池田 悟≪作曲家≫のArabesque

・・・深くしなやかに・・・(音源リンクしてます)

カルテット、改訂スイッチ

2009-05-07 | 作曲/小編成

1月中旬、オーストラリアの尺八奏者アンドリューさんから「尺八室内楽作曲コンクール」入賞作品演奏会のご報告メールを頂いた際、Ki-e を演奏した弦のメンバーが僕の曲に感銘を受けたので、カルテット作品があれば送って欲しい、とあった。
僕は「カルテットと、カルテットを含む室内楽曲が1曲ずつあり、どちらも未発表なのでパート譜は無いが、両方なのかどちらか1曲か…」と返信した。
だがその返事は頂けず、メルボルン近郊で大規模な森林火災が発生し、案じていたが、最近「尺八室内楽」のHP.が更新され、次回のコンペの要項が発表されていたので安堵していた。
そんな中、今月5日の晩に氏からメールがあり、「今年はしっちゃかめっちゃか(topsy-turvy)だったので返事が遅れてごめんなさい、弦楽四重奏団のチェリストがカルテットの作品を望んでいる、Finaleはみんな使える、音源が聴ければ助かる」との事。加えてKi-e へのお言葉も添えて下さった。

カルテット作品はFinale2005で作成したので、音源は2009年版に移さないと良い音で聴けない。その作業をしながら改めて聴き直すと、当時は気付かなかった欠点が明確に見えた。時が客観的な自省力を養うのか。演奏家からのオファーだから普段以上に審美観が働くのか…。
「良くやった、全力を尽くした」と思っている間はだめで、「あそこも、ここも、全部ダメ」と思っていてもそれは批判でも何でも無く、「正にここがダメなのだ」と、ハイライトのように見えて初めて未熟な自分を解決できるのだろう。
終結部を大幅に直した。周到に積み上げてきた最後に、幼稚な落書きがあるような物だ。そこは全摘出した。他に持続の1拍単位での細かい調整。持続は音楽の呼吸だ。

翌6日の夕方、作業を終え、2005年版で浄書したプリント用の譜面ファイルと、2009年版に移したプレイバック用のファイルをメール送信した。
後者は音さえきちんと再生されれば良いとの考えで、譜面のレイアウトは考慮していない。そこまできれいにするには更に2~3日かかってしまう。
前者はすでにきちんとした譜面に仕上がっていたものに、今回の改訂を施したもの。これを2009年版のFinaleでプレイバックすると貧弱な音にしかならないばかりか、せっかく整えた装飾音の配置がガタガタにずれてしまい、やり直しの憂き目を見る。
「2005年版をプレイバックしなければならない時は、ファイルをコピーしておくことをお勧めする」と、理由も添えてメールした。「森林火災で心配だったが、HP.を見て安心した」とも。



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