雨の伊東で

まとまった仕事をこなすために伊東の旅館で3日ほど過ごした。
その前日の天気予報を見ていると連続してやってきた台風が伊豆半島の沖をかすめていくということで
さてどうしたものかと迷ったのだけど仕事にも猶予があまりない。
結局向かってみてダメならダメで諦めようというくらいの気分で
午後、東京から踊り子号に乗って伊東へ向かった。





行ってみると台風の影響は多少あったものの列車が遅れるでもなく
ただ、宿に着く頃にズボンがぐしゃぐしゃに濡れてしまったくらいで
逆に外へ出ても観光も出来ないような状態は仕事を進めるのにとても良かった。







2日目の夜、軽く飲める場所を探して町へ出た。
雨と風は依然強くて傘が吹っ飛びそうになったりしたがすぐにアーケードが連なっているのを見つけて一安心。

台風のせいなのかそれともいつもこんなものなのか、店は開いていても人がほとんど歩いていない。
一組中年の男性と若い女性のカップルが浴衣姿で映画館の看板らしきものを見あげていた。
人影少ない薄暗い温泉街のアーケード。年齢の離れた浴衣姿のカップル。
これを見られただけでも来た甲斐があった気もする。
ちいさな居酒屋に入って地元の魚の刺身と空豆をもらい生中2杯と焼酎1杯。

宿に戻って少し寝た。





夜半からもそもそと起きだして仕事にカタを付けて窓の外を見ると明るくなっていた。
寝るのも中途半端な気分なので表へ出て、路地を抜けてすぐの海辺へと出てみる。
機能に比べると遙かに波は穏やかになっていて、遠くの防波堤には釣り人がぽつぽつと見えた。




台風は過ぎていったんだなと
ゆっくり散歩して戻ると宿の前の道路で猫が ちんと座って出迎えてくれた。

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