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蛍光灯

2015-03-24 | 日記

蛍光灯は前項で学んだ真空放電の原理を用いた照明器具です。この項では蛍光灯の仕組みについて説明します。

蛍光灯は白熱電球に比べて消費電力が少なく寿命が長いので、私たちの身近で広く使われていますが、その仕組みは白熱電球に比べて複雑です。

keikoutou300左図のように蛍光灯の内部は水銀蒸気で満たされていて、壁面内側には蛍光物質が塗られています。管の両端にはフィラメントでできた電極があり、この電極に高電圧がかけられるとフィラメントが加熱され電子を放出します。これが放電です。

放出された電子は水銀蒸気の中の水銀原子に衝突し、紫外線を出します。紫外線は人間の目には見えませんが、蛍光管の壁面内側に塗られた蛍光物質に当たると、目に見える可視光を出します。こうして蛍光灯は光って見えるのです。

いったん放電が始まると蛍光灯は安定的に動作しますが、最初に高電圧が必要なので点灯管と呼ばれるものと安定器と呼ばれるものを使って複雑な操作が行われ、このために最初の点灯に数秒の時間が必要となるのです。


陰極線

2015-03-24 | 日記

放電

本来は電気を通さない絶縁体に高い電圧をかけることによって電流が流れる現象を放電といいます。*

気体放電

気体中で起こる放電を気体放電といいます。カミナリなどがそうです。液体中や固体中で放電が起こることもありますが、たいていの場合、放電といったら気体放電のことです。

電流は普通は導体の中の自由電子が動くものです。気体中には自由電子がわずかしか存在しないので普段は電流が流れません。しかし強い電圧を加えるとわずかな自由電子が加速され他の原子に衝突し、原子を陽イオンと電子に電離し、その電子がまた他の原子に衝突し、電離させます。このようにして次々に発生した電子は陽極(+極)に流れ、陽イオンは陰極(-極)に流れ、この流れが電流となります。電流とは電子(電荷)の流れのことです。

真空放電

ガラス管に電極を封入し、陽極と陰極の間に数千V(ボルト)の高電圧をかけて、管内の空気を真空ポンプで抜いて圧力を下げていくと、両極間に放電が起こります。管内の気体が光り、電流が流れるのです。この放電を真空放電 * といいます。

  • 1*105Pa(≒1atm 気圧* くらいの日常と同じ圧力の空気では放電が起こりにくいですが、徐々に管内の圧力を下げていくと、
  • 1*103Paくらいで放電が始まり、赤紫色の細いひも状の光が発生します * 。
  • さらに圧力を下げていくと、光は管全体に広がり、
  • 1*102Paくらいになると今度は光に縞模様が現れ、陰極付近が暗くなっていきます。内部の圧力をこのくらいにした放電管をガイスラー管といいます * 。ガイスラー管においては光の色は中に封入する気体の種類によって違ってきます
  • さらに圧力を下げていくと管内の光は薄くなっていきます。
  • 1Paくらいになると今度はガラス管壁、特に陽極付近が黄緑色の蛍光を発するようになります * 。内部の気体が光るのではなく、電子がガラス管壁に当たることによって黄緑色に光るのです。ですので内部に入れた気体の種類に関係なく黄緑色に光ります。光るのは気体ではなく管壁です。内部の圧力をこのくらいにした放電管をクルックス管といいます * 。

陰極線

クルックス管においてガラス管壁、特に陽極付近が蛍光を発するのは、陰極から何かが出て陽極方向に向かい、ガラス管壁にぶつかるためと考えられ、当時の研究者はこの何かを陰極線と名付けました。

電子の発見

陰極線の研究は19世紀末に盛んに行われ、イギリスの物理学者J.J.トムソンは、陰極線を構成する粒子の質量を測定し、陰極線に磁場や電場をかけたときに曲がる方向から粒子が負電荷を持つことを発見し、陰極線の正体が電子の流れであることを示しました。陰極線の研究によって電子は発見されました。陰極線は電子線とも呼ばれます。電子の発見は、それまで物質の最小構成単位であると考えられていた原子がさらに分割可能であることを示しました。

陰極線の性質

陰極線には以下の性質があります。

  • 陰極線は目に見えない。*
  • 蛍光物質に当たると蛍光を発する。
  • 写真フィルムを感光させる。
  • 気体の分子や原子に当たって電離させイオンを作る。
  • 直進性がある。
    陰極線の進路をさえぎるように金属製の障害物を置くとその形と同じ影ができます。陰極線に直進性があることを示しています。右図は影が見やすいように陽極側の壁を大きくし蛍光物質を塗ったクルックス管です。またこのとき、陰極と陽極を逆にすると影が現れません。このことから陰極線は陰極から陽極に流れていることが分かります。
  • 電場をかけると電場の方向と逆向きに曲げられる。
    陰極から飛び出した電子はスリットにぶつかるものとスリットをくぐり抜けるものに別れ、くぐり抜けたものは直進し陽極側の壁に当たります。このとき陰極線が見えるように蛍光板を置きます。ここで陰極線の進路に垂直に電場をかけると電場と逆向き、つまり + 極側に曲がります。+ 極側に引き寄せられるのは陰極線が負の電荷を持つからです。
  • 磁場をかけるとフレミングの左手の法則にのっとった方向に曲げられる。
    上記と同じ装置において電場をかけるのをやめて磁場をかけます。右図のように磁場をかけたとします。電流と磁場の向きをフレミングの左手の法則に当てはめると陰極線が下向きの力を受けることが分かります。陰極線は電子の流れです。電流は電子の流れの逆向きです。つまり右図の電流の向きは左向きです。そして磁場は N極から S極に向かっているので磁場の向きは紙面手前から奥に向かう向きです。これらを左手に当てはめると親指は下向きとなります。つまり力は下向きです。*
  • 上記のすべての性質は陰極の金属の種類や封入する気体の種類によらない。
    陰極線は電子の流れであり、電子は原子を構成するものであり、あらゆる種類の金属、あらゆる種類の気体の中に含まれています。

