人間の使命は生産ではなく浪費である

2023年終了、引続きこの番組はHOLDOUT、Hello Mr.Channelの提供でお送り致します。

最終のバス停から次の夜明けまで ~最後に~

2010年07月27日 20時54分34秒 | 駄文
連日、茹だるような暑さ。サッカーの話はこれで当分お休みします。

以下、香川真司、ドイツ経由で目指すブラジルW杯(7月22日Sportsnavi)から引用

この夏、香川真司は念願かなってドイツ・ブンデスリーガ1部、ドルトムントへの移籍を果たした。既にオーストリア・シュテガースバッハで行われているプレシーズン合宿に合流しており、ブンデスリーガ特有のハードなトレーニングに舌を巻きながらも、新鮮な日々に胸を躍らせている。クロップ監督の覚えもめでたいようで、戦術練習や練習試合で早くも結果を出している様子が連日伝えられている。

<中略>

それほどまでにこだわったW杯メンバーだったが、結果はサポートメンバーとして日本代表チームに帯同するにとどまった。サポートメンバーとは、本大会に出場できず、本登録される23名とともに練習に参加する選手たちのこと。紅白戦などでは人数合わせとしての役割も求められる。日本サッカー協会側としては、将来的にこの帯同経験を生かしてほしいという意図があり、大学生を含む若手メンバー4人が選ばれる形となった。

<中略>

だが、南アフリカで見せた香川の表情は冴えなかった。Jリーグでは中断前の第12節終了時点で7得点、得点ランキング2位につけており、W杯メンバーの誰よりも結果を出していた。それだけにコンディションも良く、プレーのキレも精度も高い。だが、決して試合に出ることはないのだ。
「気持ちは毎日揺れています。つらいと言えばつらいし、つらくない日もある。モリ(森本貴幸)なんかもいるし、合宿生活自体は楽しいんですよね。でも、1人で考えてしまう時間もあるし……」
自ら納得した上でのサポートメンバーではあったが、実際に過ごす日々はつらかった。消化し切れない思いはフラフラと日和見的に動く。その度に胸を痛め、それでも気持ちを高めて練習に参加する。だが、夜ともなればひとり暗闇に思いをはせる日々が続いた。

<中略>

だが、練習こそ共にするが試合を外から見守るだけの香川の意見は若干異なった。
「もったいないというか、何て言うんだろう。もっともっと攻撃できるのではないかと思う。みんなで守備っていうのもすごいけれど。そうじゃなく個の力を出すことももっとできるんじゃないかな。松井(大輔)さんとか大久保さんとか、持ち味をもっと出せると思う」
精神的にも物理的にも日本代表チームとともにいる。ただ、サッカーを外から見つめるその目線は客観的に保たれたままだった。

香川がようやく晴れやかな表情を見せたのは6月29日、決勝トーナメント1回戦のパラグアイ戦に敗れた後のことだった。サポートメンバーとしての長い40日間は終わった。泣きじゃくるチームメートを尻目に、香川の視線はすでに次のステージを向いていた。
「世界レベルでもまれて戦わないといけない。僕とか、日本全体の若い選手がもっと世界に出て行かないと、4年後も勝てないなと感じました。やっぱり、今回の4試合を通して、日本は守ることに精いっぱいというところがあった。でも、本当はもっと攻撃的なサッカーができたと僕は思っています。何よりも個の力が足りない。Jリーグでいくら経験しても、この舞台では通用しないと思いました。ラストの精度、球際の強さなど、世界レベルを経験して、この舞台に戻ってきたい」

ピッチにこそ立てなかったものの、W杯の緊張感もレベルの高さも感じた。充実感も残った。そして、結果的にこのつらい日々を選択したことが、新たなる舞台へ旅立つ彼を、より強く後押しすることとなった。
「おれはこれからドルトムントで戦わないといけない。この40日間はつらかったし、試合で勝ち進むにつれて、悔しくて試合に出たい思いが込み上げてきた。とにかくそのピッチに立ちたかった」
すぐそばにあるのに手が届かない、もどかしさと歯がゆさと悔しさとともにあった40日間。だが、ほかの誰とも異なった経験値を得て、香川は新天地ドイツへと旅立った。
「4年後は中心選手としてやらなくてはいけない」
あらためて強く抱いた思いを胸に、香川はブンデスリーガでの戦いに挑む。







先を見据えて。この夏はJリーグを少しでも多く観戦したい今日この頃です。



最終のバス停から次の夜明けまで

2010年07月15日 17時38分26秒 | 駄文
どうも皆様、ご無沙汰しております。怒濤の参院選が終わり、夢のような日々だったW杯も遂に終わってしまいました。

