井泉短歌会

ようこそ、井泉(せいせん)短歌会です。

題詠「手」

2006年01月17日 | 過去の誌面より
題詠「手」(第6号)より抜粋

童画のうしろ  久志歌代

 いまだ解(げ)せぬ幼きころの遊び歌<蟻の手と手と手々と手と手と>
 手をつなぎ夕焼け見てゐし幼どち今は童画のうしろ姿よ
 歌留多あそび晴着のたもと気にしつつ早いお手付き何時もわたくし
 立読みの吾(あ)を探しあて暗がりゆ頻り手招く母、怖かりき
 手形捺(お)しし手帖いつしか見失ふ 朱(あけ)のもみぢの小さきてのひら
 くるりくるり手首の回転リズミカルに編みゐし歳月いまも色濃し
 握手欲る手にてありしか ふと触れて潤みたる眼に笑みて別れ来


舞う手踊る手  山根木よしたけ

 春いまだ浅き十二歳(じゅうに)の槍踊り翳す双手の震えやまざる
 身の回り舞い手踊り手芸尽くめ脂粉の香りに包みこまれて
 折りもおり大阪松竹歌劇(OSK)と手をつなぎ菖蒲池遊園地(あやめがいけ)にも円形劇場
 男装の麗人達の輪の中で戀の手習いレッスン・ワンを
 踊り子に感化されしにあらざれど舞の手さばき舞踏に変わる
 足拍子(サバテアート)・手拍子(パルマ)・指鳴らし(ビート)に魅了され母に背いてアンダルシアの
 母は逝きあの日のスター”K”も逝き手に茫茫と蒼い月虹

(それぞれ、連作13首から7首を抜粋しました。)

(第6号、2005年11月1日発行)

第七号目次

2006年01月11日 | 目次
「井泉」第七号 目次 (2006年1月)
表紙絵 春日井建

招待作品
 一角獣・・・篠弘 2

題詠「時」
 歌棄の海・・・大熊桂子 4
 冬銀河・・・さとうますみ 5

作品(一)・・・6

リレー評論 短歌の今を考える
 短歌の今を「考えない」で書いてみる・・・穂村弘 22
 短歌・たんか・タンカ・・・新畑美代子 25

加藤明子歌集『秋の井』出版記念会報告・・・彦坂美喜子 29
久志歌代歌集『るふらん』評ー音楽と韻律の支える歌・・・江村彩 30
久志歌代歌集『るふらん』評ー悲しみを通り越した軽やかさ・・・喜多昭夫 32

作品(二)・・・34

前号歌評(前)・・・喜多昭夫 52
前号歌評(後)・・・国見朝子 54

作品(三)・・・56

評伝 春日井建(六)・・・岡嶋憲治 73

いずみ(随筆)
 「水晶の人」加藤明子さんへ・・・橋本ひろ 77
 ヒールの反撃・・・近藤えり子 78
 
連載 現代短歌はどこで成立するか(55)・・・彦坂美喜子 79

歌会だより・会則・投稿規定・・・83

編集後記