猛吹雪で空港閉鎖したのは、ちょうど一ヶ月前のことだ。その雪もこのところの陽気に解けて、いまは大地に浸透していく。
少年時代を勇払原野の一角で過ごした。４０年以上も前だ。太平洋岸から内陸を眺めても遮るものは何もなく、原野の遙か遠くに石狩の丘陵が見えていた。そんな光景を思いながら鑑賞した。
５年前のある日、１通のはがきが届いた。大学時代の友人からだ。「PHOTEGAMI」のタイトル。表裏に三枚の写真がプリントされている。「絵てがみ」の写真版らしい。発想豊かな彼のやりそうなことだ。それが３日おきに届くようになり、２年ほど続いたところで、１５２通目が最後になった。後に「挫折した」と聞いた。一方的に送られたとは言え、写真の一枚一枚に込められた彼の感性を思うと、捨てるに捨てられずにいた。そして先月、２年前から主宰するギャラリーで展示をした。その後は処分するつもりで。２月２４日でその展示を終えた。しかし、パネルから外した「PHOTEGAMI」たちを目の前にすると、どうしても捨てられずに、また書棚の隅へとしまい込んだ。