境目~鵜峠 さかいめ・うたお
登山日 2011年4月21日
標高 三角点名北市場564.3m、三角点名定久578.3m、最高地点三角点名上畑山の西地点おおよそ740m
出発点 境目熊埜神社
到着地点 鵜峠
駐車場 なし(熊埜神社境内)(香川側鵜の田尾トンネル手前鵜峠旧道入り口の路肩)
トイレ なし
水場 なし
メンバー 単独
讃岐富士さんのレポートから、阿讃山脈の尾根歩きのなかで<境目~鵜峠>間が一番の難コースだと思い、何度も地図を見詰めては、頭に焼き付けようとする。
しかし、努力は虚しく空回り、しっかり焼き付けたつもり、朝目覚めるとどこかへいってしまい、白紙。
もう一度見詰める、ここが取り付き、ここが迷い易いポイント、この辺りがブッシュだろうか、もしルート上から周りの景色が見えたらこう見えるかな、その後、ビールを飲んで、原発事故、消費税3%アップ、高速道路無料実験廃止、電力料金全国一律値上げ実施案などのニュースが流れる都度、頭から湯気が出て、またまたルートマップが消え去る。
仕方なくもう一度やり直し、今度は地図にペンで赤書きをする。
よーし、これで大丈夫だろう。
苦労したよ。
ときどきメールを頂くMさんから、阿讃山脈県境歩き完歩したよとの報告が届いた。
お~、やったね~、と思いながらメールを読むと、丁度、鵜峠・境目間の詳しい情報が記されていた。
いや~、有り難い、二度読み返した。
Mさん健脚の持ち主だ。
県境尾根歩き総仕上げの歩きはなんと鵜峠から中山峠まで、タイムも真似の出来ないもので、素晴らしいもの。
報告では、ところどころブッシュは少し残るものの、概ね歩きやすいルートになっており、どうやら讃岐富士さんが歩いた頃(2004年)と比べて、雲泥の差、少なくともブッシュよけのヘルメットはいらないらしい。
この7年もの間で、いったいどのくらいの山好きな方が、尾根歩きをしたんだろう。
用意していたカマや革製の手袋は元の場所にしまい込み、できるだけ荷物を軽くすることに努める。
最近、どうも腰が変だし、何度も捻挫した足首が痛む。
4月も中旬を過ぎほぼ桜も終わりかけ、少し冷え込んでいるが、お天気最高な今日、行くことにした。
境目~鵜峠間は縦走だが、自転車は止めて、バイクで登山口と下山口を繋ぐことにし、車に積み込む。
早朝5時、バイクの匂いが車内に立ちこめるのが嫌なので、窓を全開にして高速をそれなりのスピードで走り、白鳥・大内ICで降りる。
318号線を南下し、鵜の田尾トンネル手前で、鵜峠旧道へ下りるように左折するが、100mも下った橋のところで通行止め。
ブロックで閉鎖されており、先へは進めない。
取りあえず、バイクで横をすり抜けて、どんな状況なのか、走って見ることにした。
なんと道は少し先で崩壊したまま、道の状態から何年もこのままのようで、復旧工事をする感じではなさそう、廃道状態でした。
これでは徳島側から鵜峠を目指しても同じ事だろう。(縦走が終わって、帰りに寄ってみたが閉鎖されており、道は荒れていた)
仕方がない、鵜峠からここまで歩くことにしよう、所要時間は1時間くらいか?
