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本庶佑さんノーベル医学生理学賞を授賞!

2018-11-09 | 日記

 ノーベル医学生理学賞の授賞理由となった発見は、画期的ながん治療を生んだ。今回の受賞でさらに、がん治療の現場が変わる可能性がある。
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 37歳で教授に就任したエリートで、俳優と見紛うルックス。順風満帆な研究者人生を歩んできた京都大学高等研究院特別教授の本庶佑(ほんじょ・たすく)さん(76)が、ついにノーベル医学生理学賞に選ばれた。がん細胞を攻撃する免疫細胞にブレーキをかけるタンパク質「PD-1」を発見したことが、画期的ながん免疫療法に結びついた。がん細胞を除去したり破壊したりする従来の手術、放射線、抗がん剤という3本柱の治療法とまったくアプローチの異なる研究は、がん治療の常識を覆す希望の光となっている。

 ついに、と書いたのには理由がある。1999年10月、京大医学部長だった本庶さんは既にノーベル賞の有力候補だった。当時から本庶さんは、鋭い眼光と白衣姿が印象的な「求道者」の雰囲気を湛えていた。

 92年に今回の授賞理由ともなったPD-1を発見以来、毎年のように有力候補として注目されてきたが、本人は記者会見で、「僕はメディアと違ってやることがたくさんあるので、自分で意識することはほとんどなかった」とユーモアでかわした。

 研究については自他ともに厳しい態度で臨むことにも定評があるが、ノーベル賞の賞金などを原資に若手研究者を支援する基金を設立する考えも表明するなど、一貫して面倒見のいい親分肌として知られてきた。東京大学の助手から大阪大学の教授に抜擢されたときには東大の学生6人が阪大に移り、阪大から母校の京大教授に転任する際も門下生7人がついていった。

 玄人はだしの腕前で知られる趣味のゴルフに加え、研究室対抗のソフトボール大会には4番ピッチャーで出場し、本庶杯と名付けたボウリング大会を開催するなど、溢れる人間味で教え子を引っ張ってきた。

「『元気になった。あなたのおかげだ』と言われる時があると、自分の研究に意味があったと実感し、何よりうれしい」

 会見でこう語った本庶さん。発見したPD-1が生み出したがん治療薬「オプジーボ」は、何が画期的なのか。「がん治療設計の窓口」事務局長で医学博士の中村健二さんは語る。

「手術で切り取るか放射線でぶっ壊し、あとは抗がん剤で追い詰めるというのが従来のがん治療の戦略。小さな取り残しが再発や転移につながらないよう、抗がん剤で追い詰める考え方ですが、がん細胞は『死んだフリ』をして、抗がん剤の治療が終わったら、また動き始める。しかも抗がん剤は正常細胞まで大きくダメージを与えるので、がん細胞と闘う免疫細胞や抗酸化機能などの生体防御機能まで損なわれてしまう」

 しかし、オプジーボは発想が全く異なる。中村さんが続ける。

「普段免疫細胞は不良品のがん細胞を見つけるとやっつけるんだけど、がんが大きくなるとなぜだか攻撃しなくなる。PD-1が免疫細胞にカバーをかけて働かなくしていたのです。じゃあカバーを取ってしまおうというのがオプジーボ。免疫細胞を働きやすくして生体防御機能を大きくし、がん細胞との綱引きに勝とうということです」

 がんは、常に存在する不良品たるがん細胞と免疫力のバランスが崩れて起きる生活習慣病とも言える。しかし、免疫療法は“亜流”扱いされてきた。中村さんは言う。

「免疫療法ではオプジーボなどの免疫チェックポイント阻害剤の他に、がん細胞と闘うNK(ナチュラルキラー)細胞をリンパ球の培養によって増殖、活性化させる方法があります。これも京大出身の研究者が実用化に成功したもので、劇的な効果も報告されています。しかし、専門医の多くはまだ標準治療にこだわり、免疫療法など他の治療法に患者が接するハードルは高いままです。今回の受賞がそんな意識を変え、免疫療法が身近になる起爆剤になればと思います」