My Deadlock Essay

ここでは普段僕の頭の中をぐるぐると回っている、いわば
どうでもいいことを書き綴っております。

おパンツマンとの夏

2009年08月23日 | 俺はコンプレックサー
今思い出したら大したことないことかもしれないけど、でも思い出してみたらちょっとだけ心が痛かったりもする。

あれは二十歳の頃だったと思う。僕は当時大学2年生で、学生だけで構成された音楽イベント団体のようなものに所属していた。前にも話したと思うけど、この団体は都内様々な大学や専門学校の音楽好きの学生達が集まり、東京の音楽シーンを盛り上げようと、イベントやラジオ番組やフリーペーパーなどを企画するというものだった。当時は一応某有名レコード会社の中に事務所を構えていて、そこを活動の拠点としていた。
僕は大学1年の時にその団体に所属し、通常任期は1年だったのだが、どういうわけか幹部としてもう1年やることになってしまった。(正直あまりやりたくなっかたのだけど…)
幹部として残ったのは自分を含めて男3人。そこにレコード会社の担当の人も含めて男4人。最初の仕事は新しいメンバーのオーディションだった。某音楽雑誌等に募集記事を載せてもらい、電話受け付けから書類審査、面接と、全てが初めての体験で刺激的だった。男4人だったので、特に女の子のオーディションは盛り上がった。
募集に何人来たかは忘れたけど、最終的に合格したのは多分10人強ぐらいだった。
その中に彼女(以降A子)はいた。

A子はけっこうノリのいい子で、会議の途中に急にテンションが上がって奇声を発したりするような、少し変わった子だった。背は大きめで、グラマラスなボディで、自分以外の男幹部の連中はけっこう気に入ってる様子だった。歳は一つ上だった。正直自分はあまり好きな感じではなかった。
ある日、代官山で新メンバーの歓迎会のようなものが行われた。そこで自分が、少し酔っ払ったか何かでちょっと目をこすったりした時だったと思う。どこからか、「かわいい~」という声が聞こえてきた。ふと見ると、声を発したのはA子だった。明らかに(勘違いではなく)自分に向けられたものだと分かった。でもどうしたらいいか分からなく、僕は聞こえない、気付かない振りをした。
帰り道、僕はA子が少し気になった。けど特に話はしなかった。でも気分は良かった。代官山に吹く初夏の風がなんだか心地よかった。

数日後、家の電話が鳴った。出てみると、A子だった。
「Aですけど、分かりますかー?」
「あー、分かるよ?」
「名簿見て、電話番号調べちゃいました~」
”来た”と思った。あまり驚きはしなかった。なんとなく、電話が来てもおかしくはないような気はしていた。
A子はテンション高めで、すごい勢いで喋ってきた。女の子と話すのは苦手だったが、そのテンションに飲み込まれ、打ち解けるのに時間はかからなかった。お互い色々なことを話し、その後も頻繁に電話で話すようになった(当時お互い携帯は持ってなかった)。電話を切る前に、必ず次はいつどっちから電話するかを決めて約束した。僕はA子に惹かれていった。

ある日A子はこんなことを言い出した。
「最近イタ電がすごいんです。実は最近彼と別れたばっかりなんですけど、犯人は多分その彼なんです。」
A子は困っている様子だった。僕は、自分に助けを求められているような気がして、ちょっと嬉しかった。
でもまだそんな関係でもないし、自分に何か出来るわけでもなかったので、ただ経過を見守っていた。
それから数週間ぐらい経った頃だろうか、僕の家に頻繁にイタ電が来るようになった。内容は、無言だったり、何か訳の分からないことを言っていたり、脅しのようなものもあった。
A子の元カレかとも思って少し怖かったが、確証もないのでA子には黙っていた。かなり悩まされはしたが、家の電話の留守電機能を解除したりして対応しているうちに、イタ電も掛かって来なくなった。

