出してくるヤツだって居るってのに。

「repon のくせに生意気だ」って「ジャイアンかよ!?」とか「はてぶ」のコメントとかにもあったけど、
「~のくせに生意気だ」の「~」を「新人」とか「若手」とか「ヒラ」に変えれば、自分の経験として思い当たる人は多いと思う。
つまり、提案の「内容」を見てではなく、「言った奴」が誰なのか、どういう「職位」の人間なのかを理由として判断する人間って本当に多い。


僕はプログラマーではなく一般事務で経理の人間だから、経理の状況や知識を共有したかったのだが、誰もそれに乗ってこなかった。
XPとか、すごいと思って解説したのだけれど、「はぁ~?あんたヴァカ~?」という反応だった。
この程度かと思った。



常に工夫をしながら、効率化とか生産性の向上とか目先のこと以外も考えながら日々仕事する人って、思いの外少ないんじゃないかと思う。
このときのreponさんの周囲の人も、「変な提案されるとマジで迷惑」とかって、おそらく本気で思ってたんじゃないかな。
なんで彼らが迷惑がるのかと言うと、

効率が良くなって生産性が高まる

仕事が早く終わる

上司:「あれぇ?キミたち仕事無いのォ?ヒマなのォ?」

リストラ・人員整理の口実に

てなことは、上がアホだとよく起こる。マジで。

だから「業務の効率化だの余計なこと提案すんじゃねーよ。オレの仕事が無くなったらどうしてくれるんだ」とか本気で思ってる社員って多いから。昔ながらの大組織だと特に。
「機械化のせいで労働者が失業した」という史実も大いに影響している。
あと、時間をかけて仕事して、残業して残業手当をもらわないともはやまともな給料にならない企業とかも。そういう会社では「効率化」自体がタブーになっている。

それに、特に高齢層の中には、「業務の効率化=ラクをするための手抜き」だと本気で考えていて、そういうことを提案してくる社員、特に若手に対して露骨に嫌な顔をする人もいる。

分かりやすい例を一つ挙げると、今まで数人がかりで手作業で残業してやってたような書類作りを、新しくマクロとか組んで一気に終わらせるように「改善」した社員が居たとして、でもその人が仕事が早く終わるから定時で帰ったら即「サボリ野郎」扱いされて最低査定になるとか、そういうことはアホで保守的な上司や経営陣が居て、しかも残業が常態化してるような会社だとよくある。

で、そういう会社だと、上の例のように早く仕事を終わらせてもいいことはないし、へたすりゃ他人の仕事を手伝わされるので、みんな残業前提でセーブしながら仕事をするようになる。

似た例に、熊から逃げる村人の話ってのがある。

村人が集団で羆から避難しようとする。
でも羆はどこに隠れているか分からない。
村人は集団で固まって歩く。少しでも集団から離れると羆に襲われると考えるから。
最後尾の人は集団から遅れまいと早く歩こうとする。
だが先頭は集団から突出するのが怖いから、わざとノロノロ歩く。
結果、集団全体がノロノロ歩きになり、却って危険地帯に長くとどまることになる…。

残業が常態化している会社では、先頭の人、つまり早く仕事を終わらせられる能力を持った人が、突出しまいとして、わざと「ノロノロ歩き」をしている可能性がある。
こんなのは、とても生産性の向上にとって良い話ではない。

他にも「職場で改善案を出してみたら、却って迷惑そうな顔された」って経験持ってる人は多いと思う。


繰り返すけど、同じことを言ったりやったりしていても、「誰の発案なのか」とか「誰が言ったのか」のほうが重視される、という現実がある。

特に、規模が大きくて硬直した組織だと、社員個人による下からの意見を汲み上げるシステムも伝統もない、という場合が多い。
そういう組織では、あえて上に意見するような者に対しては、repon氏も言われたように、「○○(新人・若手・ヒラ)のくせに生意気だ」とか、「場の空気を乱す」「チームプレーを重んじない」奴だ、なんていうレスポンスをされることが多い。

さらに、もっと完全な上意下達、トップダウンの組織では、下位の人間が「何らかの”上”にとって不都合な事実」を発見して、そのことを”上”に報告したとしても、報告した人間が怒られるか責任を追及されるため、「都合の悪い事実を発見しても上に報告しないで無視・隠蔽する」という行動をとる者が増える、という現象がしばしば発生する。
まして、”上”が寝ていたり休んでいる時間帯においては、”上”の機嫌を損ねてしまうことを恐れて、報告もせず結局何もしないという選択が取られる可能性が増す(スターリンが死んだ時にも似たような逸話がある)。こういう組織では、誰か”下”のほうの人間が何かの異状に気づいたとしても、誰にも報告せず結局何もしないまま、そのままの状態で突っ走って最終的にずどーん!ということになりがちである。最近もどこかで聞いた話だが…。


だから僕は徹底して新しいことはせず、与えられた環境で、個人の力で、出来る限り情報共有する方法を考え、実装化した。
鬱々としていたが、それしか道はないと思った。



要するに縁の下の力持ちタイプ。
だけど、このタイプがきちんと報われるかどうかは、周りの人間、特に上役の能力がモロに影響する。
つまり、上司が無能だったり、上のご機嫌を窺うだけのイエスマンだと、そういう陰の努力のことなんか全然見てもいないか、それどころか「なんだ勝手なことしやがって」と睨まれ、どっちにしろよい評価はされない。


数年経って、一人の社外役員が、職場の構造を一変させてしまった。
僕がやりたいと思っていたことをほとんど提案して実現してしまったのだ。
「○○さんは革新的だ」「すばらしい」というのが社内評価だった。
僕は唖然とした。



