こんな若造の身の上話を聞こうなんて、
あんたも変わってんな
そりゃ俺だって、どこにでもある様な
ささやかな暮らしってやつを
追い求めてきたんだ
ああ、せいぜい面白おかしく、
あんたが聞きたいように聞いてくれればいいよ・・
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俺が家を捨てて、故郷を離れたのは、まだほんのガキの頃さ
見知らぬ人たちの中
静まり返った駅のホームで、不安に怯えていた
そりゃ、ひどい暮らしだった
ボロをまとった人達が、吸い寄せられるように集まる貧しい街の中で、
「いつかここを出てってやる!」
って、そればかり考えてたんだ
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日雇いの給金程度でもいいからと、こっちに来て職を探し回ったけど
どこからもお呼びはかからずさ・・
声をかけてくれんのは七番街の娼婦だけだよ・・
あんまり悲しくて、寂しかったから、
その温もりにすがった事もあったよ、アハハ・・・
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俺の周りで時間はどんどん流れていく
ずっと変わる事無く季節を刻んでいく
俺は以前より年をとった
これからも時間を積み重ねていくだろう
色んな事があってさ、人生って変わっていくもんだろ?
いつまでもずっと同じなんて事無いはずだろ?
それって、おかしな話じゃないだろう?
そうだろ・・・?
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こんなコートを脱ぎ捨てて、故郷に帰りたいよ
ニューヨークの冬は、寒くて寂しくて耐えられないよ
ここには、俺なんか居ちゃいけねえってさ・・
さっさと帰れってさ・・・
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そう言うと彼は、寂れた拳闘場のリングに上った
その日の暮らしのために
彼を叩きのめそうとする、敵のグローブをじっと見つめながら、
自分への苛立ちと、恥辱のなかで彼は叫ぶ
「もういやだ、もうたくさんだ!」
でも、彼の殴り合いの日々が終わることはない・・
こんな唄
どんな歌なのか
誰がうたってるのか
わかるかな?