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Sliding Cafeマスターのブログ

”ハチハチ”再認識

DTMの世界では、もう何も説明はいらないほど超定番音源ローランドSC-88Pro(通称「88(ハチハチ)」)。事実上GM(GS)音源の世界標準といえます。それくらい世界に普及している音源ゆえ、打ち込み中心の音楽でSCシリーズが使われていたりすると「あ~、このギターの音色は88(ハチハチ)の31番だね。」という具合にすぐにバレてしまうし、「まっ、とりあえずデモだし、88でいっか・・・」というように、安いお手軽音源的な使い方が多い。しかも安価で高音質、多機能なソフトシンセ、サンプラーが主流となった現在においては88の評価はますます低くなる一方で、「なんだぁ88かよッ、安ッ!」と非常に不当な扱いを受けるようになってしまい、音楽制作の現場では(通信カラオケは例外)、88使用御法度的な雰囲気もあったりするんです(使用音色がすぐバレちゃうから)。

DTMの定番中の定番音源であるがために不当な評価を受ける事の多い88なんですが、なんだかんだいっても使い勝手は非常に良く、とりあえず(あ~やっぱり”とりあえず”だ)、88で作っておけば凡庸性もあるし(他人とMIDIデータでやり取り出来る)、ほとんどの楽器音色が網羅されているので、一応どんなジャンルでも対応可能。日頃から非常に重宝しております。あって当たり前のような存在なので、ある意味空気みたいなものか・・・。

僕にとって88はあって当たり前の機材なので、良いとか悪いとか特に何も感じるところはなかったのですが、3年前にレイ・ハラカミの「Lust」というアルバムを聴いて、改めて88という音源を再認識しました。というか衝撃を受けました。レイ・ハラカミは一貫してSC-88Proのみで電子音楽を創作しているアーティストなんですが、その存在を知るキッカケとなったのは、「Lust」というアルバムが何週間も渋谷HMVでヒットチャート1位になっているのが気になり、インストでしかもダンスミュージックでもないし、クラブ系でもないし、最初はなんでこんな音楽が渋谷HMVのヒットチャート1位なんだろう・・・、と疑問に感じたのでした。このアルバムを購入して家でじっくり聴いてみても正直最初はあまりピンとこなかった。で、何回か聴いているうちに、レイ・ハラカミ独自の音世界にすっかりハマってしまった。噛めば噛むほど味わい深くなるように、聴けば聴くほどその良さがわかる。聴く度に驚きと新たな発見がある音楽ですね。だから聴く度にどんどんハマっていく訳です。それにしても、巷に溢れているパッと聴きのいい音楽だけではなく、レイ・ハラカミのような音楽がヒットチャート1位になる事自体素晴らしいと思います。世のリスナーの方達の趣味、センスの良さを感じますね。
Lust
Rei Harakami
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この「Lust」を聴いて以来、すっかりレイ・ハラカミの大ファンになってしまい、これ以前のアルバムもほとんど買いました。その独自の音世界は本当に素晴らしいのですが、やはりSC-88Proをああいう使い方をするという事にかなり衝撃を受けました。88の使い方が上手いとかそういうレベルではなくて、電子楽器で(88だけで)あそこまで個性を打ち出せるという才能にただただ感服。ましてや、安いお手軽音源を使っている印象など全く無い。むしろレイ・ハラカミの音楽に88は絶対に欠かせない、といった印象。しかもPCも初期のiBookとEZ Vison(いわゆる初心者向けの簡易シーケンスソフト)で制作しているという。

ん~、やっぱり道具(機材、楽器)の善し悪し、高級品か安物かなんて関係ないのだな。

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コメント一覧

マスター
僕自身もレコンポーザーは使った事ないけど、レコンポーザー使いのプロの仕事姿を見た時は衝撃を受けました。まさにコンピュータープログラミングって感じ。

ループベースの楽曲制作は、とにかく今の流行に敏感でないと、逆に安っぽい陳腐な音楽になっちゃうからねぇ。ファッションセンスと同じような感覚が必要だね。
acarranger
(顔文字がタグと勘違いされたなw)

ループ素材の組み合わせでしょーもないジングル作ったりしてみましたが、ファミレスの愚にもつかぬ駄作BGMの足元にも及ばぬ、犯罪級の駄作にしかなりませんw

ソフトウェア音源に興味深々なのですが、なにせDPでMIDI制作ができないもので・・
あまりにもVisonの操作体系に慣れ親しみ過ぎて、未だに移行できていません。

僕ら以前の人たちはカモンのレコンポーザ98とかが主流だったりしましたね。
懐かしいw
acarranger
GarageBandもSoundtrackProも持ってますが、これらで音楽制作は僕には無理です(>_<)
ループ素材の組み合わせでしょーもないジングルを作ってみましたが、ファミレスのBGMみたいな愚にもつかぬ駄作にさえ、到底及びませんw

未だにソフトシンセに手を出してないのは、DPでMIDI制作ができないからです(>_<)
あまりにもVisionの使い勝手が手に馴染み過ぎていて・・

SC-8850っぽく聴こえないぐらいにまで使い倒してます。
マスター
acarranger

クールなループ素材をパズルのように組み合わせて曲を作る手法が主流になっている今だからこそ、逆にMIDI打ち込みによる曲作りが再評価されるべきだと思います。

GarageBandのようなループベースのソフトを使えば、音楽理論的知識が全く無くても、センスさえあれば誰でも簡単にクールなトラックを作れてしまうからね。

やはりMIDI打ち込みベースの楽曲制作は職人の領域だと思います。センス、技術、知識、経験などさまざまな素養が必要となります。だから楽器演奏と同じで、プロとアマの差がもの凄く出てしまう分野なのだと思います。
acarranger
ウチもMIDI打ち込みだけは未だにSC-8850とStudio Visionです。
というか、DPでMIDI制作はどうしても思い通りにできません。
(ましてやCubaseやLogicなど、まっっったくダメ)
このため、OS9ブートのMacがいつまで経っても手放せません。

オーディオを扱う制作はもっぱらDPなんですが・・
(シングルトラックのエディットはPeak)
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