池田 悟≪作曲家≫のArabesque

・・・深くしなやかに・・・(音源リンクしてます)

15人の奏者のための《監禁》完成

2017-02-02 | 作曲/大編成

断絶と無窮動の著しいコントラストを持つこの作品は、二つの作品の改訂である。
一つは「無伴奏ヴァイオリンのための《DNA》(2015)」。
冒頭3分間は4つの音高だけで成る(Gの開放弦、D線のAs、A線のFis、E線のF)。DNAの4種の塩基:アデニン[A]、グアニン[G]、シトシン[C]、チミン[T]のように、これら4音は組合せ・奏法・リズムを変えながら繰り返され、曲の後半、16分音符の螺旋によって繋がれ、曲全体が有機的に変容・発展していく。

二つ目は弦楽四重奏曲《監禁》(2016)。
これは「無伴奏ヴァイオリンのための《DNA》」の改訂。その際タイトルも変更したが、生命体はすべてDNAの鎖に監禁されているようなものだという意図による。
この状態を表現するために、使う音を厳しく制限した。それゆえ、この曲の音組織は単に「ピッチの限定」と言うよりも「ピッチの監禁」と言える。

この弦楽四重奏曲が最後に「15人の奏者のための《監禁》(2017)」にリメイクされた。監禁された者はごく限られた持ち物、自由しか許されない。この曲のように。
(この作品は ABLAZE Records "SINFONIA SERIES VOL. 2" 作品募集に選ばれ、チェコのブルノ・フィルハーモニー ヴィルトゥオーゾによる録音のオファーを受けたが、諸事情により辞退した)



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