直列接続と並列接続

2015-03-24 | 日記

前項で、オームの法則V =R I の内の比例定数R を電気抵抗と呼び、電気抵抗とは電流の流れにくさを表すと説明しましたが、電流を流しにくい材質の導線なら電気抵抗の値は大きくなり、流しやすい材質の導線なら電気抵抗の値は小さくなります。 

(1)
材質が同じで長さの違う導線が2本あるとすると、長い方の導線の方が電流を流すのが大変です。つまり長い方が電気抵抗は大きくなります。 
dousen11

10cmの導線と20cmの導線を比べると20cmの方が電気抵抗が2倍になります。 
dousen12

上図のように10cmの導線を2本つなげると、20cmの導線の電気抵抗と同じになります。このようなつなげ方を直列接続といいます。10cmの導線の電気抵抗を1Ω(オーム)とすると二つ直列接続でつなげた時の電気抵抗は2Ωになります。直列接続では電気抵抗は足し算ができるのです。 

(2)
では直列接続ではない時の接続ではどのようになるでしょうか。

導線は長ければ長いほど電流が流れにくくなりますが、太ければ太いほど電流が流れやすくなります。断面が2倍になれば流れやすさも2倍になります。

今、流れやすさをa という量で表すとするとa は電気抵抗R 〔Ω〕を使ってa =1R〔1/Ω〕と表すことができます。R 〔Ω〕は流れにくさを表す量なのでその逆数が流れやすさを表すことになります。流れにくさR が小さければ小さいほど流れやすさa は大きくなります。

今、断面が1cm2〔平方cm〕の太さの導線の電気抵抗がR = 3〔Ω〕だとすると、流れやすさはa =13〔1/Ω〕と表せます。とするとこれと同じ材質で同じ長さの導線で断面が2倍の2cm2の太さの物があったとすると電気抵抗はR =32〔Ω〕、流れやすさはa =23〔1/Ω〕と表せます。 
dousen13
さらに、流れやすさがa という導線と、流れやすさb という導線とがあるとします。この二つを束ねた時、流れやすさはa +b になります。 
dousen2

a の導線の流れにくさがRa 〔Ω〕とすると流れやすさはa =1Ra〔1/Ω〕と表せます。‥‥①式
b の導線の流れにくさがRb 〔Ω〕とすると流れやすさはb =1Rb〔1/Ω〕と表せます。‥‥②式
a +b の導線の流れにくさがRab〔Ω〕とすると流れやすさはa +b =1Rab〔1/Ω〕と表せます。‥‥③式
①式、②式を ③式に代入すると、 1Ra +1Rb =1Rab となります。‥‥④式

流れにくさRabというのは、a という導線とb という導線を束ねたものの全体の流れにくさであります。束ねるということは並行に並べてつなげたということであり、このつなげかたを並列接続といいます。並列接続では、電気抵抗の逆数が足し算できるのです。

別の考え方で考えると、導線a に流れる電流をIa とし、導線b に流れる電流をIb とすると、両方を流れる電流IabIa +Ib であり、どちらの導線にも同じ電圧V がかかるので、
dousen6 
電流に関して考えるとIab=Ia +Ib であり、
オームの法則より V =R I  すなわち I =VRであるから、 Iab=VRab  Ia =VRa  Ib =VRb であり、これらを上式に代入すると、

VRab=VRa+VRb となり、この式の両辺をV で割ると、

1Rab=1Ra +1Rb となり、上の④式と同じになります。

もし3つ並列に接続した場合は、 1Rabc=1Ra + 1Rb + 1Rc となります。 


前半の(1) と後半の(2) をまとめると、複数の電気抵抗を一つの大きな抵抗とみなすとき(これを合成抵抗といいます)、
直列接続では各抵抗の和が合成抵抗になり、Rgousei=Ra +Rb
並列接続では各抵抗の逆数の和が合成抵抗の逆数になります。1Rgousei=1Ra +1Rb
 

6.2.1.2 抵抗率 参照。) 


オームの法則

2015-03-24 | 日記

導線(=電線のこと)の両端に電圧をかけると、そこに流れる電流は電圧の大きさに比例します。電圧を大きくすればするほど電流も大きくなるのです。このことをオームの法則といいます。1826年にドイツの物理学者オームが発見しました。電流をI [A]、電圧をV [V]、比例定数をR とすると、

電圧V =比例定数R ×電流 I  となります。(R はResistance(抵抗)から)

比例定数R は電気抵抗と呼ばれ、電流の流れにくさを表します。単位はΩ(オーム)です。この式を解釈すると、同じ電気抵抗なら電流が大きいほど電圧も大きい、同じ電流なら電気抵抗が大きいほど電圧が大きい、ということになります。

上式V =R ×I を書き換えると、

    V
R = ―――   となり、
    I

解釈すると、同じ電圧なら電流が大きいほど電気抵抗は小さい、同じ電流なら電圧が大きいほど電気抵抗が大きい、ということになります。

さらに書き換えると、

    V
I = ―――   となり、
    R

解釈すると、同じ電圧なら電気抵抗が大きいほど電流は小さい、同じ電気抵抗なら電圧が大きいほど電流が大きい、ということになります。

 

6.2.1.1 電流 参照。)