GR1s/Tri-x
バイトの内容は、タコヤキを焼く、たいやきを焼く、ジュースを売る、ソフトクリームを作る(夏場のみ)、
あとは店内にある店舗で作った焼きそばのパックを販売するといったものだった。
F3P+ULTRON 40mm F2 SLII/Tri-x
バイトの初日、まずタコヤキとたいやきの焼き方を教わるところから始まった。
はじめに社員さん(友人がそう呼んでいた人)が焼くのを1度見て、それから見よう見まねでやってみる。
タコヤキはタネと具材を鉄板の穴型に流し込んだ後は、上から平たい鉄板を閉じて
焼けたらひっくり返して取り出すというだけの方式で(できあがりは半球形になる)
テレビなんかでよく見るクルクルと回す焼き方ではないので簡単だった。
つぎにたいやきの焼き方だったのだけどこれはもっと簡単。型にタネを流し込んであとは焼き具合だけ見てたら良い。
これも見よう見まねでやって、そんな「説明」を一通り終えると“社員さん”はじゃあがんばれよと言い残して
店内の店舗に戻ってしまった。社員さんがやってくるのはそれ以降もたこ焼きやタイ焼きのタネを持ってくるときだけで、
それ以外はまるっきりバイトの僕ら2人だけだった。
つまり、1回こっきりの「説明」が終わったあとはもう本番だったのだ。
僕らの(たった一度だけ練習した僕らが)焼いたタコヤキやたいやきはいきなり見知らぬお客さんの口に入ることになったのだ。
F3P+Ai Nikkor 35mm F1.4s/125PX
今思えそら恐ろしいことで、中学生2年生のアルバイトが2人でとくに衛生的なこともなにも教えられず、
見よう見まねで焼いたタコヤキやタイ焼きを商品として売ってしまう。
よく食中毒もなにも出さなかったものだなあと思うし倫理的にどうなんだ、とも今になって思う。
まあ時代がおおらかだったということなのかもしれないが。