井泉短歌会

ようこそ、井泉(せいせん)短歌会です。

題詠「器」

2005年10月05日 | 過去の誌面より
題詠「器」(第4号)より抜粋

forget-me-not(勿忘草)  櫛田君代

 悲しみの器と言はれし人なれど今は小さき壷に鎮もる
 カノプスなる容器に臓器納めおきミイラは蘇生の夢を見るらし
 プワズンの空瓶に挿す一茎の摘みしばかりのforget-me-not(勿忘草)
 蜻蛉舞ふガレの花瓶は止しなさいあなたの生活破壊しますよ
 移植せし臓器の鼓動が速くなり古きときめき思ひ出さずや
 たをやかにクリーム舐め終へその器をシャキシャキシャキと胃に収めたり
 片隅に捨ておき忘れしアイビーが鉢はみ出して庭這ひまはる


さびしさのうつわ  佐藤晶

 はじまりの器(うつわ)思えばきよらなる泉の水を掬いし両手
 光濃き影濃き季節さびしさのうつわとなりてヴァイオリンを弾く
 ミルフィーユふと瓦解せりかろやかに兵器工場稼働しおらん
 精密機器こわれやすくて高性能の人種なにかとカフェに集まる
 器量とは男子は才覚女子ならば容貌を言う たぶん今でも
 博物館の土師器も須恵器も口あけて太古の空を呼んでいるらし
 若者の形の闇をとじこめる器(うつわ)として立つ俑(よう)の幾千年


(それぞれ、連作13首から7首を抜粋しました。)

(第4号、2005年7月1日発行)

第五号目次

2005年10月04日 | 目次
「井泉」第五号 目次 (2005年9月)
表紙絵 春日井建

招待作品(川柳)
 水のかたち・・・石部明 2

題詠「変」
 ゴトゴトと・・・長嶋香世 4
 地獄変・・・山下好美 5

作品(一)・・・6

リレー評論 短歌の今を考える
 恥の記憶・・・菱川善夫 22
 イナゴの大群・・・大熊桂子 25

さとうますみ歌集『プラスチック紀』評ー
    詩人としての資質の開花について・・・小塩卓哉 28
さとうますみ歌集『プラスチック紀』評ー夢見る力・・・喜多昭夫 30
生田芳正歌集『歳々の花』評ー村夫子の歌・・・岡嶋憲治 32
生田芳正歌集『歳々の花』評ー心を癒す自然詠・・・川浦信之 34
生田芳正歌集『歳々の花』評ー自分史の分厚さ・・・長嶋香世 36

作品(二)・・・38

さとうますみ歌集『プラスチック紀』批評会報告・・・江村彩 54
前号歌評(前)・・・喜多昭夫 56
前号歌評(後)・・・国見朝子 58

作品(三)・・・60

評伝 春日井建(四)・・・岡嶋憲治 78

いずみ(随筆)
 それから・・・大岩洋子 82
 
連載 現代短歌はどこで成立するか(53)・・・彦坂美喜子 84

歌会だより・会則・投稿規定・・・88

編集後記

歌会報(その2)

2005年10月01日 | 歌会のお知らせ
○十二月歌会はお休みです。

○十一月歌会は、
2005年11月13日(日)午後1時~5時、開催されました(参加者26名)。

○十月歌会は、
2005年10月9日(日)午後1時~5時、開催されました(参加者23名)。

○九月歌会は、
2005年9月11日(日)午後1時~5時、開催されました(参加者29名)。

○八月歌会はお休みです。

○七月歌会は、
2005年7月10日(日)午後(1時~5時)、開催されました(参加者21名)。

○六月歌会は、
2005年6月12日(日)午後(1時~5時)、開催されました(参加者31名)。

○五月歌会は、
2005年5月15日(日)午後(1時~5時)、開催されました(参加者28名)。

(参加者には詠草のみ提出の方を含みます。)