米長会長とボンクラーズの電王戦がありました。
今回はタイムシフト視聴も無料のようです。
→将棋電王戦 ニコニコ動画
結果はすでにニュースでご存知かと思いますが、ボンクラーズの快勝でした。
しかし、いろいろな意味で刺激的なイベントでした。
<対局の感想>
■戦形がなんとプレマッチと同じ。
ボンクラーズは四間飛車、米長会長が62玉戦法。
最後の記者会見で米長会長が語るには、62玉戦法は対コンピューターとして有効であるという結論だったから採用したとのこと。
普通の戦法を採用してもボンクラーズが強すぎる、ということの裏返しだと思います。
■中盤までは、米長会長が金銀の厚みで圧迫して、こう着状態を作ることに成功。
ボンクラーズが手に困って飛車を反復させるような状態。
ただし、ボンクラーズは膠着した状態でも悪手を打ったりしないので、むしろコンピュータ将棋の進化を感じさせました。
■62玉戦法はとにかく悪形。駒が上ずってしまっているので、大ゴマ交換すれば不利。玉飛が近いので、金銀交換でも不利。戦線をひらくことができない厳しい状態でした。
■後手が有効活用したはずの金が足を引っ張る形になって勝負あり。中盤を過ぎたあたりから、後手に勝ち目がない形となってしまいました。
ということで、序盤は米長会長が頑張ったようにも思えますが、中盤からはちょっと勝ち目がない残念な形となってしまいました。終盤まで混戦が続くような面白い将棋とは言えませんが、健闘を称えたいと思います。
<その後の記者会見>
勝負の後に記者会見がありました。これは非常に重要な会見だったと思います。
コンピュータ将棋に興味のある人はここだけでも見た方がいいですよ。
■来年の電王戦で5局一斉対局が予定されています。
本当は1年に1局で5年続ける予定だったようですが、急きょ1年で一気にやるようにしたそうです。この決断に拍手を送りたいです。
今のコンピュータ将棋の強さから考えると、1年1局のもったいぶった対局スケジュールでは間延びするだけで興ざめでした。しかし、一気にプロ棋士5人とやるなら盛り上がります。こういった決断をとっさに行える柔軟性は、さすが米長会長というべきでしょう。顧客(将棋ファン)の心理を直感的に把握しています。
■ドワンゴ(ニコニコ動画)が積極的に支援するそうです。
記者会見にはドワンゴ社長も登壇。電王戦への継続支援を表明しました。
上州将棋祭りでもそうですが、ニコニコ動画は何時間でもぶっ通しで生中継できます。今回の電王戦でも9時間ぶっ通しですよ。これはテレビでは真似できないことで、ネットメディアの強さが際立っています。今後、ニコニコ動画が将棋中継のインフラとして活躍することでしょう。
■米長会長とボンクラーズとの練習対戦での結果。
米長会長は練習でボンクラーズと150戦ほど対局したそうです。
そのときの勝率は、1割ほどだったそうです(1分将棋で)。将棋倶楽部24でボンクラーズの勝率は95%近いですから、プロ棋士でもそのあたりが限界のような気がします。(ちなみに、将棋倶楽部24のR2800以上にはプロ棋士が多いはずです)
いずれにせよコンピュータ将棋の強さは本物だということが実感できました。
■将棋連盟がもっているコンピュータ将棋についての見解が明らかに。
米長会長の発言として、次の見解が示されました。
・将棋指しの使命は最善手という真理の追究であって、それが人間によるものかコンピュータによるものかは関係がない。
・将棋連盟は今までもコンピュータ将棋協会を資金的にも人材的にも支援してきた。これからも支援する。(コンピュータが脅威であるとか、そういうスタンスではないようです)
・自動車の方が速く走れても、箱根駅伝のように人間が走る感動が薄れるわけではない。どんなにコンピュータ将棋が強くなってもプロ棋士同士の対局はファンに感動を与えられる。
将棋の歴史に残る記者会見だったのではないでしょうか。
ここ数年は、コンピュータ将棋が人間より強くなるという歴史的な瞬間に来ています。
プロ棋士は存在意義をどのように主張するか難しい時期にいます。
その中で、将棋連盟の会長が明確なスタンスを表明したことは意味のあることです。
上記の見解は、きわめて妥当なものだと思いますし、逃げも隠れもしない堂々としたものでした。