こんなこともあった。夏のある日、A子に電話したら、いきなり、
「今私おパンツマンなんです~!」
と言われた。どうやらパンツ1枚という意味らしい。正直そういうノリは引いたが、僕の心はもう止まらなかった。A子との電話は楽しくて仕方なかった。
当時の僕は、二十歳になりながらも、女の子と付き合ったこともなければ、キスどころか手も繋いだことすらない、うぶの中のうぶ男だった。僕はそのことがどうしようもなくコンプレックスで、毎日のように悩んでいた。周りの友達は、もうほとんどが女の子と経験済みだった。
でもその時特に仲の良かった大学のオーケストラの友達二人は(大学時代はオーケストラにも所属もしていた)、そんな僕のことを応援してくれ、色々アドバイスをくれたりもした。8月の夏合宿の時、おパンツマンの話をしたら、二人とも爆笑しながら自分のことのように喜んでくれた。その日は3人で合宿所のロビーで朝まで飲み明かした。

夏が終わる頃、A子と二人で会う約束をした。もちろん女の子と二人きりで出掛けるのは初めてだった。ただ飲みに行くだけの予定だったが、当日は朝から落ち着かなかった。
ところが、当日の昼過ぎぐらいにA子から電話が掛かって来た。
「なんか、外ウロウロしてたら気分悪くなってきてしまって…」
いわゆるドタキャンの電話だった。
これを機に、A子との電話も今までのようには盛り上がらなくなった。A子の反応も、なんだか冷たくなってきた。
やがて季節は秋になり、僕は冬に予定されていたオーケストラの演奏会にA子を誘ってみた。A子にはどうしても来て欲しかった。
でも返事はなかった。例の音楽イベント団体も、ちょうどその時期に内紛のようなものが起き、事実上解体した。A子との会話も、その時の電話が最後になった。

僕はどうすることも出来なかった。”急にどうしたのだろう?”と悩んだが、考えても何も分からなかった。かといって自分から電話をする勇気もなかった。自分にも初めての彼女がやっと出来るかもしれないと喜んでいただけに、ショックも大きかった。
オーケストラの先輩で、当時水商売のようなバイトをしている女の先輩に状況を説明したら、その人は表情一つ変えずに、「よくあることだよ。」と言った。でも意味が分からなかった。
今思えば大したことのない話だけど、でも思い出してみるとやっぱりちょっと心が痛い、そんな話でした。





俺はコンプレックサー ~モテない私~

2008年03月04日 | 俺はコンプレックサー
約一ヶ月ぐらい前、テレビで「いいとも」を見ていたら、なにやらバレンタインデーの特別企画で、それぞれの出演者の”初めて本命チョコをもらった年齢を当てる”というゲームをやっていた。そしたら男性出演者が思い思いの青春エピソードを添えながら答えを発表していくわけなんだけど、
「15歳」、「12歳」、「14歳」、「11歳」…
ほー、大体みんな小学校高学年から中学生ぐらいにはもらってるんだな~、しかもちゃんと告白されてるし。まあそういうのが盛んな年代だよね、その頃って。
そういえば俺は何歳だったろうな?初めて本命チョコもらったの。
う~ん…本命、本命…(記憶を辿る)・・・・・
んん?!ない!!ないぞ!?考えてみたら俺って21歳のときに初めて彼女が出来るまで義理チョコすらろくにもらったことないじゃないか!!わおっ!なんてことだ!なんてモテてないんだ俺!俺がもしこの場(いいとも)に出てたら、エピソードが”ない”ということになってしまう!

司会「はい、では次、サトウさん!答えを発表してください!」
俺「…えーと、初めての本命チョコは、22歳の時で…あの、初めて付き合った彼女からもらいました…」
司会「に、にじゅうに??…おそ…」
スタジオ「・・・・・」

ってなってしまう!
はあ~、それにしても義理チョコすら誰からもほとんどもらっていない俺の青春時代って、いったいどうなってるんだ…
いいともの出演者達も大してかっこいいとは思えないんだけどな~(芸人とかだからね)、なのに全員(タモリ以外)ちゃんと告白されているなんて…ほんとかよ!一人ぐらい見栄張って嘘ついてんじゃねえの?!(ひがみ)
あ、そういえば弟はどうだ?弟も”モテる”とは程遠い男のはずだ。あいつの青春時代にそんなことあるわけがない!
う~ん(記憶を辿る)・・・・・
はっ!!あった!!あいつ確か幼稚園の時に彼女(のような存在)がいた!!そしてその子が確か家までチョコを届けにきてた!そして俺はそれを指をくわえて見ていた!うわ~!思い出したくない事実を思い出してしまった!ていうかなんであいつ幼稚園生のくせして彼女なんかいたんだ?!何かの間違いだろ!?


