SHISHIRA

「憂きことの 尚この上に積もれかし 限りある身の力試さん」

「ひみつのアッコちゃん」にみる危険な高度成長期。

2020年08月03日 | 日記
1969年から放送された「ひみつのアッコちゃん」。


再放送も放送されていたのでよく見ていたアニメです。
当時のアニメは、良いことと悪いこと、みんなと仲良くすることなど、守るべきルールを教えていたように思います。

時代は高度経済成長期でした。
環境よりも経済成長を優先し、大気汚染が基準値を超えると「光化学スモッグ警報」が町中に響き渡り、外で遊ぶのが日常の子どもたちはさっさと家に帰って行きました。どこでも工事が行われていて、資材などがあらゆるところに積まれ、冷蔵庫や車なども捨てられていました。それは子どもたちにとっては格好の遊び物でした。危険なモノとは知らず、そんなものが捨てられている場所を「基地」と呼んでいたものです。
今では考えられない時代でした。

捨てられた冷蔵庫の中に入り、窒息死する事故が1960年代には多発していました。子どもが見る「ひみつのアッコちゃん」でもそれが取り上げられ、それが随分と記憶に残っていました。
動画もありますが、画像で紹介します。

第44話「夕日にとどけ天使の願い」 1969年11月10日放送


子どもたちがかくれんぼを始めました。


公園の近くで大きなごみが捨てられています。壊れた鏡を見てショックを受けるアッコ。


鏡の破片を元通りにしました。


「今は使い捨ての時代だぜ!」「この冷蔵庫も最新型を買ったから捨てたんだ」という大将。


かくれんぼしている少将が冷蔵庫に入ろうとする。


アッコは「そんなところに入ったら死んでしまう」と少将をとめる。少将は「どうして?」と言う。アッコは「中からは開けることができないんだから」と。大将は「兄貴の俺がいるんだから大丈夫だ。入れ!入れ!」と言う。アッコは「前に新聞に出ていたでしょ!」と言うが大将は聞き入れす、少将は冷蔵庫に入ってしまう。


カン吉がやってくる。「モコが探している。大至急話があるって」と。


急いでモコに会うため走るアッコ。十字路で衝突する。モコは「アッコちゃんモーレツね」今日のバレエ公演の招待券を貰ったという知らせだった。

※「あーモーレツ!」は当時流行った丸善ガソリンのCMでした。

カン吉が冷蔵庫から降りろというが、兄貴のメンツでここはどかないと言う。


「ニコニコ堂菓子店」がオープンしたので、チンドン屋が風船を配りながら、お菓子のつかみどりをやると言っているのを聞いた大将は冷蔵庫から離れてしまう。


お菓子のつかみ取りに夢中になり、冷蔵庫のあった場所に戻ってみると無くなってしまっていた。


バレエを見に行くためバスを待っていたアッコとモコ。鏡が反射して少将が入った冷蔵庫が運ばれていくのを発見する。


警察が動きます。


アッコは「テクマクマヤコン テクマクマヤコン ハトになれ〜」。


光化学スモッグで飛べなくなったアッコは地上に落ちてしまう。


コンパクトの鏡が割れてしまう。鏡の妖精に鏡を直したいというものの、妖精はできないという。ただできる方法あるが、「私の口からは言えない。あなたが見つけるしかないの」と。なかなか厳しい。


警察から廃品処理場にトラックが入った知らせを聞き、探しに行くがみつからない。廃品処理場の責任者に聞けば、運転手はもう帰ったと。ヘリコプターも運転できるからヘリポートにいるかもしれない。


ヘリコプターに乗ってトラックを追跡する。


トラックを発見!燃料切れでヘリコプターは不時着。
アッコは転んで出血。大将は笑い茸を食べてしまう。


力尽きたアッコは、コンパクトを開きながら涙する。
コンパクトに涙が落ちた時、鏡が直る。鏡を直すポイントは涙だった。


鏡の妖精と一緒に少将のもとへ。


無事救出された少将。







ごみの取り締まりを訴える大将の父、文造。


子どもたちは立て看板を立てる。


エンディング


こうやってアニメで注意喚起することを思うと、大きな社会問題になっていたのでしょう。
次から次へと新しい電化製品が売られる一方で、使わなくなったものは投棄されていくし、子どもの遊び場所は危険ばかりだったようです。こんな時代に日本は東京オリンピックが開催されていたんですね。公害病が発生して環境庁が設置されたのは、1971年のことです。

ちなみに、「テクマクマヤコン テクマクマヤコン ○○になれ〜」(テクニカル・マジック・マイ・コンパクトの略)、元に戻る時は「ラミパス ラミパス ルルル……」(スーパーミラーの逆さ読み)とのこと。Wikipediaより。