覚悟を決め、準備。
バイクに跨がり、境目・熊埜神社に。
※ポイントマーク間が今回歩いたルート。
318号線を引き返し、西山の信号から左折、面白そうな形をした与田山を右に眺めながら、377号線、そして石清水八幡神社のところで白鳥温泉方面へと左折、時折通学の自転車が走るくらいで、交通量は少なく、のんびりした風景が続く。
白鳥温泉と黒川温泉を横目に、やがて熊埜神社に。
大きな「ちちいちょう」前の境内では落ちた椿の花が真っ赤に染めていました。
神社に向かって、今日の無事安全を祈って、8:25、スタート。
車道だがここは四国の道、直ぐ南手の交差点を左折し、春の明るい陽差しを浴びながら歩く。
右手には県境の日開谷支流の川が流れている。
畑の畦には遍路の案内板、与田寺へ12kmとある。
道ぞいにはまだ残った桜の花が、朝日を受けて眩しい。
歩き出して15分ほどで、里山工房のうさぎの看板があるところから右折し、細い道へと入っていく。
左手に小さな神社があって。
畑の続く道を歩く。
舗装路が終わり、ため池の土手を通る。
右手には小さな鉄橋があって、どうやら、境目から川沿いに続く道があって、そこに架かる橋のようでした。
土手を左へと回り込み、山沿いをさらに東へと歩くと、前方に一軒の家が見えてくる。
この辺りから、左の山へと県境が続くのだが、踏み跡はさっぱり見えず、取り付きも分からない。
それらしいのがあるのだが、テープもなく、獣道なのかどうかそれも判別着かず、なんとなく入りそびれて、そのまま民家まで辿り着いてしまった。
持参した地図には、ここから334m峰への破線が記載されている。
民家の傍の畑で作業をされていた女性に、お尋ねしてみた。
すると、すぐ傍の小さな堰堤がある小川から、山手に入って行くと、県境があるので、そこから右手山へ上がると先々では鵜峠へ辿り着けるとのこと。
言葉は滑らかで、もう幾人にも道の説明をされているのだろう、すっかりと板についていた。
お礼を言って、民家の庭を通り抜けようとしていたら、家の中から男性が戸を開けて出てこられた。
すみません、通らさせて頂いてます~、女性のご主人の様子でした。
杉林の狭い谷間には赤テープが風に揺れていた。
奥へと入っていくが、なんだか、このまま県境の位置まで薄暗い谷間を歩くのが面倒くさくなって、右手の山へズリ上がることにした。
誰もいない山歩きはすぐに、気兼ねすることなく、ラジオのスイッチオン。
帽子をザックから取り出し、被る。
木の枝を掴みながら、這い上がり、小さな支尾根を追っていくと、左からの踏み跡があり、二段巻きテープ、そして県境杭。
そこここにピンクのテープ、賑わしい。
どうやら、この左からの踏み跡が、先ほどの狭い山間をもう少し先へ行ったところから続いているものと思われた。
県境尾根に乗れば、あとはルンルン、もう恐いものはない。
Mさんのメールでは境界杭は100m置きに端から端までずずーいと続いているとのこと。
踏み跡&テープ&県境杭、う~ん、サバイバル感もなくちょっとばかし不満…かな。
しかし、自然一杯の尾根歩きでもあり、やはり、爽快。
ところがどっこい、ここから長い間急登が続き、汗ぐっしょり。
ザックが身体を反り返らし、木の枝などを掴みながら登らないと、ややもするとずり落ちてしまいそう。
木の間から矢筈山が覗く。
10:10、564.3m三角点名北市場に到着。
ここまで南東方向に進んできたが、ここから東へと方向を変える。
ヤブ椿は残雪にとても映えますが、この時期になるとどこも満開です。
子どもの頃、花の蜜をときどき吸ってましたが、歳がいくと、わざわざ花をもいでまではしなくなってしまいました。
ところどころで朽ちた倒木。
快適な尾根道が続きます。
しかし、徐々にヤブっぽくなります。
ここから先が讃岐富士さんのレポートにあった、イバラの道でヘルメットが欲しいと言ったところだろうか?
11:12、578.3m三角点名定久に。
小休止、バナナを食べ、なおも生姜味のする黒糖焼き菓子を取り出し、口一杯に頬張る。
メジロの群が頭上を飛び交う。
なおもしばらくやぶっぽい尾根歩き、ナタ目の切り口、古い物新しい物、たくさんある。
若葉を眺めながら、やがて林道が下から上ってきているのが目に着き、しばらくで尾根と交差するまでに接近するが、林道には降りずに際際のところをそのまま尾根を追っていく。
ラジオからお寺にお参りするには五円玉をお賽銭にしなさいとのアドバイス、10円は駄目よと言う。
なぜ?
五円玉は御縁、10円玉は遠縁になっちゃうからだって、本当?
おや、虎丸山のぴょっこり飛び出た頂が見えてきました。
その向こうは播磨灘で三本松、白鳥、引田の町や港が霞んでいる。
春の定番ウグイスが左から右から、鳴き声のケトケトが尾を引く。
尾根ではあちこちにスミレ、まったく種類が分からないが、たぶんタチツボスミレ?
リスの忘れ物、種から芽生えた、何かの芽。
標高おおよそ718m地点、ここでお昼ご飯とした。
ザックをおろし、先ずは喉を潤す。
おっと、ピーナッツを一粒、地面にこぼした。
芽が出るかな。
出ーへんて、鳥が突っつくかも。
先はまだまだ長い、右徳島側は杉植林地、左香川側は自然林の尾根。
白いスミレ、葉が細くギザギザ、ヒゴスミレ?