以下、日本とオランダ、それぞれのジレンマ(6月20日Sportsnavi)から引用

大会9日目。快晴の空の下、ダーバン・スタジアムには続々と日本とオランダのサポーターが詰め掛けていた。

<中略>

かくして、日本対オランダの一戦は0-1という結果に終わった。個人的には「惜敗」という言葉は、あまり好きではない。それでも、昨年9月に0-3と圧倒された試合を目の当たりにした身としては、同じ敗戦でも今日のゲームは十分に評価できる。少なくとも前回に比べれば、90分間にわたって守備が機能したことで、失点を2つ減らすことができた。この次、オランダと対戦するのはいつになるかは分からないが、その際にはぜひとも、彼らから初ゴールを奪いたいものだ。オランダをはじめとする、FIFAランキング1ケタの強豪国との差は、一朝一夕に埋まるものではない。むしろ、ステップ・バイ・ステップで良いではないか。今はとにかく、世界が注目する大会で、こうした強豪国と真剣勝負ができる喜びと意義をかみしめること。敗れはしたものの、この日、ダーバン・スタジアムでこのゲームを目撃した日本サポーターもまた、私は十分に「勝ち組」であったと考える。

<中略>

想像できるだろうか。われわれは、決勝トーナメント進出をめぐって、かつて欧州王者になったこともある北欧の雄と真剣勝負ができるのである。しかも、アドバンテージを握っているのは、あきらかにこっちだ。日本は引き分け以上であれば、さらに5日間も「大会の当事者」としてW杯を楽しめてしまうのである。悲壮感と開き直りでグループリーグ第3戦を迎えた、4年前のドイツとはまるで異なる状況が、われわれの眼前には広がっているのである。素晴らしい!

デンマーク戦のキックオフは、日本時間で25日の午前3時30分。ウイークデーの寝不足は辛いものがあるだろうが、現地組も極寒の中での観戦となる。お互い、決して楽な状況ではないが、こうなったらとことん日本代表の奮闘に付き合おうではないか。それが、W杯に代表を送り出す国に暮らすサッカーファンとしての、最低限の仁義だと思う。



以下、日本代表の冒険は続く(6月25日Sportsnavi)から引用

大会14日目。日本のサッカーファンにとって、極めて重要な一戦の日がついにやってきた。グループE最終戦、日本対デンマークの試合が行われる、ここルステンブルクの天候は気持ちのよい快晴。キックオフとなる20時30分には、ぐんと気温が冷え込むことは分かっていても、それでも何となく晴れがましい気分になる。

この日は単なる「決戦の日」ではない。グループリーグで同組になった3チームと、完全にオサラバできる日でもあるのだ。思えば昨年12月2日のワールドカップ(W杯)ファイナルドロー以降、われわれはずっとカメルーン、オランダ、デンマークに関するニュースを貪欲(どんよく)に集めまくっていた。戦力分析、親善試合の結果、そして負傷者情報から内紛のうわさまで、サッカーファンを自認する日本人のほとんどが、そうした情報を共有してきたのである。これは世界的に見ても稀有(けう)なことで、デンマークの人々は5月の段階でもグループEの対戦相手を把握していなかったくらいだ。いずれにせよ、半年間も勉強してきたおかげで、私たちはこの3カ国については随分と詳しくなった。

<中略>

余談ながら今年の5月、取材でデンマークを訪れて強く感じたのは、彼らのメンタリティーが「日本人に近い」ということであった。決して出しゃばらず、謙虚で、周囲に対して気遣いができる。「チームワーク作業が得意」というのも特徴だ。一方で違いについて挙げるなら、やはり「仕事よりも家庭」という感覚が徹底していることだろう。仕事は午後5時で切り上げ、残業もしなければ飲みにも行かずにまっすぐ帰宅し、家族全員で食卓を囲む。男性の家事負担は当たり前で、掃除も料理もできない男は女性から相手にされないそうだ。このあたり、私を含めた多くの日本人男性にとっては少し耳の痛い話だが「エプロン姿のベントナー」とか「こまめに掃除するアッガー」を想像するのは何となく楽しい。われらが代表には、気分をほぐす意味でもぜひ「家事をするデンマーク代表」をイメージしてからピッチに入ってもらいたい――って、もう遅いか。

