(写真はイメージです)
この話は営業妨害になると思ったので
我慢したんですが
どうにもこうにも腹が立つので書きます。
今日、 米子に行った帰りに安来を過ぎたあたりで
お腹がすいてしまいとあるラーメン屋に入りました。
その時点で時間は14時を少々過ぎたあたり。
勿論、営業中の大きな看板もちゃんと確認しました。
ところが・・・
店内には客は一人も居ません。
お座敷のテーブルには
おそらく従業員さんの遅いお昼の準備中。
まずいなと思いながらも案内されてカウンター席に。
ラーメンチャーハンセットと
餃子を注文したのですがナカナカ出来ない。
その間にも従業員さんのお昼の準備は着々と進み
テーブルには従業員さん達も座って待ってます。
私の心の中には、まずい、まずいと言う感情が
大きくなって行きます。
やっとチャーハンと餃子が出てきてラーメンも完成しました。
チラリと従業員さんのテーブルを見ると
此方に視線が集中しています。
正確に言うと私の背後にあるテレビを見ているんですが・・・
気になる。
そのうちに厨房の照明も消されて薄暗くなりました。
なんか、やばいな~。
いやだなあ~と思いながらも急いで食べてのですが
熱くてなかなか食べられませんでした。
結局、私が負けました。
餃子とラーメンを一口食べただけで
緊急メールが入ったふりして¥13000円払って店を出ました。
精神的な自意識過剰とか被害妄想とか
言われる方がいらっしゃるかもしれません。
でも、一度その現状を経験されればわかります。
キツカッタ。
従業員の休憩時間前には
客足が途絶えたら看板を準備中にするべきです。
それか私が来た時点で準備中と言ってくれれば諦めたのに。
客に変な気を使わせる店は最低だと思うのですが。
宇宙飛行士にならなくても無重力は経験できます。
水中という特殊な環境ですが、中性浮力という
浮きもしない沈みもしない状態がまさにそれです。
イメージしにくいなら海底(地面)から
数メートルの位置を飛んでいると思ってください。
「新しい車を買っちゃった」
「買っちゃったって何それ?」
洋子のマーチが調子が悪いと聞いたのは
確か先週のことだった。
普段なら自分の得意分野でない事は
あれこれと聞いてくるのに
今回は全くの寝耳に水状態だった。
「で、何買ったの?」
洋子は私の質問をはぐらかして
まるで若い娘のように笑うと
「ヒ・ミ・ツ」
そう言ったきり何を聞いても
答えてくれなくなった。
一週間後、自宅に届いた車を見て
私は自分の目を疑った。
目にも鮮やかな黄色い
亀のようにずんぐりとした
軽自動車が玄関先に鎮座していたからだ。
その後、一通りの説明と感謝を込めた
言葉を残して営業マンは帰っていった。
「運転してみてよ」
「お前が買ったものだろう」
「そうよ、お金を払うのも私なんだから」
「お願い、試運転してみて」
「でもなあ…」
「何で2シーターなんだよ?」
「趣味のスケッチ行く時はどうするんだよ?」
「このての車はトランクに荷物を積むとオープン出来ないんだぞ」
「その時は、貴方のワゴンRがあるじゃないの」
洋子は、哀願するような目で私を見つめた。
いつもこの目に私は弱い。
「仕方ないなあ」
そう言いつつも私は密かに期待していた。
そう、生まれて初めて乗るオープンカーに。
「オープンカーにして走ってみましょうよ」
助手席のドアを閉めた途端
洋子の手が伸びてきた。
「いや、よそう」
「まだ寒いしさあ…」
「それにご近所の目もあるし」
「恥ずかしい?」
洋子が先に私の言いたいことを代弁した。
結局、何時もの様に私が折れる形になる。
「ポチッとな」
洋子はおどけた様に屋根の開閉スイッチを押した。
低いモーター音とともに
屋根がスライドしてトランクに収納されていく。
走り出すとヒーター全開にしても寒い。
シートにもヒーターが入っているが
背中からポカポカと暖められて
何だか妙な気分だ。
助手席の洋子はゴーグルのような
大きなメガネをかけていた。
全く、いつの間にそんな物を
手に入れていたのか相変わらず
用意周到である。
でも、思ったよりも開放感と爽快感はあった。
それに対向車がすれ違うたびに
マジマジと私たちを見て行った。
それから20分ほど車を走らせると
見晴らしの良い展望台の駐車場に滑り込ませた。
「どう?」
「どう?って、車自体は悪くなんだが…」
「この色がなあ…」
「黄色以外は思いつかなかったのか?」
「あら、相変わらず良平さんは美的センスが無いわね」
「美的センスの問題じゃあ無いと思うけど」
「いい、軽自動車のナンバープレートって何色かしら?」
「黄色…」
「そうでしょう」
「でもね…」
そこまで言って洋子は
缶コーヒーで喉を潤した。
「黄色いナンバープレートが似合うのは…」
「やっぱり黄色しかないでしょう」
「それだけの理由かい」
私は少々あきれ気味で答えた。
「それにね…」
「久しぶりに思い出しちゃった」
「何を?」
「結婚する前…」
「良平さんにバイクの後ろに乗せてもらったこと」
「あの時、初めて解った事があるの」
「風を切って走るって気持ちが良いんだなあって」
私は照れくさそうにそう話す洋子の姿を見て
逆に照れくさくなって
それを隠すために缶コーヒーを一気に飲み干した。