ということで、やはり主役は会長でした(笑
今回はタイムシフト視聴も無料のようです。
→将棋電王戦 ニコニコ動画
結果はすでにニュースでご存知かと思いますが、ボンクラーズの快勝でした。
しかし、いろいろな意味で刺激的なイベントでした。
<対局の感想>
■戦形がなんとプレマッチと同じ。
ボンクラーズは四間飛車、米長会長が62玉戦法。
最後の記者会見で米長会長が語るには、62玉戦法は対コンピューターとして有効であるという結論だったから採用したとのこと。
普通の戦法を採用してもボンクラーズが強すぎる、ということの裏返しだと思います。
■中盤までは、米長会長が金銀の厚みで圧迫して、こう着状態を作ることに成功。
ボンクラーズが手に困って飛車を反復させるような状態。
ただし、ボンクラーズは膠着した状態でも悪手を打ったりしないので、むしろコンピュータ将棋の進化を感じさせました。
■62玉戦法はとにかく悪形。駒が上ずってしまっているので、大ゴマ交換すれば不利。玉飛が近いので、金銀交換でも不利。戦線をひらくことができない厳しい状態でした。
■後手が有効活用したはずの金が足を引っ張る形になって勝負あり。中盤を過ぎたあたりから、後手に勝ち目がない形となってしまいました。
ということで、序盤は米長会長が頑張ったようにも思えますが、中盤からはちょっと勝ち目がない残念な形となってしまいました。終盤まで混戦が続くような面白い将棋とは言えませんが、健闘を称えたいと思います。
<その後の記者会見>
勝負の後に記者会見がありました。これは非常に重要な会見だったと思います。
コンピュータ将棋に興味のある人はここだけでも見た方がいいですよ。
■来年の電王戦で5局一斉対局が予定されています。
本当は1年に1局で5年続ける予定だったようですが、急きょ1年で一気にやるようにしたそうです。この決断に拍手を送りたいです。
今のコンピュータ将棋の強さから考えると、1年1局のもったいぶった対局スケジュールでは間延びするだけで興ざめでした。しかし、一気にプロ棋士5人とやるなら盛り上がります。こういった決断をとっさに行える柔軟性は、さすが米長会長というべきでしょう。顧客(将棋ファン)の心理を直感的に把握しています。
■ドワンゴ(ニコニコ動画)が積極的に支援するそうです。
記者会見にはドワンゴ社長も登壇。電王戦への継続支援を表明しました。
上州将棋祭りでもそうですが、ニコニコ動画は何時間でもぶっ通しで生中継できます。今回の電王戦でも9時間ぶっ通しですよ。これはテレビでは真似できないことで、ネットメディアの強さが際立っています。今後、ニコニコ動画が将棋中継のインフラとして活躍することでしょう。
■米長会長とボンクラーズとの練習対戦での結果。
米長会長は練習でボンクラーズと150戦ほど対局したそうです。
そのときの勝率は、1割ほどだったそうです(1分将棋で)。将棋倶楽部24でボンクラーズの勝率は95%近いですから、プロ棋士でもそのあたりが限界のような気がします。(ちなみに、将棋倶楽部24のR2800以上にはプロ棋士が多いはずです)
いずれにせよコンピュータ将棋の強さは本物だということが実感できました。
■将棋連盟がもっているコンピュータ将棋についての見解が明らかに。
米長会長の発言として、次の見解が示されました。
・将棋指しの使命は最善手という真理の追究であって、それが人間によるものかコンピュータによるものかは関係がない。
・将棋連盟は今までもコンピュータ将棋協会を資金的にも人材的にも支援してきた。これからも支援する。(コンピュータが脅威であるとか、そういうスタンスではないようです)
・自動車の方が速く走れても、箱根駅伝のように人間が走る感動が薄れるわけではない。どんなにコンピュータ将棋が強くなってもプロ棋士同士の対局はファンに感動を与えられる。
将棋の歴史に残る記者会見だったのではないでしょうか。
ここ数年は、コンピュータ将棋が人間より強くなるという歴史的な瞬間に来ています。
プロ棋士は存在意義をどのように主張するか難しい時期にいます。
その中で、将棋連盟の会長が明確なスタンスを表明したことは意味のあることです。
上記の見解は、きわめて妥当なものだと思いますし、逃げも隠れもしない堂々としたものでした。
ということで、やはり主役は会長でした(笑