<中略>

とはいえ、試合から一夜明けた1日だけは、この勝利の余韻に浸っていてもよいだろう。私は今、この原稿を執筆しながら、遠い日本のことを想像している。今ごろ自他ともに認めるサッカーファンのあなたは、眠い目をこすりながら学校や職場に向かっていることだろう。そしてクラスメートや同僚から「日本、すげえな!」とか「本田って、なんであんなキックが蹴れるの?」といった賞賛やら質問やらを一度に浴びせられて戸惑っていることだろう。そして、ほんの1カ月前までは「日本、弱いね」とか「何でオカチャンが監督なの?」といったことを平然と口にしていた連中が、手のひらを返して浮かれていることに、きっとあなたはにこやかに対応しつつ、心の中では舌打ちをしていることだろう。そんな状況にいるあなたが、今の私にはとてつもなくうらやましい。

いずれにせよ、これで日本代表の冒険は、まだしばらく続くことになった。こうなったら、この冒険が続く限り、われわれもとことん付き合い、喜びと落胆を共有しようではないか。私もこの原稿を書き終えたら、ひとり静かに祝杯を挙げることにしたい。



以下、ベスト8への執着(6月30日Sportsnavi)から引用

大会19日目。この日6月29日は、日本代表にとってまさに「新たな歴史を作る日」である。すでにインターネットでは「日本を青く染めろ!」というキャンペーンが拡散中であった。ウルトラスニッポンのツイッターから引用すると「Tシャツ、Yシャツ、靴、ハンカチ、ネクタイ、パンツ、青いものなら何でもいいので身につけ」「南アだけじゃなく、日本、世界中でひとつになろうよ!」というのが主旨である。

<中略>

意外と知られていないことだがパラグアイは、1930年の第1回大会の数少ない出場国である。W杯出場は今回が8回目だが、南米3番手の地位を確立させ、連続して本大会に出場できるようになったのは、ここ4大会のことである。だが、4大会中3大会は、なぜか決勝トーナメントでのゴールに恵まれず、ベスト16が精いっぱいという状況が続いていた。そんな彼らだからこそ、今回のベスト8進出については、まさに国民レベルで喜びを爆発させたのである。いみじくも岡田監督は、この試合の敗因について、自身の「執着心が足りなかった」と答えている。少なくとも「ベスト8への執着」という点では、パラグアイは日本の比ではなかったと言えよう。

今大会における日本代表の総括については、また日を改めて言及するつもりである。が、現時点で言えることは、日本が02年大会以来となるW杯での4試合を国外で経験し、しかも延長戦とPK戦という未体験ゾーンを体験したことは、今後の日本サッカーの発展を考える上で極めて重要であると考える。それと同時に忘れてならないのが、この日わが国は「たかがサッカー」のために、少なからずの国民がブルーを身につけ、そして何となく昼食や夕食にカツ丼やカツサンドを口にしたという事実である。これほどまでに国民が一丸となったことが、近年の日本でどれだけあっただろうか。今大会の日本代表の歩みは、競技レベルでは小さな前進でしかなかったかもしれないが、実のところ、サッカーの枠を超えた大きなムーブメントを巻き起こしたことについては、もっと評価されてよいように思う。日本代表の一行は、間もなく帰国の途に就くことになるが、彼ら自身が日本のあまりの変わりように、きっと口をあんぐり開けて驚くことだろう。その光景を想像するだけでも「終戦」の悔しさを忘れて、何とも楽しい気分になるではないか。



以下、インテル化するW杯(7月2日Sportsnavi)から引用

南米勢すべてと中米のメキシコがグループリーグを突破した一方で、前回のファイナリストであるイタリア、フランスが敗退。優勝候補と言われていたスペイン、イングランドも序盤はいまひとつの出来だった。

<中略>

全体的な戦術の傾向は守備中心である。深く引いて守備ブロックを作って組織的に守る。そしてチャンスは少なくてもカウンターアタックやセットプレーから得点を狙う。日本がまるっきりそうなのだが、一部の強豪国を除いてはこのやり方が多かった。イビチャ・オシム氏は「モリーニョの考え方に支配されている」と言っていたそうだ。確かにチャンピオンズリーグ(CL)でインテルが披露した戦法をコピーしたようなチームが多かった。インテルはバルセロナに対抗するためにアレをやったわけだが、W杯で流行したのは短時間で形になり、成果も出やすいからだと思う。

グループHではスイスがインテルのようにプレーし、バルセロナのようなスペインを初戦で下している。これには2つの要因が絡まっている。
まず、今大会のほぼすべてのチームがゾーンディフェンスを採用していて、4人×2ラインを基調とし、規則的なポジショニングで組織的に守る。ここまで1つの守備戦術に統一されたW杯は近年にはない。この守備戦術に対して、その規則性ゆえに規則的に穴を空けられることを証明したのが2年前のユーロ(欧州選手権)で優勝したスペインだった。規則的なポジショニングといっても、全員が同時に動けるわけではない。各選手のポジション移動には必ず“時差”が生じる。時差はスペースを生む。そのスペース、人と人の間に規則的にできるすき間にパスをつなぐことで、周辺により大きなスペースを生むことができる。スペインのパスワークがそれを可能にした。