結局モテてないのは俺だけか…。そういえば幼少の頃から一貫して内気だったこの僕は、十代を終えるまでモテたことなんか一度もなかった。
中学2年の時、席が隣だった子(←「俺はコンプレックサー第一話」参照)から、「チョコあげようか?」と言われたときも、恥ずかしくて黙ってしまったら本当にくれなかった。
ああ、思い出される暗黒の青春時代。そうだ、そんな青春送ってきたからロックに目覚めたんだった。悔しさや欲望を表現する手段はロックしかないと思った。
義理チョコをたくさんもらえるような大人の世界は、子供の世界みたいに直接的じゃない。みんな傷つきたくないからうまくやろうとする。みんな無意識のうちに社会的仮面をかぶっている。だからなんか平坦で退屈。
暗い青春時代は、思い出したくないけど忘れたくもない。その時の気持ちは自分にとってはパワーの源だから。
さあ、行くぜ!3月4月はライブにイベントに盛り沢山だ!

それにしてもあの弟が幼稚園の時に彼女がいたなんて…おかしい…










俺はコンプレックサー 第2話

2006年10月20日 | 俺はコンプレックサー
~第1話からの続き~

その後、自分と正反対の憎きスポーツマンに彼女を奪われて以来、中学を卒業するまでその子と接した記憶は全くない。というか接してないのかもしれない。

そして中学を卒業。彼女は女子高へ、そしてオレは暗黒の男子校へと進学する。何が暗黒かって、この高校、男子校に加えて勉学勉学の進学校だったのである。自分はおろか、周りのやつさえ女っ気のあるやつはほとんど皆無。会話を交わす女性といえばおばあちゃんか太った母親ぐらいである…
そしてその高校に入ったことにより、実は自分は勉強が嫌いだったことに気が付き、当然のように周りについて行けなくなり見事に浪人決定で高校を卒業。
すっかり身も心も疲れ果て、未来に希望も見出せない浪人が決定したその3月、彼女との再会は突然やってきた。

久し振りに中学の仲間数人と遊ぶことに。
当時の宇都宮ヤングマンの遊びといえばカラオケかボーリング。特にボーリング。
その日もボーリング場に集合。懐かしい面々と久し振りの再会。そしてその中に、彼女はいた。
実に3年振りの再会だ。3年の時を経て、久し振りに見た彼女はちょっとキレイになっているような気がする。
そして久し振りの会話。
ちゃんと話すのは貧血以来だろうか、緊張してなかなか会話がうまく運べない。
しかしそんな中、彼女はこんなことを言ってきた。
「あの頃さとっぺ(←当時のオレのあだ名)と笑い合ってたこと、高校生になってからも時々思い出して一人で笑っちゃってたんだよ。」
「え?そうなの?!」
「だってすごく楽しかったからさ~」
(ドキーン!!)
な、なんてことだ…。あれから3年も経つというのに、この子はオレとの楽しかった思い出を糧に辛く険しい高校生活を乗り越えてきていたなんて…(←そこまで言ってない)
お~神様!!あの時のあの時間は嘘じゃなかったんだ!オレと同じように、彼女もあの時間を楽しいと感じていたんだ!
ここにきてなんという奇跡!

更に奇跡は続く。
なんと、何がどうなったか、オレとその子の帰る時間がたまたま一緒に!!
まだ残って玉を転がしてる連中もいる中、狙ったわけでもないのにごくごく自然と二人っきりで帰ることに。これはもしかしたら”運命”ってやつか…?

