コラム・スノーマン~これじゃ悟りは臨めますまい

忘れたくない、或いは一刻も早く忘れたい日々について

ダイナマイトな思い出

2006-11-25 | コラム・エッセー

昨晩久しぶりに香取慎吾の夢を見た。



最近滅多に見なくなっていたのだが、学生時代はそれはもう毎晩の様に慎吾が夢に出てきたものだ。



そう、私は自他共に認める「香取慎吾オタク」であったのだ。



慎吾の夢を見て朝幸せ気分で目覚めると、顔面のみならず枕まで鼻血まみれ、なんて事はザラ。年に一度のコンサートでは目に涙を溜めながらマッチ棒サイズの慎吾に向かって、肩が外れんばかりの勢いで星型ペンライトを振るという、熱烈ファンであった。



慎吾が飯島直子が好きだと一言言おうものなら地下鉄の中で飯島直子の吊革広告にガンを飛ばし、学校で友人が「駅で慎吾の等身大のポスターを発見した」と言おうものなら、帰りにそのポスターを見るのに午後の授業あたりからソワソワしはじめていた。(しかも見るだけのはずがそれを目の前にした途端、神がかりな速さで盗んでしまい駅の通路を猛ダッシュで逃げた)



もしもこの時代の私に、占い師が「アナタの臓器を売れば彼とデート出来ます」と言ったとしたらすぐさま「たった一つでいいのですか。」と聞き返したに違いない。



今でもハッキリと記憶しているエピソードがある。



忘れもしない、あれは期末テストの前夜。



数学が大の苦手だった私はその夜の勉強にかけていた。とにかく少しでも勉強しなければ確実にヤバイ。中間テストの数学も散々だったのだから、今回こそは少しでも良い点を取らなければならなかった。崖っぷちであった。



ところが。



その夜は番組「SMAP×SMAP」で新曲“ダイナマイト”がテレビ初披露される日だった。“ビデオ録画して後日見る”なんて行為はファンにとっては市中引き回しの刑にあたる重罪だ。ビデオは見ながら撮る、が基本。ましてや新曲発表なのに見逃す訳にはいかない。



私は本当であれば一時間でも惜しい中、スマスマを見た。



「きゃ~~~!!!」



オタクな私はその新曲のかっこよさに見ただけでは飽きたらず、振り付けを全て覚えたいという衝動を抑えきれなくなってしまった。



ヤバイ。勉強しないといけないのは分かっている。



でも!!でも!!!!



………私は勉強道具を尻目に、ものすごい集中力で居間で一人振り付けを練習し始めた。 



親はもう寝ていたので、部屋の電気は消し、コウコウと光るテレビの前で何度もビデオを巻き戻しては踊り続けた。



いつしか数学の教科書は、流れ落ちる汗を引かせるための団扇と化していた。



12時半を過ぎた頃、バンッと隣の部屋の扉が開き、母が鬼の様な形相で言った。



「こんな遅くまでドタバタ何やってるのっ!!バカッッ!!」



私は一瞬我に帰った。が、続けて母はこう怒鳴った。



「下の階に響くでしょ!座布団敷いて踊んなさいっ!!」



母のこの言葉で思い出しかけた数学の事は再び脳の片隅へと追いやられた。



私は暗い部屋の中、座布団の上で片手にビデオのリモコンを握り締めながら汗だくでクルリと回ったり、膝を使ってクニャリとかがみこんだりし、ついには“ダイナマイト”の振り付けをほぼマスターするまでに至った。



その後はハードなレッスンによりぐっすりと眠る事が出来た。



……………………



私は自分の人生の中で生まれて初めて0点を取った。



テストが返却される時、数学教師がため息交じりで私の名前を呼んだので、あまり良い点数ではなかったのだろうとは思ったが、まさか0点とは思わなかった。



しかもただの0点ではない。



そのテストは二部構成であったため、私はなんと200点満点中0点をとってしまったのだ。



答案を見つめながら私は軽く震え、何度も「これはアルファベットのオーだ」と思い込もうとしたがダメであった。



もともと基礎がなっていないのだから前の晩にどうあがいても焼け石に水であったのかもしれなかったが、それでも、あの時勉強していればいくらナンでも一ケタは取れていただろうに……。



