My Deadlock Essay

ここでは普段僕の頭の中をぐるぐると回っている、いわば
どうでもいいことを書き綴っております。

母と韓国 5

2010年07月09日 | 旅行記
アカスリの店を出て、お店の車でホテルまで送ってもらう。なかなかのサービスだ。ホテルに着くと、フロントに昼に市場で買ったお土産が届いていた。至れり尽くせりだ。
両手に母の分の大量のお土産も持った状態で、エレベーターに乗り込む。母も乗り込む。しかし母はじっとしていて一向にボタンを押そうとしない。手ぶらなのに。この人、とことん何もしないつもりだ…
再びコンビニでビール等を買い、後は部屋でのんびり。ビールを飲み、黒豆マッコリを飲む。隣では母が喋っている。こうして韓国二日目の夜も終わりを迎えた。

最終日の朝、朝食はホテルの簡単なバイキングで。なんと無料。最上階のレストランなので、食事をしながら朝のソウルの様子を眺めることが出来る。母も韓国の人の日常に興味津津だ。
母「あの建物は人が住んでるんですか?」
ウェイター「…?オフィスデス。」
母「…」

朝食を終え、ワゴンに乗ってホテルを出発。今日の予定は帰るだけ。車は空港へと向かう。
車内ではみんな口数も少なく、それぞれ車窓から韓国の景色を眺めたり、ボーっとしたり。母も、韓国の景色を目に焼き付けようとしているのだろうか、ずっと外を眺めている。時折インスタントカメラを取り出して写真を撮ったりもしている。そういえば母はデジカメを持っていない。

空港に到着。搭乗券の手続きを終え、さて解散、というところで、空港内に何やらアナウンスが。すると母が、「あれ?あんた呼ばれてんじゃない?」と言うので、よく聞くと確かにオレが呼ばれている。受付に戻ると、向こうのミスで書類を渡し忘れていたということだ。安心して戻ると、母が、「あんた気付かなかったでしょ?息子が呼ばれたらすぐわかるんだ。」と、自慢げに言ってきた。

時間に余裕があったので、空港内のマックで昼食をとることに。しかし言葉が通じず適当に頼んでしまったので、なぜか二人ともポテトとドリンクがLサイズのセットに。まあ、オレはいいけど、60過ぎのおばさん(母)にLサイズのセット出すか?!ていうか分かんなかったら普通Mサイズにしないか?!と、最後の最後に少し腹が立ったが、「メッチュ ジュセヨ」(ビールください)しか韓国語を覚えていかなかったオレもオレなので、ここはイーブンということにしようか。などと、グダグダ考えているうちにマックを食べ終えたら、母が残ったポテトをハンバーガーの包み紙に包み始めた。
俺「え?ポテト持って帰んの…?」
母「父ちゃんのつまみだ。」
俺「…あ、そう…でも、フニャフニャになるからオーブンで温めた方がいいよ。」
母「ふーん。」
ソウル→東京→宇都宮と、実に海外から海を渡ってまで持ち帰られたマックのポテトをつまみとして出されるうちの親父…。そしてそれを喜んで食べている親父の姿が目に浮かぶ。なんか、かわいそう…

さて、いよいよ飛行機に搭乗の時間となり、列に並ぶオレと母。しかし、しばらくしてその並んでいた列がファースト(ビジネス?)クラスの列と分かり、慌ててエコノミーの列に並び直そうとしたその時、ふと見ると、一緒にツアーを回ったあの中年夫婦がやはり同じ列に並んでいるではないか。これは教えてやらねばと、
オレ「あの、エコノミーはあっちみたいですよ?」
と言ったら、
旦那「あ、あの…僕達、優先搭乗出来るみたいで…」
と笑顔で返された。
”優先搭乗”、そう、それはつまり、自分達の席はエコノミーではなく、ファーストだかビジネスだかのもっといい席ってことだ!それをオレを傷つけないないように言い方を変えてくれたんだ!しまった!てっきり同じツアーだから同じ飛行機のクラスだと思ってしまった!そういえばこの夫婦、ホテルも俺らとは違うもっといいホテルに泊まっていたではないか!これは超恥ずかしい!!早くこの場を立ち去りたい!と、「あ、そうなんですか?」とだけ返して急いで立ち去ろうとするが、なんにも気付いてない母は、「でも…」とか言ってまだ何か言おうとしている!いやいや、もういから!彼らは俺らみたいにエコノミーじゃないから!と、心の中で叫びながら母の手を引っ張って無理矢理連れていく。

その後、無事エコノミーに座り、成田へと向かう。機内では、母と成田からどうやって帰るかという話に。
俺「新宿まで直通の成田エクスプレスがあるから、俺はそれで新宿まで行くよ。お母さんは途中の東京駅で降りて新幹線に乗り換えだね。分かる?」
母「…」
俺「…分かんないか…じゃあ、俺も東京で降りて新幹線の乗り場までついて行くよ。」
母「そうだよ、そうすればいいんだよ。」

飛行機は成田へ到着。二人で成田エクスプレスに乗り、東京駅へ。
約束通り母を新幹線乗り場まで送り、そこでお別れ。
母「ごくろうさんでした。」
俺「はいよ、じゃあね。」
東京は雨。帰りの中央線から見る街の景色は、明るく、人も多いのに、なんだか殺伐としているように感じた。
普段は一人大好きな自分も、旅行から帰った日の夜は一人でいないようにする。
さて、飲みに行くか。


終わり






~あとがき~

この旅行に行ったのが4月下旬。帰って来てからこの旅行記を書き始めたので、完成まで実に2カ月以上もかかってしまいました。しかも構想も考えずに行き当たりばったりで書き始めたので、自分でも第5章にまでなるとは思いませんでした。(2章ぐらいで終わるかな?と)
あと、よく「親孝行してえらいね」と言われるのですが、自分にとってはあまり親孝行してる感じはないんですよね、一緒に旅行に行ってるだけだから、別に普通のことです。逆にみんな親の事をもっと大事にするべきだと思う。
それから、母親と二人で海外旅行、しかもその様子を5章に渡ってブログで公開、やってることは完全に”お母さん大好きマザコン”ですが、自分はマザコンというわけではありません。ていうかマザコンって思われても全然構わないんだけどね、たった一人の母親を大切にして何が悪いんだと。これからも、誰に何を言われようと思われようと、自分は母と二人で出掛けることでしょう。
最後に、このダラダラした旅行記を最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
それではまた。

追記:この前実家に帰ったら、韓国の路上で母が衝動買いした例の野菜刻み器は、箱に入ったままでした…