<中略>

しかし、スペインと対戦しないチームもインテル式に傾いていたのはなぜか。これは簡単にいえば、すでに記したようにその方が短時間でマネできるからだ。スペインやバルセロナになるのは無理だが、インテルならまだ何とか形になる。スペイン式を成立させられる技量がなければ、パスワークに失敗してカウンターを仕掛けられてしまう。リスクが高い。要は、W杯では誰も負けたくなかったのだ。より簡単で、成果の出やすいほうに飛びついた。その背景には、代表チームに多くの時間を割くことはもはや、どの国にとっても容易ではないという事情も横たわっている。

インテル化。これが今大会のトレンドといっていいかもしれない。ただし、インテルほどうまくやれるチームは実は少なかった。インテルにはディエゴ・ミリート、エトー、パンデフ、スナイデルといった強力なアタッカーがいる。彼らがやったのは“強者のカウンター”だった。しかし、W杯でインテル式を採用した多くの国には強力なカウンターのスターはおらず、普通に弱者のカウンターにすぎなかった。

<中略>

こうしたカウンター主体の戦術とは対照的に、ボールを支配して主導権を握り、より多くのチャンスメークと得点を狙うスタイルでプレーしていたチームとしては、アルゼンチン、オランダが挙げられる。ともにメッシ、ロッベンという特別な武器を持っているのが共通点だ。個人のドリブルで組織に穴を空けられるタレントがいる。この2人は、現代の守備戦術への1つの回答だ。
初戦のナイジェリア戦で、メッシがドリブルを開始した時のほかのアルゼンチン選手たちは、まるで置き物みたいだった。メッシが苦しくなったときにワンツーをするための壁、ピンボールの障害物みたいになっていた。メッシやロッベンという個の力を生かすために、ほかの選手がいかに動き、または動かないで助けるか。バスケットボールのアイソレーション的な発想と言えるかもしれない。ただ、アルゼンチンとオランダは攻めているときは強いが、守備はそれほどでもない。攻められた時にどうなるかはまだ分からない。これはスペインも同じだ。ブラジルとドイツは強者のカウンターができて、相手に引かれたときにはパスワークを駆使できるし、セットプレーからねじ込むこともできる。最もバランスのとれた2チームで論理的には優勝に近い。

しかし、大会で最も驚きを与えたのはチリだと思う。非常に攻撃的かつ組織的で、さほど特別なタレントがいないのに多くの決定機を作り出していた。即興ではなく、準備された攻撃のアイデアが見られた。また、単純に攻撃に人数をかけてもいる。リスクを冒していた。チームとしてリスクを冒す方法を知っていたとも言える。攻撃して得点するために緻密に準備されたチームだった。もちろんリスクはゼロにはならず、ゼロどころか多大なリスクを負っているために、スペインやブラジルには決定力の差でやられてしまったが、彼らの勇気と攻撃の美学はかつてのブラジル、オランダが持っていたものだ。インテル化に迎合せず、スペインやオランダとも違う独自の方法を示して多くのファンを獲得した特異なチームだった。







4年前のドイツ大会で日本の惨敗に涙した時から、日本のサッカーというものに猛烈に興味が沸きました。初めて(ホントの意味で)W杯を観た気がして、Jや代表の試合を今まで以上に観て考えるようになりました。

お蔭さまで海外サッカーはどんどん分からなくなる中で、今大会で韓国代表イ・ジョンスの活躍なんて、えせアントラーズファンの自分からしたら日本の活躍みたいに嬉しかったわけで(ねぇ?てっさん)。だからか最近は(にわか?)代表ファンが増えているみたいで嬉しいってか楽しい。矢野や岩政が代表に選出された時に歓喜した人がどんだけいるんだよって思ったわけで。そりゃー代表を盛り上げるためなら、嘘でも小野を呼べって思った時もありました。すみません。

この一瞬かもしれない熱狂がJに繋がって、なんとかなんとかJがアジアNo.1リーグに返り咲けば、代表はもっともっと強くなって今大会以上の熱狂があるんじゃないかと思う今日この頃。アジア勢の躍進にACLの苛酷な戦いってのが地味に影響している気もするしなー

とりあえず『日本代表の理想のサッカー論』は監督ごとに変わるようなもんならば、あんま掲げない方が良い気がします。それこそ政治でいうところのマニフェスト状態に陥る気がしてならないしなー

長くなりましたが、いよいよ梅雨も明け夏本番ですね。どんどん季節は流れて!