吹く風ネット

災難は続いた(前)

 四十数年前に住んでいたのが高田馬場。建て付けの悪い下宿屋で、面白くない生活を送っていた。

 そこに住んで二年目のことだった。赤い発疹騒ぎから十日ほど経ったある日、ぼくは金銭的な理由から、その前日と前々日の食事を抜いていた。そのせいで腹が減って減ってたまらない。おそらくそのことが仕事に影響したのだろう、その日はえらくポカが多かった。

 それを見かねたのか、単にタイミングがよかったのか、そのへんは定かではないが、職場の人がアイスクリームを奢ってくれた。
「乳脂肪と糖分か。これはお腹が膨らむな。この際冷たくても何でもいいや」
 と、ぼくはそのアイスクリームを食べ、これまたもらったタバコを立て続けに吸った。

 さらに親切な職場の人は、帰り際に「これはもう売れないから」と、消費期限の微妙なカップラーメンをくれた。それを見てぼくは感激した。
「おお、今日は飯にありつける!」
 ぼくはそのカップラーメンを片手に、温かな気持ちで家路を急いだのだった。

 夜中、事件が起きた。

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