ゼロ。無。



…仏教では「無」の状態が尊ばれるが、答案の上でそんな悟りを開いてしまった私には、極楽どころか空しい補習が待っているだけであった。





スマップの“ダイナマイト”。



ダイナマイトで粉々に砕け散ったのは、どうやらバカな私自身であったことに、私はその時初めて気付いた。





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浪漫現実逃避行

2006-11-23 | コラム・エッセー

親友のYと、一泊二日で地獄谷で有名な登別に旅行に行ってきた。



この頃やたらと現状にヤラレ気味であった私達はまさに「昭和枯れススキ」のさくらと一郎状態だったので、温泉旅行というよりは精神的には“湯治”に近いものがあった。



私達はとにかく終始マッタリとした時間を堪能した。



マッタリの最上級、「マッタレスト」とでも言おうか。



温泉につかってマッタレスト。



風呂上りに足ツボ刺激しながらマッタレスト。



土産屋を冷やかしながらマッタレスト。



Yに至ってはよもや天然温泉で化学変化を起こしてしまったのではと疑わしくなる位、地方のゆるキャラの様になっていた。



おまけに出発前日に「まだ何も準備してないよ」という私のメールに対し「温泉なんて洗面道具と代えのパンツさえあればなんとかなるから」と返信したにも関わらずいきなり代えのパンツを忘れたY…。ゆるいにも程がある。



一方この私も部屋で寝転びながら鼻をほじったり何発もオナラをしたりと、“自分の中にわずかながらある女性としての機能”を完全に眠らせてしまった。 



これぞ温泉の正しい楽しみ方である。



そして待ちに待った豪華な部屋食!



新鮮な刺身、グツグツと煮える鍋、オコゲの出来た炊き込みご飯……。私達は目を輝かせた。



たとえ肌の張りは失おうとも食い意地だけはピンと張り続けている私とYはそれらを一気に平らげ(Yはさすがに少し残していたが)、一時間後には妊娠5ヶ月位の(Yはさすがに4ヶ月位だったが)腹を丸出しにして(Yはさすがに浴衣で隠していたが)畳にデーンと寝転んだ。



夜は「THE・枕投げ」により童心を取り戻す予定であったが、逆に年寄りの如く10時半には爆睡してしまっていた。



朝。



6時半には起きて朝風呂へ。なんて清々しいのだ!



けれどチェックアウトの時間が近づくにつれ、私達の表情は次第に曇っていった。



「ううう…“いい旅夢気分”気分が終わってしまう……」



バスは私達をリアル地獄谷へと運ぶであろう…。



結局現実逃避しただけでリフレッシュまでは出来なかった二人は帰りのバスの中で早速次回の旅行の予定を立て始めるのであった。



それにしても札幌に着いてから間違えて部屋の金庫の鍵を持って来てしまった事に気付いて慌てて旅館に電話をかけていたY。



実は彼女の中に温泉の如く天然ボケの源泉が湧き上がっている事に当の本人はまだ気付いてはいない。





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女の実力は・・・・

2006-11-12 | コラム・エッセー

女の実力は、末端に現れる、という。



しなやかな毛先、艶やかな爪先、滑らかなかかと……オウ、トレビ・ア~~~ン……ってエーーーーッ、かかとー!?



だめッス、自分、速攻アウトッス!!かかと速攻カサついてますぜ、兄貴ぃぃぃ!!



…という事で今年の冬の最大の目標は、「かかとをカサつかせない事」に決定した。



とりあえず『クリームonクリームwithクリームinクリーム・ヒューチャリングクリーム』、でいこうかと思っている。





ついでに言えば毛先と爪先もほんとは軽くアウトなのだ。



これはもうかなりあちこちベタベタな冬が予想される。



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