吹く風ネット

口笛

 小学生の頃、ぼくは窓際の席になることが多かった。夏は日光をもろに受けるし、冬はすきま風が入ってくるし、けっこう苦労したものだ。
 とはいえ、窓際生活も悪いものではなかった。のどかな外の風景が見えるので、退屈な授業でクサクサしている時の気分転換には持ってこいだった。

 ある日のことだった。退屈な授業中、いつものように気分転換していると、窓にハエが止まった。そのハエを追い出そうと、ぼくは息を吹きかけた。ところが運悪くそれが口笛になった。
「誰か、授業中に口笛吹く奴は!?」
 先生の怒号が飛んだ。すかさず「しんた君です」という声が聞こえた。告げ口魔のリエだった。
 先生はツカツカとぼくの横に来て、頭を思いっきりひっぱたいた。
「またお前か、廊下に立ってろ」

 その後も何度かリエから被害を受けた。そのたびにぼくは『復讐してやる』と思ったものだ。だが、その年の暮れ、リエはどこかに転校して行った。
 結局復讐は出来なかった。いや、思いが天に通じたのかもしれないな。ピー♪

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