二人っきり…しかも外は雪。宇都宮の夜の街は人気も少なく、真っ白に染まった景色が街灯や車のライトに照らされ、なんとロマンチック。今夜は大雪になりそうだ…


二人並んでゆっくり自転車を走らせる。
それぞれが傘を差しているためか、二人の距離は少し離れている。
「4月からはどうするの?」
「私は東京の専門学校に行くの。」
「そうかー、俺は浪人生だよ。家を出て東京の大学に行きたいとは思ってるんだけどね…」
「ふーん…」
(ど、どうしよう…このままだとまた離れ離れだ。ここは告白か…?いや無理だ…彼女は東京でオレ宇都宮だし…ていうかオレ浪人生だし…そうだ!とりあえずまだこっちにいるうちに二人で会う約束を…いや待てよ!?そういや例のスポーツマンとはどうなってるんだ?!彼女はあいつのことが好きだったんだよな…?とりあえずその辺の事実関係を・・・・・聞くの?!)
「・・・・・」
「・・・・・」
(沈黙)
「それじゃあ、私の家、こっちだから。」
「あ、そうか…」
「…じゃあ、頑張ってね。」
「…う、うん。」
「・・・・・さようなら。」
そして彼女は、雪の中一人で帰っていった…

♪そうさオレは意気地なし~ 好きな子を誘うことも出来ないヘタレ野郎さ~♪


この後のオレの後悔と苦悩の日々は語るまでもない…










俺はコンプレックサー 第1話

2006年10月04日 | 俺はコンプレックサー
中学2年の時、ある女の子と席が隣同士になった。
お互いほとんど喋ったこともなくほぼ初対面。
だけどとにかくよく喋りよく笑う明るい彼女は、初対面の女子を前にオロオロと挙動不審なこのオレにそんなことはおかまいなしに話し掛けてきた。いや、もしかしたらオロオロしてるオレを気づかって敢えて話し掛けてきてくれたのかもしれない。
どっちにしろ二人が打ち解けるのにそれほど時間はかからなかった。

彼女の方が話をして、それを聞くオレ。そして二人で大笑い。教室の中でこの空間だけいつも笑いが耐えない。もう全てがおかしくてしょうがないのである。正に箸が転がっただけで大笑い状態。授業中ですら笑いまくってたのでよく先生に注意もされた。周りからも「二人は本当に仲いいよね~」なんて言われたものだ。
喋るのが苦手でいつも伏し目がちなシャイボーイの自分と、明るく天真爛漫は彼女は愛称ピッタリだったのだろう。
そんな毎日は本当に楽しくて、精神的に充実もしていたせいか、この時期は友達関係も良好で成績も伸びに伸びた。
学校に行くのが楽しいと感じたのは後にも先にもこの時だけだろう。そんな楽しい日々が続いた。


ところがある日の体育の授業の時、事件は起きた。
なんと体育の授業中に貧血で倒れてしまったのである。オレが。しかも準備運動で。
(走ってたら)…なんだか冷たい汗がやたら出て来たな…あれ?目の前が真っ白に…あ~、も、もうダメだ・・・・・バタン・・・・・
友達におんぶされて運ばれるオレ。意識は朦朧。同じ校庭で体育の授業をしていた女子がこっちを見ている、ような気がする。
保健室には連れて行かれずに、とりあえず玄関に横にさせられる。
「頭を低く!」 誰かが言う…
しばらく玄関で横になる。意識は朦朧。なんだか情けない… 
体育の授業は何事もなかったかのように進められている。

体育の時間も終わり、なんとか持ち直したオレが教室で着替えてると、隣の彼女が、
「貧血で倒れたんだって?」
と言ってきた。
その顔にいつもの笑顔はなく、とても堅く冷たい表情だった。もしかしたら心配してくれていたのかもしれないが、その時は到底そんなことは思えるはずもなく、なんだか見下されてるように思えた。
「やってしまった…」とか、「かっこ悪い…」とか、様々なネガティブな感情に邪魔をされ、それ以降はなんだか彼女とうまく話せなくなってしまった。
そしてその直後に席替えがされ、席も離れ離れになってしまった。

それからしばらくして、同じクラスのイケ面スポーツマンの友達とその子が付き合っているという噂を耳にした。

♪そりゃそうさー オレは文科系貧血野郎~ さわやかスポーツマンにはかなわないさ~♪