池田 悟≪作曲家≫のArabesque

・・・深くしなやかに・・・(音源リンクしてます)

小林倫子 ヴァイオリン・リサイタル

2010-11-27 | レビュー/演奏・CD・ジャズ

浜離宮朝日ホールで「小林倫子 ヴァイオリン・リサイタル」を聴く。ピアノ:ゴードン・バック
ヘンデル「ソナタ ニ長調 HWV371」は遅い第3楽章が秀逸。フーガのテーマがピアノになるとヴァイオリンに埋もれたのは、ふたが半開だったせいか。

ファーガソン「ソナタ第2番」第1楽章のシリアスで緊密な構成に舌を巻く。
第2、3楽章は、バルトークに似る。フィナーレの最後、E線のハイポジションからクレッシェンドしてフォルティッシモで一気に終わる所は、ピアノがもっと鳴って欲しかった。
曲が緊密な反面、圧縮されてやや窮屈にも感じた。

マクミラン「キス・オン・ウッド」はピアノもヴァイオリンも冒頭から響かせ方が巧妙で、そうかと思えばプリミティヴなユニゾンなど意外性があり、さすがに現代の作品。

ルクー「ソナタ ト長調」ではピアノのふたは全開で、却ってヴァイオリンも輝きを増す。第1楽章が大真面目にフランク風習作なのに対し、第2楽章以降は自由さが増し、けれどピアノの和音のトレモロの多用などはファーガソンとは反対に冗長で、ルクーが自分の感情に溺れて表現のインフレを起こしている感。
ヴァイオリンが弱音器をつけているのにピアノは弱音ペダルを使わないのは中途半端。しかしルクー21歳の何という大作!

==フランス人oguyさんのコメントに返した僕のコメント==
「表現のインフレ」とは、表現を貨幣にたとえた、比喩的な言い回しです。一つの表現を長く続け過ぎると効力を失う、と。



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