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人間よりコンピュータが強い時代に何が起きるか

2012-03-26 03:51:54 | 将棋について
将棋ソフトが人間より強くなったとき、将棋界に何が起きるか。
今回はそのことについて考えてみます。

昨年2011年は、コンピュータ将棋の強さが認知された年でした。ponanzaとボンクラーズが将棋倶楽部24でレーティング3000(+勝率9割)と席巻しましたので、人間より強いというのが確定したと思います。

将棋倶楽部24にはプロ棋士も多数参加していますので、早指しという限定は付きますが、コンピュータ将棋が人間を超えたのは自明です。


では、「人間VSコンピュータ」という問題設定が終わって、コンピュータの方が強いという前提ができたとき、将棋はどのように変わっていくでしょうか。

個人的に自信をもって予測したいことがあります。

それは、女流将棋の人気が急上昇するということです。


今まで、女流棋士というのは「おまけ」というか「付録」というか、そういった位置づけにありました。

女流棋士というのは実力的にプロ棋士になれなかったことを意味しますので、将棋の普及のために設けられた特殊システムという位置づけです。

しかし、人間よりコンピュータが強いとなれば、プロ棋士かそうでないかという重要性が薄らぐと思います。

というのも、「プロ」と「アマチュア」の区分けが意味を持つのは、「実力への信仰」があるからです。プロがアマチュアよりも尊敬され、アマチュアが軽視されるのは、実力の乖離があるからです。

しかし、人間よりも強い存在があって、そこにはプロであれアマチュアであれ「等しく敵わない」となれば、プロとアマチュアの区別が意味をもたなくなります。

まして、その最強への存在(コンピュータソフト)には、誰でも簡単にアクセスできます。トップレベルの将棋ソフトであるボナンザやGPSは無料ですし、劇指は1万程度です。つまり、プロよりも手元にあるPCに入っている無料ソフトの方が強い、という時代が到来することになります。

もちろん、コンピュータ将棋が公式戦で使われるときには、ハイスペックPCの並列処理で使ったりしますが、後5年もたてば個人PCに入れてある将棋ソフトでもプロは勝てなくなりそうです。(ソフトもハードも進化していますので)

そうしてプロへの実力信仰が薄らぐと、実力以外の部分に関心が向くはずです。

すぐに思いつくのは、女流棋士です。女性というだけで将棋ファンの関心は高いわけですから、人気が上昇するのではないでしょうか。

実際、すでに人気が出てきたように感じます。
昔に比べて、女流棋戦についての記事をメディアで見ることが増えてきましたし、ネットでも話題になることが多くなってきました。

プロテニスなどのスポーツ業界と同様に、女流将棋がビジネスとして成立する時代が来そうです。

直接対戦すれば男子が勝つだろうけど、それはほとんど問題にならずに、女子プロのファンがいる。プロテニスやプロゴルフなど、多くのスポーツ界はそういう世界です。

今まで、将棋界で女子プロが成立しなかったのは、将棋という頭脳ゲームゆえに「実力信仰」があったからなのです。