「作戦などいい」

「副団長への救援が間に合わぬからといって手をこまねいてはおりません。既にＧＳＫ麾下のシーガル部隊の尖兵たる者が、テストと陽動を兼ねて某掲示板への突入をはかる手はずとなっております」
「貴公はシーガル部隊と気易く言うが」
「方便ですよ。閣下が市大の生き残りの為、学部改組が必要とおっしゃり実践なさった。それと同じです」
「それは違うぞ。横浜は学部改組と学期制改革を以て初めて総合大学としての市大を認めた。教員達のやり方では所詮民間レヴェルの運動でしかなかった」
「シーガル部隊という言葉が、改革派の戦意高揚につながるのです」
「ならば、理学部創設から十年を経ずしてまた三学部統合などというのは、これは事務局の無能を示すことだ」
「わたくしに向かって、よくおっしゃる…。御覧を」
「作戦などいい」
「わが陣営にとって、赤字理論とあり方答申は最終防衛線です。それに対して、市民の会は三つのコースから反撃することが予想されます。ここを論破されば、改革論は裸同然です。その前に、巨費を投じた市民アンケートで市立大学の存在意義を問う。この作戦の利点は、既に学生アンケートで立証されたように、経費も時間もかからずに世論誘導に絶大な効果を得られることにあります。この計画の御認可にサインを」
「やっておっていまさら…。大規模予算からの誘導アンケートを使えば、世論操作もやさしかろう」
「はい」
「勝ってな、どうするつもりか」
「せっかく減った教員です。これ以上増やさずに従順な人種だけ残します。事務局の永遠の存続の為に、関内を汚さぬ為にです。そのコントロールには、船頭は少ない方がよろしいかと」
「貴公知っておるか。極悪君という男を」
「極悪君？旧世紀の卒業生ですな」
「独裁者でな。学長賞を獲り損ねた男だ。貴公はその極悪君の尻尾だな」
「私とて、学祭の飲酒禁止運動に参加した者です。教員がただ自治を言うだけでは、大学の軟弱を生み、軟弱は大学を滅ぼします。教授会の自治が何を生み出しましたか？官僚の増大と情実の世を生み、ひたすら予算を浪費する棚買いを育てただけです。今次騒動のような共食いを招いたのも、全て教員の軟弱故です。市大はもう、限界を超えましたよ。私は青葉区で指揮を執ります。極悪君の尻尾の戦いぶりを御覧下さい」
「…言いぐさは色々あるものよ。ボケモンは何を考えているのか。極悪君は身内にチクられたのだぞ」