お話

日々思いついた「お話」を思いついたまま書く

ある男の日記 ④

2019年06月27日 | ある男の日記(全5話完結)
 6月24日(月)
 今日は朝から気分が優れない。
 昨日のひろみの様子が原因だ。オレの部屋に来た時、オレの部屋の中を見たのではないか? 台所スペースと奥に一部屋あるだけなのはひろみの部屋の作りと変わっていない。
 だが、オレの部屋には何も無いのだ。ガス台も冷蔵庫も。台所と部屋との仕切りの曇りガラス入りの引き戸は開け放してあるので、部屋に何も置かれていないのも見えただろう。
 不審に思うだろう。
 昨日の浮ついていた自分を殺してやりたい! だが、殺すべきはひろみか? いや、オレの思い過ごしだ! 本当にそう言い切れるか? 悩んでいる……
 ひろみは帰って来ていない。


 6月25日(火)
 気分転換に昼間外出した。
 途中、ひろみといっしょに居た男を見かけた。一人で居た。視線が一瞬だが合った。
 男はオレの視線を避け行ってしまった。
 明らかにオレの事を知っているようだった。
 ひろみが教えたのか?
 追いかけて、ひろみとの関係を尋ねたかった。しかし、この今のオレにはそんな勇気はない。
 結局、そのまま帰って来た。
 今までとは違う妄想が頭をいっぱいにする。


 6月26日(水)
 ひろみが帰って来たようだ。
 階段を上る靴音が二つ、ひろみの部屋から壁越しに聞こえる声が二つ。ひろみのかわいい明るい声と低い声。あの男か? 何を話しているのかは聞き取れない。
 時々笑い声が聞こえる。オレの事を話しているのか? いや、オレが変に気にしているだけなのか?
 ひろみとあの男、一体何者なのか……
 不安なら、やる事は一つだ。
 殺す……
 嗚呼! 妄想がオレを苦しめる。オレは疲れている。楽になりたい……


 6月27日(木)
 今はまだ陽が昇る前だが書いておく。今日は、いや、これ以降は書けないかもしれないからだ。
 つい一時間ほど前まで、ひろみの部屋から声がしていた。きっとオレの事を話していたのだ。
 オレはひろみやあの男に何をした?
 それなのに、あいつらはオレをどうするつもりなんだ?
 やはり殺さねばならぬのか。妄想はやはり現実となるのか。
 ……玄関ドアのノブが回されているようだ。鍵はかけていない。入って来るがいいだろう。
 オレはメルカ


つづく



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