30歳で休職しトロントの語学学校に通う事になった。
ダウンタウンの中心部にあるその学校は母国語禁止などのルールがあり講師も真剣に向き合ってくれる。バスと地下鉄を乗り継ぎお店に寄る機会も多かったので校外でのコミュニケーションをとることができた。
ホームステイ先にも恵まれて家族も積極的に会話をしてくれた。おかげで英語の聞き取りや会話する事に関してはだいぶ慣れる事ができたように思う。
しかし…学校やホームステイ先はスラングなど使わず正しい英語でスピードにも考慮して話してくれる。講師や家族とは話せてもネイティブ同士の会話やCNN等の聞き取りなどは全然ついていけなかった。
約半年の語学留学は成果はどうだったか?ネイティブ並みには当然なれなかったが英語を使うという事に抵抗がなくなった、という程度で帰国した。
会社に戻るとすぐに異動になり退職する8年後まではほぼ毎晩深夜まで残業の日々となった。新しい部署では海外とのやり取りがあったが殆どメールのため問題はない。そこでビジネス英語をかなり学ぶ事ができた。
海外との交渉、などと言うと英語上級者と思われがちだがそんな事はない。型番、数量、価格、納期さえ英語で言えればなんとかなる。
朝から晩まで品物の確保とメーカーの対応に追われ時は過ぎていった。休日に発音教室に通ったり独学もしていたが、なかなか満足できるレベルには達しなかった。
家ではSATCやデスパレートな妻たちなどのDVDを利用した。英語字幕や字幕無しでひたすら繰り返す。
学生時代よりは勉強していたが、まだまだ学習時間は足りない。最終目標は日本語並みに英語を使いこなせること。毎回頭の中で翻訳したりせず自然に話せること。そして外資に就職すること。
その目標には全然届いていなかった。そんな中、旦那の異動の辞令が出る。30代後半になっていた。
つづく