東京大仏ノスタルジア

どこか遠くに行きたかった。
そして「ごめんなさい」と叫びたかった。

移動手段は自転車。他に選択肢はない。
私は緩やかな坂道を真っ直ぐ行くことに決めた。
ゆっくりとしたスピードで進む。何も考えずに、ただ自転車をこいで行く。
徐々に体が熱を帯び始める。けど心拍数に大きな変化はなかったと思う。

やがて東武東上線にぶつかった。
しかし、突き当たった場所に踏切はなかった。
これは予想外。しばらくは線路に沿って進むしかなさそうだ。

ここで私は閃いた。
東京大仏に行ってみようかな、と。
この前来た時は閉門してて入れなかったから。
今日は名誉挽回といこうじゃないか。俄然、気合が入ってきた。

下赤塚の駅まで来たら、進路を北へ。
少し道に迷ったが、東京大仏のある乗蓮寺に無事到着。
今日は開門してたので安心した。閉まってたら、普通に凹んだと思う。
オチとしては悪くないが、これ以上の精神的ダメージを喰らってどうする。

まずは閻魔堂の閻魔様に挨拶をする。たぶん通過儀礼。
『ドラゴンボールZ』の主人公、孫悟空だって死んだ時に挨拶してたし。
でも閻魔様はガラスの向こうにいらっしゃったため、特別怖くはなかった。
けど、そんなことは決して口に出してはいけない。地獄に落とされてしまうから。

さぁ、感動のご対面と行こうじゃないか。
忘れもしない。一年前、私は乗蓮寺の門前にひれ伏した。
徳川家の葵の御紋は決して私を受け入れようとはしなかった。

門をくぐり、階段を一歩ずつ上っていく。
この階段を踏みしめたかった。まもなく頂上に辿り着く。
しかし、正面には何もない。本殿らしき建物があるだけだ。
東京大仏はどこへ行ったのか。本当に大仏があるというのか。

まもなく私は右手に見ることになる。東京大仏の姿を。
不安は一瞬で消し飛んだ。確かにあった。東京大仏がここにあった。


東京大仏は黒い。そして艶やかに光っている。座高も8.2メートルと侮れない大きさがある。

今回の冒険は一応の目的地があった。けど、そこに行くルートなんて決めてなかった。
その結果「東京大仏」に辿り着いた訳だけど、それはそれでよかったと思っている。
これからも導かれるままに人生を歩んでいきたい。そこに答えがあるだろうから。

Let it be...


こちらは「がまんの鬼」。かなりコミカルな造形である。

これにて、“リベンジ・ザ・東京大仏”は無事任務完了！(笑)
みなさんも「元気が出ないなぁ」って時は板橋区赤塚にいらっしゃい。
東京大仏さんが待ってます。夏前にはハスの花も開いて賑やかになるでしょう。
交通機関は東武東上線か都営地下鉄三田線を利用して、最寄り駅を下車。
そこからはのんびり徒歩がオススメです。もちろん自転車も最高だYO！

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【関連リンク】
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★@nifty：デイリーポータルZ：板橋区に日本で3番目にでかい大仏がある
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