今年初めて見るフデリンドウ、小さくて可愛い。
地面に這いつくばってカメラを構える。
小さな峰に到着、そこには上畑山と記された山頂札があった
札には標高659m、二等三角点と記されている。
おや?先ほど尾根歩き最高地点のおおよそ740m地点で、上畑山という二等三角点名の754.8m峰を右に見て通り過ぎたが…?
どうやら、この札を着けられた方はこれと取り違えて記しているようだ。
ラジオからカーペンターズのミスターポストマンが流れてくる。
オー、イエイエ、プリーズ、プリーズ、ミスターポースマン♪
リズムよく、急登をすいすいと駆け上る。
上りきってゼーゼー息を吐く、止めとけばいいものを!
14:17、611峰を通過。
下りは急斜面、木を掴みながらズリズリ下る。
ここを下ると鵜の田尾トンネルの上を通過する。
この白いアングルのある地点がトンネルの真上だろうか?
少し上部でやたらと赤テープ、ひょっとしてこの辺りから、318号線トンネル方面へ下りる踏み跡があるのかなと思ったが、確かめもせず素通り。
モニュメントのような枯れた倒木が前方を塞いでいる。
卒業写真が流れてくる。
カバーアーチストはハイファイセット。
あなたは~わたしの~青春、そのもの~。
おらの青春、そんな人いなかったが~、侘びしい青春時代だったな~。
左手に伐採地があるところに飛び出た。
前方右の方が大山らしいが、どれかはっきりとは分からなかった。
左手は瀬戸内、白鳥方面。
いよいよ旅の終わりに近づいた。
今日はこの赤い杭を一日追った。
足元の尾根道は木はないが、下草でヤブいている。
やがて最後の赤い杭の前に出て、そこからは峠道が見えている。
赤いテープが左手斜面へと導いてくれる。
高さ1mほどの崩れた法面を降り立つと、そこは県境鵜峠でした。
いまは誰も通らない、ところどころスミレ満開の車道を歩き、トンネル方向へと下っていく。
崩れた道路端にはムラサキケマン。
道路に覆い被さるように、様々な花が咲く。
シロバナハンショウヅル、アケビの花。
山桜。
なんだろう?
なんだろう??なんだろう???
めちゃブサ爺がミラーに向かって一人手を振る。
崩れ落ちた道、コンクリートの擁壁際の溝を恐る恐る渡る。
もうこれは廃道ですね。
峠から50分で通行止め駐車地点に到着。
あれれ、これ次回の「鵜峠~大山越」またこれを歩いて鵜峠まで行くの?イヤだな~。
車に乗り込み、境目に止めたバイクを回収に行く。
途中で、温泉が目に入ったが、早く帰らないと、風呂上がりのビールが待ってるのよ。
うらめしそうに讃岐路を走り過ぎる、ジイやん一人の、寂しく、誰にも会わない静かな県境尾根歩きでした。
鵜峠旧道入り口7:55-<バイク>-境目・熊埜神社8:25-564.3m三角点名北市場10:10-578.3m三角点名定久11:12-12:20おおよそ718m峰12:50-611m峰14:17-鵜峠15:00-15:50鵜峠旧道入り口16:05-<車>-16:30境目・熊埜神社
※地図上左クリック→グーグル地図へ移動(アプローチがよく分かります)
お元気にあちこち歩かれてますか~
この時期の県境歩きはいろんな花が咲いていて、小鳥もたくさん飛んでいて、楽しいですよ。
尾根の景色のいい自然林のところでジッと座っていると、小鳥が近くの梢まで寄ってきてくれて、賑やかに囀ってくれます。
あいにく、カメラが10倍でしかないので、撮ることができませんが、望遠があれば楽しいでしょうね。
いよいよ、県境尾根歩きもあと3回ほどのところまで漕ぎ着けましたが、残念なことに昨日の愛媛方面での山歩きで足を痛めてしまいました。
しばらく、指をくわえてみなさんの山歩きを羨ましく眺めることになりそうです。
これからの季節、日もだんだんと長くなり、絶好の山歩きができます。
ナットさん、がんがん楽しんでくださいよ。
この秋(9月20~連休または10月の連休)に、阿讃県境尾根歩き
境目~鵜峠~一本松越というコースを考えているものです。
いくつかのアドバイスをお願いします。
ブログには
一本松越8:35-鵜峠14:43
境目・熊埜神社8:25-鵜峠15:00
とあり合計すると
私のコースは約12時間半のようです。
この通りだとすると早朝出ても、夜になる可能性があり、ちょっと心配です。
またブッシュがあるようなら、これよりさらに時間がかかるかと思いますが、
ブッシュに遭遇して時間が余分にかかりそうでしょうか。
また一日のコースとしては無謀でしょうか?
