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初学者のための整数論(まとめ)

2020年06月15日 | 数学

アンドレ.ヴェイユ著「初学者のための整数論」を読み終わった。
 訳片山孝次、田中茂、丹羽敏雄、長岡一昭
 1997年3月20日第2刷発行 現代数学社 (アマゾン古書購入)
 2010年9月10日第1刷発行 筑摩書房 ちくま学芸文庫
 開始2019年12月17日、読了2020年6月15日

<読後所感>
文庫本の印刷文字が小さすぎるので、昔の単行本(古書)を購入し、時々文庫本で誤植ではないかと思われる部分、あるいは、文庫本の方に追記された文章(問題の解答)を確認しながら読み進めた。

本書は著者の前書きによると、1949年シカゴ大学の10週間の数論入門コースの講義録であり、また、翻訳者によれば、津田塾大学数学科1年生のセミナーのテキストとして使用され、半年間で5~6章まで進めたとある。表題の「初学者のための(for beginners)」とは、そういう意味で使われている。ただ、この本はテキストとして、指導者(教師)の下で学ぶのに適しているが、自分だけで独学テキストとして読み進めるのはかなり無理があった。あまりに基礎的なことは詳しく書かれていない。「初学者」にとって耳慣れない「群」「環」「体」「ルジャンドル記号」などの定義はサラッと触れるだけ。段階を踏んで理解させることよりも、寄り道せず、理論の流れを整然と述べる構成となっており、「初学者」の理解の困難度に応じてページ数が割かれているわけではない。各章の本文が表面的に理解できても、練習問題は、ほぼすべてが「応用問題」、「本文を基礎とした発展的問題」のため、結果として、解答を読んでも理解できず、ギブアップしたものがかなり残ってしまった。

この本の前に、シルバーマン著「初めての数論」を読んでいたのでぶっきらぼうな説明でも何とか理解はできたが、大学1年生が初めて数論をこの本で学ぶとき、「数学」がそれまで学んだものとこんなに違うのか、と戸惑ったことだろう。解析学の「イプシロンデルタ論法」と同じぐらいショッキングなものではなかろうかと思う。

本書を半年間で読み終わり、さて次はどのような本に挑戦しようかと思案している。今まで何度も挑戦したが今一つ理解が進まない分野として、ゲーデルの不完全性定理、リーマンのゼータ関数、アーベルやガロワの理論があるが、これらのうち、今まで一度読んだ本を引っ張りだしてもう一度読んでみようと考えている。

私にとって数学は、コロナ下の「ステイホーム」で「三密を避け」て時間を活用するのに非常に適した趣味だといええる。

 



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