コリアンジャパニーズ

韓国系日本人のひとりごと

親父のこと

2012-10-26 22:04:55 | インポート

父親のことを「アボジ」というらしい。らしい、というのは、そんなことを言った経験が皆無だからだ。

親父は現在も健在で、悠々自適に暮らしている。とても温厚で優しい父だが、若いときは血の気が多く、手も早かった。酒好きだったが、働き者だった。小さな工場を独力で開業し、名前だけの社長業をしていた。もうやめているが、仕事はケミカルシューズの加工で、毎日油まみれになって、真っ黒になって働いていた。かっこ悪い仕事だったが、それで私を育ててくれた。ケミカル産業は、阪神大震災で壊滅した神戸の長田区で盛んだったが、現在はほぼ中国に仕事を奪われ、日本の産業として残っているのかわからない。

神戸でもそうだったらしいが、これは在日の仕事だった。たぶん、昔の皮革産業の流れを組んでいて、被差別者の行うものだったのだろう。血の穢れを嫌う日本人は、動物の皮を使った製品を被差別者に行わせていた。日本にやってきた韓国人は、日本人の嫌がる産業に従事することで生き残った。それなりに成功したようで、私を含めて兄弟全員を大学に進ませてくれた。嫌われるが、必要な産業だから稼げたのだろう。必要な産業を毛嫌いする……どうしても私は、日本人が日本の被差別者をバカにする感覚がわからない。

韓国人は日本人が行わない仕事をして生きてきた。せざるを得なかったのだろう。皮革だったり、ゴミ拾いだったり、肉の解体だったり。それでも「祖国」よりいい生活を送れた。日本はありがたい存在だ。しかし、そういった真面目に生きたものだけではない。裏産業に従事するものもいる。ヤクザや売春婦、そしてギャンブル。

パチンコの多くが在日の仕事なのは有名だ。とはいえ、私の周りには幸いにも、パチンコ屋を経営している人間はいなかった。幸いにも、というのは、あれは違法なものだからだ。どう考えてもギャンブルそのもので、あれを「白」もしくは「灰色」といっている人間はかなりおかしいと言わざるを得ない。100%博打でしょ。法律でギャンブルを認めているのならいいが、ダメといっているのなら、存在できる理由がわからない。ノミ屋とどう違うのか? 違法ルーレットとなにが違うのか、私はまったく理解できない。

警察が、管理の名のもとにパチンコを支配しているという話を聞く。民主党にパチンコ業界の金が相当ながれているという話も聞く。たぶん本当なのだろう。でも、パチンコは違法だ。親父は卑賤な仕事をしていたのかもしれないが、少なくとも裏の仕事はしていなかった。私はいまも父を尊敬し、感謝している。