『いなご』を食す

数年ぶりに食べました。

人からのもらいものをさらにもらったものです。

 

小さい頃は、親とよくイナゴを捕りに行きました。

調理風景も、隣で興味津々のぞきこんでいました。

甘くてしょっぱい味付けが大好きで

イナゴが食卓にでれば、喜んで食べていました。

川エビを甘しょっぱく佃煮にしたような食べ物なんです。

おいしいんですよ。
虫臭いのを、ガッツリとした醤油と砂糖で消し飛ばして、カリカリに炒めてあるのでね。
何も心配することはないんですｗ

 

　が・・・　しかし。私ともあろう人が、

ある日、イナゴが　食べ物という認識から

【昆虫】　という生き物に脳内変換された時期もありました。

 

顔も触覚も脚も

躍動感にあふれてみえるんですよねｗ

もともと虫だから、当然なんだけど。

そうなるとまったく食べれなくなるんですよね。

そんな若い頃もあったけど、

大人になった今は、イナゴはちゃんと食べ物に見えています♪

ご心配なく♪

 

私が小さい頃は、イナゴはどこの家に行っても

秋シーズンのお茶請けで出されたりしてました。

各お家ごとの味があるんですが、

今回もらったものは、「ＴＨＥみたらしのタレ！」っていう味付け。

実家の味付けは、醤油も砂糖も、イナゴ本体にしみこませて、よーく炒った調理。タレに絡めて食べるというより、口の中で噛んだときに、カリッ！とした食感と一緒に、甘醤油がじわっと口の中に広がる感じの方。

 

って　言ってわかる人がいるなら、お会いしたい。

・・・実家で作るイナゴが食べたい。

 

もう　最近は、何を食べたといっても、気持ち悪いと言われて寂しい気分。

私の小さい頃の思い出の味だったり、家族団らんの風景がその中にあったりします。

 

幼少の頃の味。　

今のおいしいものと比べたら、きっとおいしくないのかもしれないけど、家族と笑って食べた味だったり、一緒に田んぼのあぜ道を歩いた思い出だったりします。

イナゴと言えば、「上手に捕るな～。」と言われたこと。

タニシは「ほんとに大好きなんだな。上手に殻からとるね～。」

きのこだったら「こんなすごいのみつけたの？！　すごいすごい！」

ハチの子はまた特別で、「こんなおいしいもの、子供にはもったいない。　これだけやるからな、特別だぞ。」

こんな風に言われて育ちました。

自然のものを捕って、食べるとき、必ず褒めてくれる親がいました。

自然のものを食べるとき、うれしそうにおいしいという親がいました。

これが私の思い出で、今の私の生活にも大きな影響を与えています。

 

先日、愛息子の友達3人に

タニシの煮つけを配ってやりました。

3人とも初食。親たちも初食だったとか。　

各家のその日の食事は、

とてもにぎやかに、楽しい食卓になったそうです。

よかったよかった。

 

きっと、本当は何でもいいんだと思います。

親が特別な顔をして

子供を褒めらる場に居合わせて

オマエはすごいぞ！

って言える瞬間がいつも決まっているなら。

子供はそれを喜んで

それを好きになってしまう魔法なんです。

 

私はたまたま、自然のものを食すことだった。

それだけだったんだと思うんです。

　うちの息子が蛙を喜んで食べるのも、そういうことなんだと思うんです。

　きっと私達が特別な顔をして、たくさん息子を褒めたんだと思うんです。