やっぱり、それが「誰の発案なのか」「誰が言ったのか」のほうが重視される、という現実がある。

だけど、自分が考えていたアイデアが周囲の人に理解されなかった一方で、同じことを実現した「実力者」が賞賛を浴びている光景に「嫉妬」とか「くやしい」って気持ちは分かんなくはないけど、reponさんのやろうとしていたことは正しかったということだし、それはセンスがあるってことなんだから、別にくやしいとかうらやましいとか思う必要無いよ。全然無いよ。
逆のパターンになるよりははるかにマシだ。

逆パターンってのは、自分の職掌をはるかに超えるような”改革”を提案して周囲を引きずり回す形で強引に実行に移してはみたものの、結果は完全に失敗で、業務を大混乱に陥れた挙げ句に、エライ実力者から「それ違うよ。全然違うよ。」などとキツク注意されてしまい、それどころか実力者自らが出馬して、自分の出しゃばりのせいで混乱していたシステムをたちまちのうちに修復してしまったばかりか、以前よりもはるかに効率の良いソリューションを提案して実現なんかしちゃったりなんかして、「さすが実力者の○○さんはすごいですね!それにひきかえ…」なんて同僚から嫌味を言われた日にゃ、もう立つ瀬が無いじゃん。
自分がそんなことになったらもう職場に居られないばかりか、毎晩布団をかぶる度に「ああ~っ!」ってなりそうだけど、でもそういうことをやらかしたヒトに限って、懲りずに元気よく出勤してそうだよね。
それどころか、以前の失敗をいちいち気に病んだりすることさえなく、「お前は提案マニアか?」ってくらいに、しょーこりもなく次々と新しい「提案」をしていそうだし、実際にそういうヤツって居る。

だけど、現実にはそうやって自ら次々と「仕掛け」をして動いていく人のほうが、たま~に成功する「提案」を評価してもらえて、”上”からのウケが良かったりもするんだよね。失敗のほうが多いくせに。

それに、誰の手柄か、誰の実績かなんてことはあんまり気にしないほうがいい。特に自分が若かったり、職位の低いうちは、そんなことを気にしていると却って損をしてしまうことが多い。

でも、一度でもそういう報われない事態を経験すると、「何やっても無駄」と以後すっかり諦観して無気力になったり、工夫なく日々を過ごすようになってしまう人も居る。

もったいないと思う。

手柄を立てたい、貢献したい。そういう功名心とか、工夫して仕事をしたり効率を高めて評価されたい、という意識は誰でも持っていて、それを実現するために周囲の人に働きかけるというのは全然悪いことじゃない。

だけど、その提案をされる側の人も同じように功名心を持っているってことを忘れないようにしないと人は動かない。

だから、何かを提案して、相手に動いてもらいたい時には、その相手が「やらされてる感」じゃなくて、「自分も参加しているんだ」という「コミットメント感」を持てるようにすることが大切。
で、それに参加をするとどんなイイコトがあるのか、ということを感覚で理解させることも。

人にとっては、「実際にどうなのか」ということじゃなくて、その人が「どう感じるか」「どう受け取るか」ということのほうが重要だから。

結局、やるのは人間だから、動かそうとする相手先の人間が「動かされてる感」を感じ取ってしまうと、途端に拒否の姿勢を示すことが多い。
だから、「お前ら俺の笛の音で踊れ。でも手柄は俺が独り占めだけどな」とか、もしもそういう態度をほんの少しでも見せたら、他人は動いてくれない。絶対に。

人間は、そういうのを敏感に見抜いてくる。

それが「上から下」への指示だったなら、まだ業務命令という形でどうにか人は動いてくれるけれど、同輩や、まして「上」の人間に対してそれをやってしまうと人は動かない。それどころかアラを探して徹底的に妨害を加えてくる。それこそ、「意地でもやらない」ぐらいの勢いでだ。


歴史上、誰誰の発案とか発明とされている事柄であっても、実はもっと早くに実行していた人が居た、という例は数多い。
いや、「考えていた」とか「提案した」だけならば、ほぼ例外なく他の誰かがとっくにやっていたと思う。
だけども、実際に評価されて名を残すのは「アイデアを実行に移して実現し、なおかつその功績を認められた人」なんだよね。
つまり、「実行に移せる行動力」と、それを「認めて評価してくれる人」の存在が不可欠。


「使いやすい」人間、言い換えると「ていよく安く使える」人間のことを、「上」の人は重宝がって使おうとはするけど、だからと言って彼らを「評価して引っ張り上げてやろう」とはなかなかならない。
かつては、それでも、「定年までは安泰で、そこそこの生活が出来て…」という神話があった。

今は、もう無い。

だったら、「もっと大きい仕事をやらせてみたくなる」ような人間を演じてみたらいい。
そうすれば、石頭で保守的で自己保身しか考えていない上役なんかよりも、もっと上の「実力者」に引っぱり上げてもらえる。

「評判をつくる」という戦略がある。

まずは「そのように見える」ことが重要であって、
「ほんとにそうなのかどうか」はとりあえず今はどうでもいい。
だって、そんなのどうせ誰にも分からないから。

最初から携わらせてさえもらえないよりは、一度でも機会が得られるように動いたほうがいい。
それに実際にやってみないと人は育たない。
だから、若いうちに大きい仕事に関わったという経験をしておくべきだと思う。

一度、意に沿わない現実に直面して、モチベーションを下げてしまうか、それとも二の矢をつげるか。
大抵、そこが分かれ目になってくる。

泣いたり悔しがったりする必要なんか、無いよ。



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