やさしい浄土真宗の教え(苦笑の独り言より)

浄土真宗の教えを、できる限り分かりやすく解説したものです。「苦笑の独り言」から独立させたものです。

§1 「仏教の目的」「浄土門の目的」「浄土真宗の目的」

2009-10-09 15:18:14 | 教義
§1 「仏教の目的」「浄土門の目的」「浄土真宗の目的」

 結論から申しますが、

★「仏教の目的」は「成仏」である。

ということになります。

仏教の「八万四千の法門」は、全てこれを目的にしていて、
「成仏を目的にしない仏教」は「仏教」とは言えません。

これは、

★極楽浄土に往生して、そこで「成仏」する。

「浄土門の目的」「浄土真宗の目的」であっても変わることはあり
ません。

極楽浄土は「成仏」するための場所であって、(注1)
阿弥陀仏が衆生を救済するために立ててくださった「本願」は、
最終的に衆生を「成仏」まで導くシステムなのです。(注2)

そして、親鸞聖人が「横超」と仰っているのは、
このシステムを明かにした
「願成就一実円満の真教」=「真宗」を意味してるのです。(注3)


【今日のまとめ】
 1、「仏教の目的」は「成仏」である。
 2、極楽浄土に往生して、そこで「成仏」する、
  「浄土門の目的」「浄土真宗の目的」も「成仏」である。
 3、極楽浄土は「成仏」するための場所である。
 4、最終的に衆生を「成仏」まで導くシステムを明かにしたのが、
 「横超」=「願成就一実円満の真教」=「真宗」である。



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※本文は可能な限り簡潔に書くので、詳しい資料や解説は以下の注
をご覧ください。

注1 『無量寿経』において極楽浄土は、仏にまみえて菩提をきわ
めつくし成仏する場所である。

●実にまた、アーナンダよ、かの国に生まれた菩薩たちはすべて、
仏にまみえることと法を聞くことから遠のかず、菩提をきわめつく
すまで、(地獄などの悪い境界に)墮落することのないものであ
る。また、彼らはすべて、そのときから以後、(前)生のことを記
憶していないものとはけっしてならないであろう。ただしかし、
ちょうど私がいま(現にここにあらわれて)いるように諸仏・世尊
が世間にあらわれれるとき、五つの濁りが起こっているそのような
カルパの乱れのなかに(生まれたいと)、かつて立てた誓願(に
よってそれを誓った菩薩たち)は別として、である。
『無量寿経』サンスクリット文和訳


注2 極楽浄土に往生した人が成仏するためのシステムは以下のよ
うになっている。

1)世尊よ、もしも私の仏国土に生まれるであろう衆生逹の全て
が、大いなる涅槃にいたるまで、正しい状態にあることに決定した
ものとならないようであったら、その間は、私はこの上ない完全な
正覚を覚ることはないであろう。
『無量寿経』第11願サンスクリット文和訳

 私(=阿弥陀仏)の仏国土(=極楽浄土)に生まれる「全ての衆
生」が、大いなる涅槃(=成仏)に至るまで、正しい状態にあるこ
とに決定(=正定聚)したものにならなければ、阿弥陀仏は仏にな
らないと誓っている。

2)実にまた、アーナンダよ。かの国(極楽)に既に生まれ、現に
生まれ、やがて生まれるであろう衆生逹の全てが、涅槃にいたるま
で正しい状態にあることが決定している。
それはなぜかと言うと、そこにおいては、いまだ(覚りに至ること
が)決定していないものと、邪な状態にいたることが決定している
ものの二つの集まりが、存在しているということもないし、仮に示
されることもないからである。
『無量寿経』第11願成就文 サンスクリット文和訳

 そして、その本願が実現して、極楽に生まれる「衆生逹の全て」
が、「涅槃」にいたるまで正しい状態にあることが決定している。
 さらに、極楽においては、覚りに至ることが決定しないものと、
邪な状態にいたることが決定しているものは、存在しないことも示
されている。

 1)は阿弥陀仏の誓願。2)は阿弥陀仏の誓願が実現したことを
証明する釈尊の言葉であり、 いずれも極楽浄土に往生する
「全ての衆生」が、大いなる涅槃(=成仏)に至ることが、決定し
ていることを証明する文である。


注3 『教行信証』信巻参照

●横超断四流といふは、横超とは、横は竪超・竪出に対す、超は迂
に対し回に対するの言なり。竪超とは大乗真実の教なり。竪出とは
大乗権方便の教、二乗・三乗迂回の教なり。横超とはすなはち願成
就一実円満の真教、真宗これなり。また横出あり、すなはち三輩・
九品、定散の教、化土・懈慢、迂回の善なり。大願清浄の報土には
品位階次をいはず。一念須臾のあひだに、すみやかに疾く無上正真
道を超証す。ゆゑに横超といふなり。『教行信証』信巻

ここに書かれている内容を簡単にまとめると、

【聖道門】【方便】「竪出」・・大乗権方便の教、二乗・三乗迂回の教
     【真実】「竪超」・・大乗真実の教
【浄土門】【方便】「横出」・・三輩・九品、定散の教、化土・懈
慢、迂回の善
     【真実】「横超」・・願成就一実円満の真教、真宗

ということになり、

【聖道門】【方便】である「竪出」、
【聖道門】【真実】である「竪超」、
【浄土門】の中でも【方便】である「横出」、

これらに対して、

【浄土門】【真実】である「横超」が、
「一念須臾のあひだに、すみやかに疾く無上正真道を超証」するシ
ステムである、
「願成就一実円満の真教」=「真宗」であることを明かにしている。