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しまりすのひとりごと

あちこちぶつけまくり、転びまくりながら生き続けるしまりすのひとりごと。
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「発火点」真保裕一 60ヨンダラー

2006年07月05日 17時57分19秒 | 最近読んだ本のこと
ええええ?
どっち?
うわー、わっかんねー、本気で。
くやしー。
作者に遊ばれてるー。

というのが読み終わっての私の感想です。
読んだ方はわかってくれる気がしますけど。
これ、どっちなんですか?
どこかにもっとヒントがあって私が気がついていないだけなんでしょうか?(笑

どちらにしても本気でわからない私です。
教えてくださったら幸いなのですが。



さて、真保裕一の本は骨太なものが読みたくなった時に
わりとよく手にとって読んでます。
骨太すぎて割りとがっつり取り組まないと読みづらかったりするので
読むタイミングが大事だったりするのですが。

私とこの人の出逢いはそれこそ「ホワイトアウト」でした。
アメリカにいたときに日本の合唱団に入ったら、
その練習で使っている場所に日本の古本の寄付があって、
活字中毒・でも貧乏な私は嬉々としてその本棚に端から取り組んでいったのでした。

織田裕二で映画化された、っていう有名な話は聞いていたのですが
なにせ私は松島菜々子が嫌いな人なので(笑、
ぜってーみねーな、こりゃ、と思いつつも、
原作には興味があって手に取って見たのでした。


感動でした・・・。

もう最後の台詞がどうにもならずに響いて響いて。
泣かされた。
あんなに泣かされたのも久しぶりだったように思う。
なんかこう、がっつり取り組んだものに、それ以上のものをもらった気持ち。
濃い人間がたくさん書かれているので
それらの人物誰にでも共感できたりする。
すごい人だ、すごい本だ。
そう思ったのでした。


そんで今回のこの「発火点」。
買ったのは随分前だったのですが、引越しのどさくさでどこかに行っていたらしく
ひょんなところから出てきたので雨の本日は読書の日と決め込んで
じっくり読んでみました。


うあー、変わんないなあ、この人の本って、って思いました(笑
読みづらい。
それとね、やっぱり魅力的な男の人がたくさん書かれているのはわかるのですが
本当にこの人の本の登場人物ってみんな自分が大事で
「女の人は二の次」なのね(苦笑
ほんとひどい扱いばかりされます(笑
それはそれはみんな男の夢の犠牲になったりして、それでも耐えて男をたてたりするような、
そんな旧世界の女性ばかりなんだな。

まあ、いいとして。


正直今回の本は出だしがスローだったので、
あんまり本気で読んでいなかったのですが、
この人の話にはめずらしく派手な戦闘も事件も謎もなく、
どちらかというと人の心の機微、
誰にでもある羨望、後悔、嫉妬、欲望、そういうものが丁寧に書かれていたので
逆に面白かったです。

家族って一体何なんでしょう?
父親、母親になったら大人?
大人はいつから大人になるの?
どうやって生きていたら大人?

主人公の目を通して、父親、母親、夫婦、家族。
そういうものがどんな危うい、そして不思議なつながりでできているのか、
ということが浮き彫りにされていって
とてもリアルで面白かったです。

一体なにがあれば人は幸せなんだろうなあ?

ということを考えずにはいられませんでした。
自分は何ももっていない、と思っていても
他人から見れば何でも持っている、と見えたり。
人間というのはつくづく不思議な生き物だなあと思いました。

反発ばかりしている主人公が
段々と大人になって
世間や、それを取り巻く人々のことが見えてくる様は
ちょっと自分が成長してきた時に似ていて懐かしい気持ちすらしました。
最も私はそんなに反発とかしてませんでしたけど(笑。
でも「正しいことを主張すれば全てそれが通ると思うな」
ということは学んできたような気がするから。
大切なのは「いつ、誰にどうやって主張するか」なんだなあ、と。
それが「正しいかどうか」というのは時に問題ではなかったりする。

多少歯がゆく主人公の成長過程を見てきたけれども
それなりの結論に至ってそれはそれでよかったのかもしれません。

ちょうどそのすぐ後に読んだリリーフランキーの「東京タワー」のお父さんとダブりまくったので、あれ?同じ作者?違うよね?と思わず確認してしまったほどでした。
(こちらの感想はいずれ、また)


それにしても、冒頭に戻ってしまうわけですよ。
まあ、都合の良い結末だなあ。とは思うのですが。

で、この手紙はどっちの女に送った手紙なのさっ!?


流産したとみせかけて実は大事にしていたのか、
それとも藍子なのか?


本当に私にはわかりません。
可能性としては2%くらい、藍子の方が多いのかなあ・・・・?


ストーリーではなく、私の中に謎が残ってしまった一作となりました(苦笑






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内容(「BOOK」データベースより)
十二歳の夏に父を殺されてから、怒りと苛立ちを胸に一人で生きてきた。親を殺された者を見る、好奇の視線に抗うように。あの夏に何があったのか。なぜ父は友人に殺されたのか。二十一歳の今、敦也はなくした九年を埋めるために再び故郷を訪れる。胸に迫る衝撃の真相。著者の心情が強く投影された、魂の軌跡。

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5 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (uririn)
2006-07-05 23:48:00
しまりすさん、初めまして(^^)

私も最後がわかりませんでした。

でも、希望としては初めの彼女かな…。

本当にこの主人公はとことん女の人に酷い人だなぁと思ってました。

TBさせていただきますね。

では、また。
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えと (hushan)
2006-07-06 10:12:12
このお方も読んだことがない(;_;)

今度、探してみます。



あんまり関係ないですが、

光原百合「十八の夏」が、ドラマになるようです。

TBS 7/17...だったと思う。



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まだわからない (しまりす)
2006-07-07 10:19:33
uririnさん>

初めまして、コメントありがとうございました。

うーん、uririnさんもわかりませんかー。

でもそうですよね。

確かにひどい目に合いまくったのは最初の彼女なので

ここは最初の彼女に幸せになってもらえたほうがいいかなあ(笑





hushanさん>

何だかもう最近は小説と映画、小説とドラマの垣根が本当になくなっているとしか思えませんね。

とにかく人気のあった小説を映像化すれば失敗はしないだろう、っていうテレビマンたちの弱気な戦術にいい加減嫌気がしているところ。

確かに「十八の夏」は映像化しやすそうですけれども。

本の世界は本の想像の世界で楽しみたい、って思ってしまう私には、やな風潮だよな~ってちょいと思ってしまう今日この頃なのでした(苦笑
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なぞです (momo)
2006-07-29 11:18:03
 わたしにも分りません。ただ本当にどちらでもよいと思います。二人のすばらしい女性に会えたことで、自分自身を成長することができたのだから。そして、二人の女性にプロポーズをしたのではないのでしょうか。
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初めまして^^ (しまりす)
2006-07-31 22:42:58
momoさん>

初めまして、コメントありがとうございます。

そうかー。

どっちでもいい、っていう考え方はしたことがなかったです。

でもそうですよね。

どちらの女性も本当に素晴らしいですもんね。

・・・

・・・

それに引き換えて考えるとやっぱりこの主人公って・・・・むぅ。(苦笑
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