池田 悟≪作曲家≫のArabesque

・・・深くしなやかに・・・(音源リンクしてます)

第21回静岡県高文連ギター・マンドリン合奏講評

2017-11-04 | 音楽団体/静岡県・江戸川区

皆さんの演奏はどれも素晴らしく、今年も聴かせて頂き幸せだった。
生まれたばかりの赤ちゃんのような演奏も魅力的。無欲なところが良い。

さて、今回は器楽曲と歌の違いについて話そう。
分かり易い例が変奏曲。最初にまず、大抵歌そのものが提示され、その後、器楽的なテクニックの変奏が、時に何十パターンも繰り広げられる。
皆さんが演奏した曲には「歌」のスタイルを貫いたものもあった。
あるパートはひたすら主旋律、他のパートはひたすら伴奏…音楽のスタイルとして最も単純な形。歌であろうと無かろうと、それは「歌」のスタイル。
一方、現代的で斬新な出だしだと思っていたら、中間部でやはり緩慢な歌になってしまう曲も少なくない。
僕自身、学生時代、作曲の先生からよくからかわれたが、所詮「農耕民族」だから、歌が好きなのか。
器楽には、歌には及びもつかない途轍もない可能性がある。
歌のレベルで満足するな、器楽万歳!

ところで、同じ高校生の音楽でも、マンドリン・ギターや吹奏楽は、合唱に比べると、レベルに差が感じられる。
合唱コンクールを聴くと、課題曲は平易だが、全国大会に出るような学校の自由曲は「音楽内容」「細部の正確さ」という点で、プロ並み。
器楽がなかなかそのレベルにまで至らないのはなぜだろう。
音を出せるようになるだけでも大変だから?
だれでも参加できるという訳ではなく、人材が限られるから?
いずれにせよ、私たちは自覚しなくてはならない。「自分たちのやっている音楽は、必然的に幼稚になりがち」と。
―ソクラテスの「無知の知」ならぬ「幼稚の知」―
それを恥じる事は無い。自覚することが向上につながるのなら。

そもそも音楽は他の芸術に比べ、進化が最も遅く出る。
進化が早い順に、文学(字を書くだけだ)、美術、建築、そして音楽。
手間暇がかかるものほど進化が遅い。保守的だけれど、感動も大きい。拍手喝采される。
手間暇かかる器楽万歳!
でも合唱に学ぼう。ほら!合唱もモノトーンだ。
静岡県高等学校文化連盟「第21回演奏会:ギター・マンドリン部門」で私が述べた講評/掛川市生涯学習センター



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