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ひとりごとです

演劇 ◾️◾️ガラスの動物園・消えなさいローラ◾️◾️

2023年11月13日 | 演劇

英文科卒なら

読んだことありますよね?
テネシー・ウィリアムズの
「ガラスの動物園」
 
いえ、それが読んだことないのです
しかもお芝居も観たことがないという…
 
演劇に携わっている人
演劇ファンなら絶対観たことあるはず
演劇界でも
アメリカ文学史上でも
重要な作品
 
しかも渡辺えりが台本・演出・出演
これは観なくては…とチケットを買った
 
 
バイオリン、コントラバス
バンドネオンの生演奏が
とても贅沢だと思った
デジタルではないエレクトリックでもない
アコースチック・サウンド
空気の中に溶けてなくなっていくのが
寂しい
人の肌の温もりのような優しい音
本当に良かった
 
 
 
「ガラスの動物園」
口うるさい母親にコントロールされた
息子と娘
三人の暮らしがものすごく閉塞感を感じる
非常に息苦しい
 
子ども2人を応援したり
母親に共感したりする気持ちになれない
ただただ、暗く息苦しく
ちょっと突き放し気味に観てた
そんな時間が結構長かった…
 
 
「消えなさいローラ」
これは別役実が1994年に書いた
「ガラスの動物園」の続編
「カッコーの巣の上で」への
オマージュも感じる
 
 
 
ネタバレ感想
 
尾上松也、吉岡里帆、和田琢磨という
今をときめく役者さんたちが
揃っていて、眼福、眼福
しかし、渡辺えりが偉大すぎた
声量、存在感、オーラ、お芝居
全てが異次元の存在感を示していた
 
そして終盤までずっと
閉塞感続く息苦しい暗い空気が続いて
ローラとジムのやり取りで
パーッと明るくなって
ジムの優しさに涙が出そうになった
 
ローラの宝物のガラスのユニコーンを
ジムが壊してしまった時
ローラは無邪気に
「角が折れてこれで普通の馬になったわ」
と、喜ぶ
 
角があるから
自分は他の馬と違うから
除け者にされる
上手くやっていけない…
足が不自由な自分をユニコーンに
重ねていたのだ
 
でもジムが角を折ってくれたおかげで
他の馬と一緒になれて嬉しい
(ジムが自信をくれたから
私はもう除け者ではない、怖くない)
 
そんなローラを見てジムはさらに続ける
「君は異端なんじゃない
スペシャルなんだ
他の人にない輝きを持っている」
そしてローラにキスをする
 
…ここまでのシーンでもう
(それまで孤独で陰気で苦しかった分)
涙が出るくらい嬉しくて
救われた気分になれた
こんな人との出会いは本当に
人生の宝物だよね…
と、思っていたら
  
ジム、まさかの婚約中???
そこでズドーンと突き落とされて
 
トムはお母さんとローラを
見捨てるように出ていって
何の救いも感じないまま終わった
 
みんな、この後どうなったのだろう???
それがとても気になるエンディング
 
こんなスッキリしない
救いのない終わり方の戯曲が
英文学史に残る名作なのか…
 
それとも自分の自由を奪う母親から
逃げ出したことは
彼にとって祝福するべきこととなのか?
 
 
別役実が後日譚を書いたのも分かる
「ローラはあれからどうなったのか」
「ガラスの動物園」を観た人なら
みんなが気になるところ
 
「消えなさいローラ」は
「ガラスの動物園」に負けないくらい
救いがなかった…
 
ローラ
ロボトミー受けさせられたとは
そんな、コントロールできないくらい
凶暴になってたの?
そしてトムを薬殺したの?
お母さんも亡くなったみたいだけど
これも闇に包まれている
 
ローラには幸せになってほしかったなあ
彼女には幸福を手にするに
値する人だと思うのだ
切なすぎる
 
 
「ガラスの動物園」は
名作と言われているので
爽快感のある大団円のお話かと
思っていたが
救いの感じられない宙ぶらりんの
作品だった
 
このようなスッキリしない
もどかしい作品が人気があるというのは
意外とみんな
救いのなさ、やりきれなさ、無力感
…のような
ネガティブな感情を残す作品が
好きだということなのだろうか
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