無理そうなら、
鵜峠でいったん、下山し、近くの宿という選択肢もあるかと考えたのですが
徒歩だと、宿までちょっと遠いようなので
シュラフで野宿を考えています。(テントは持っていません)
野宿するのに適当な場所があるようなら教えてください。
なお私は山歩きは好きですが、特別健脚ではありません。
(大抵のガイドマップで示された標準時間通りであることが大半です)
マサ
暑さ寒さも彼岸まで、晴れた日の日中はまだまだ暑いですが、朝晩過ごしやすくなり、いい季節になってきました。
里ででは柿の実がほんの少し色づいてきましたし、山ではツルリンドウやアサマリンドウも咲き、心を和ませてくれてます。
お尋ねの境目~一本松越の縦走の件についてですが、わたしのコースタイムもほぼ標準タイムに近く、それプラス休憩休息をいれて無理なく歩いてますので、どなたが参考にされてもこのタイムかもう少し速く、難なくこなせるものと思います。
特に一本松越ー鵜峠についてはゆっくり歩きの妻も一緒に歩いてますので、人によって歩くスピードがかなり異なりますので一概に短縮時間を決めつけることははばかられますが、もう少し時間短縮が計れるものと思われます。
そうですね、参考までに、もしもこの日の一本松越~鵜峠をわたし単独で歩いたとすると、1時間は早く下山してたでしょうね。
阿讃県境尾根は近年よく歩かれており、ヤブは一部短い区間で残っている程度で、ほとんどないといってもいいと思います。
わたしは歩いたことがありませんのではっきりとは申し上げられませんが、たぶん、おそらくですが、境目から一本松越のこの区間通しで歩くことで、もちろん、早朝早めのスタートが肝要ではありますが、途中で野宿なんていうことはしなくて済むと思われます。
野宿ということであれば、鵜峠は昔は車道
(今は車が入れない廃道)でしたので、そこか、もしくは大山神社でしょうか。
しかし、これは考えなくてもいいような気がします。
道はしっかりしてますので、もしもまかり間違って日が暮れてもヘッドランプを点けてゆっくり歩けば大丈夫かと思ってます。
ですが、秋ですのでこれからの季節は日が暮れるのがじわりっと早まりますので、念のため早めのスタートでね。
昨日からシルバーウィーク,さてどうしようか、悩んでいたところです。一番の悩みは、野宿。いぜんやむなくやったときは、心細かったので・・・(小心ものです)
あとはブッシュと、道に迷うことでした。しかしこれも、さほどでもなさそうですね。
むらくもさんのコメントで、やってみたくなりました。
一応ヘッドライト,簡易シュラフ,余分な食料は用意するつもりです。
ありがとうございます。
私は数年前に虫食いで歩いたことしかありませんが、しっかりした作業道も結構あってターニングポイントで油断をするとそちらに迷いこんでタイムロスしかねません。
しかも植林伐採が進んでおり、思わぬところで林道に出て惑わされることになるかもしれません。
幸い後半の大山周辺はエスケープが容易です。
人間諦めが肝腎、不安に思ったらとっととエスケープしましょう。
ありがとうございます。
作業道や林道があるんですか。たしかに迷いそうですね。
「人間諦めが肝腎、不安に思ったらとっととエスケープしましょう。」
これを肝に銘じます。
さっそくと考えましたが、明日明後日は、都合で無理。今週後半チャレンジとなりそうですが、ちょっと雨が心配です。歩くかどうかは天気次第ということになりそうです。
坊主さん こんばんは
わたしもかなりな小心者で、山を歩いていて道迷いしたり、日が暮れかけたりするとビビってしまって、パニック状態になったりします。
そんなときは自分でもなにをしているかさっぱりわからなくなってしまって、同じ道を何度も行ったり来たり、後で考えるとバカみたいなことをしてましたわ。
薄暗くなると気持ち悪くなって、ささやぶでちょっとでもガサゴソ音などがすると、もう顔が青ざめてましたよ。
よくみるとうさぎだったり、イノシシの子供だったり、なんでもないのよな。
普段シュラフは持参しませんが、ツェルトはしっかりザックに入れてたときもありました。
しかし、幸いなことにビバークの経験はなく、その後ツェルトハ持参しなくなりました。
最近は慢心してますのでいつかしっぺ返しが来るかもわかりませんわ。
それにしても阿蒜の尾根歩きはわたしにとって結構楽しいことが多かったので、いい思い出になってます。
是非、やりとげてください。