以前から口コミなどで評価の高かった「エスター」をようやく鑑賞することができた。
DVDのパッケージは一見エクソシスト系か?という感じだがそうではない。現実にいそうな嘘つき、サイコパス、人間関係クラッシャーといった悪意を一気に集めた一人の少女の話だった。内容は違うが「ゴーンガール」の不気味さと同じ感覚を味わえる。
夜中の1時に見始めて半分で寝ようと思っていたら3時まで一気観してしまった。それくらい引き込まれ、続きが気になってやめられなかった😨
あらすじは裕福な夫婦が孤児院から9歳の女の子エスターを引き取り、次々と不可解な出来事が起こる。徐々に家族(特に母親)が孤立させられ追い詰められていくという話。終盤に近づきエスターの驚愕の正体がわかる。
この映画の後アメリカで「リアルエスター事件」が起きた。これまた映画とそっくりな話で恐ろしい。これから観られる方はネットなどで検索せずに何の知識もなく視聴してほしい。ネタバレを読んでしまったらこの映画は意味がない。
ここに出てくるエスターのような人は身近にいそうだから怖い。いや、実際いた。人によって態度や言動を変えるのでターゲットにされた以外の人からは「いい人」だと思われている。その「いい人」を避けようとしている者が、おかしいとか意地悪だとみなされ敬遠されてしまう。
前のパート先でリアルエスターのおばさんに出会ってしまった。彼女は一回り年上で、事務職として採用された役所で半年ほど先に働いていた。会った時から違和感はあった。個人情報の質問がやたら多い。前職は何か、結婚しているのか、どこに住んでいるのかなど。職場であまり個人的な話はしたくないのだが、直接教えてもらうのが彼女になる。無難な受け答えをした。
一通り質問を終えると「私はバツイチなの。独身で働いてきてても年金は主婦と一緒なんだよね」と不満そうに呟いた。額が同じなんて、そんな筈はないのだがそう信じきっているようだった。ああ、ここにもいたか。専業主婦を毛嫌いする女性が。でもデスクも隣同士、共同でする作業も多い。なんとかうまくやっていかないと、とこちらは愛想良く振る舞った。
たまにランチに行くと彼女の結婚していた時の話が始まる。子供がいなかったからイタリアをはじめヨーロッパによく旅行に行っていた、と。いや、先週は離婚した原因はお金がないって話じゃなかった??本人は自分が話した事を忘れてしまっているのか毎回矛盾した事を言う。だんだんと話の殆どは嘘だと分かってくる。そもそも本当に婚歴があるのかも謎だった。
ある日別の事務所の40代の職員が仕事で運転していた際に、トラックに追突されて亡くなるという事件が起きた。幼い子供2人のために寄付を募るメールが配信された。彼女はそれを読みながら周りには聞こえないようにこちらに向かってそっと「結婚している旦那さんが亡くなっても退職金と生命保険と遺族年金で奥さん万々歳だよね」と嬉しそうに囁いた。頭の中に赤信号が灯った。彼女の近くにいてはいけない。
その後もサイコパス的行動や言動が毎日のように繰り返された。いつも左側から嫌味、人の悪口などを聞いているうちに左耳の耳鳴りが始まり耳鼻科に通うまでになってしまった。
彼女以外には不満もなかったのだが次の更新時に契約はしない事にした。同じ空気も吸いたくなかった。最終日、職場を出た瞬間に何かあった時のためにと交換していた連絡先を受信拒否設定した。幸い退職してひと月程で耳も改善されていった。
スマホには彼女から送られてきたパワハラめいた言葉や他の職員さん達の悪口を書いた数々のメールが残っていた。自分が正職員だったら戦っていただろう。しかし後から入ったパートの身で、職員には裏の顔を一切見せない彼女をなんとかする事などできなかった。
今後このようなサイコパスに出会ってしまったらどうすれば良いのだろう?今まで自分が幸運だったのか世間知らずだったのか、あんな悪意を持った人に会う事はなかった。会う確率としてはとても低いものだろうが、社会に出るのが怖い。
映画で母親がエスターに違和感を覚えたように、自分の中に「もう無理!」という直感があったとしたらそれを信じるしかない。母親も自分も何かがおかしいと感じても「そんなはずない」と対応が遅れて病院に行く事になってしまった。逃げる🏃♀️。それしかない。
「エスター」は過去の体験を客観的に見せてくれた。まるで追体験したかのように、映画の中に入りこんでしまった。お気に入りには絶対ならないが、生涯忘れられない一本になるだろう。
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