題詠「つる」(第13号)より抜粋
土鈴の鶴 石川裕子
お庭焼きとふ土鈴の鶴をあがなひて岡山城の天守に登る
つるつるに磨かれし杉の床柱京の北山雪降りやまず
甚五郎作とふ専修寺飾り鶴夜な夜な池の魚漁りしと
吊し雛ふくら雀にはひはひ人形伊豆の海辺のホテル華やぐ
鮎を釣る人ら黙して川中に塑像のやうに並びて佇てり
吊りしのぶ窓辺に吊し涼風を待ちゐし祖母の着物姿よ
幾たびも「ジャックと豆の木」読まされし窓辺にあをあを朝顔のつる
夢二好みの 黒田淑子
鶴描く白地に墨絵の付下げを嫁しゆく姪に餞とせり
つる薔薇の垣に著けき紅のいろ真青の空に白雲浮きて
ビンテージつるつるてんに纏ひたる夢二好みの少女行き交ふ
マルコポーロ眼鏡の弦(つる)の名称を言ひ当てられて会話始まる
能楽の「半蔀(はじとみ)」観つつ蔓の縁美女との交流偲びゐにけり
秋の日は釣瓶おとしと言ひたりき古語となりしや若きは知らず
銀杏の中身つるりと翡翠いろ秋の味覚のなつかしく沁む
(それぞれ、連作13首から7首を抜粋しました。)
(第13号、2007年1月1日発行)
土鈴の鶴 石川裕子
お庭焼きとふ土鈴の鶴をあがなひて岡山城の天守に登る
つるつるに磨かれし杉の床柱京の北山雪降りやまず
甚五郎作とふ専修寺飾り鶴夜な夜な池の魚漁りしと
吊し雛ふくら雀にはひはひ人形伊豆の海辺のホテル華やぐ
鮎を釣る人ら黙して川中に塑像のやうに並びて佇てり
吊りしのぶ窓辺に吊し涼風を待ちゐし祖母の着物姿よ
幾たびも「ジャックと豆の木」読まされし窓辺にあをあを朝顔のつる
夢二好みの 黒田淑子
鶴描く白地に墨絵の付下げを嫁しゆく姪に餞とせり
つる薔薇の垣に著けき紅のいろ真青の空に白雲浮きて
ビンテージつるつるてんに纏ひたる夢二好みの少女行き交ふ
マルコポーロ眼鏡の弦(つる)の名称を言ひ当てられて会話始まる
能楽の「半蔀(はじとみ)」観つつ蔓の縁美女との交流偲びゐにけり
秋の日は釣瓶おとしと言ひたりき古語となりしや若きは知らず
銀杏の中身つるりと翡翠いろ秋の味覚のなつかしく沁む
(それぞれ、連作13首から7首を抜粋しました。)
(第13号、2007年1月1日発行)