清野幸輝/Photo日記

徒然なるままに撮り歩いた、「水の景」「花の景」.......

T氏と個展

2010-07-31 14:24:11 | パーキンソン病

 2008年5月、「富士フォトサロン札幌」で開催した私の写真展へ、車椅子に乗った紳士が訪れた。会場を十分に時間をかけて一巡し私の所へやってきた。
彼は私の方を見ながら「あなた、パーキンソン病なんですね。私もそうなんです。今朝の道新の記事を見てやってきました。感動しました」などと話しかけた。
 彼は10年ほど前に発症し、前屈姿勢で足のバランスも悪く辛そうに見受けられた。
私達は同病の仲間という事ですっかり意気投合し、話し込んでしまった。
病の進行状態や薬の事、現在の体調の事、日常生活で困っている事など話が途切れることはなかった。話しているうちに彼は私と同郷であることや、中学校も同じで私の後輩である事が明らかになった。
彼の名はTといい札幌でデザイン会社を経営し、自身は絵に興味を持ち仲間も多いという。
私たちは互いに励ましあい、エネルギーを分かち合った。彼は私の作品をもう一度見て回り、再会を約して会場を後にした。

 それから5ヶ月ほど経った10月のある日、T氏から1通の封書が届いた。開けてみると彼が絵の個展を開催するという嬉しい知らせであった。
同封された手紙には次のように書かれていた。
「あなたの作品を見て感動しました。写真もそうですが、同じパーキンソンでもこのような事が出来るんだという事実に、より大きな感動を覚えました。あなたの個展を見て自分もやってみようというエネルギーが湧いてきたのです。あの日、あなたの個展を見なかったら今回の私の個展は無かったでしょう」

 私はT氏の個展会場に駆けつけた。私たちは歩み寄り、涙ぐみながら無言の握手を交わした。彼の家族や絵の仲間達が私達を取り囲んで祝福してくれた。私たちは心の中で呟いた。「パーキンソンでも出来ない事はない!普通の人より、少し動作が緩慢なだけだ」そして、固い絆で結ばれた。

 その後、T氏が中心になり知り合いのパーキンソン患者や重症筋無力症患者など難病患者と家族のグループを立ち上げ、月1度の交流会を行っている。今年は5月に花見、6月に積丹での釣り、7月にイコロの森(苫小牧)散策などを楽しんだ。昼食をとりながらの近況報告では、体調や薬の情報、リハビリの取り組み、今、困っている事、趣味の事などたくさんの話題が次から次へと出てくる。参加した仲間達は元気をもらい明日への希望を満たす。

 


NPM

2010-07-30 21:07:28 | NPM

NPM
 
ブログを始めてから40日あまりになる。今後、私のブログを訪れてくれる方々のために私が所属している写真サークル北海道NPMNature photo Masters)についてふれておく必要があると思う。
 私は在職中、写真部の顧問をしていた関係で1998年に滝川市で行われた高文連主催の全道高等学校写真研究大会に部の生徒を引率して参加した。この時、講師として招かれていたのが自然写真家の岡本洋典氏(雨竜沼湿原で著名)であり私にとって始めての出会いとなる。会場で見た氏の作品に至極感動したことを今でも鮮明に覚えている。
 それから2年後の2000年に私は退職をむかえた。岡本洋典氏が自然写真教室
NPMを主催することをこの年の2月に知った。2000年3月からスタートしたこのサークルに参加したのは勿論である。あの岡本先生から指導を受ける事が出来ると思い大きな嬉しさを感じた。
 この写真サークルは、単に写真を撮るだけでなく動植物の生態など広く生命現象に目をむけ、さらに自然現象全般との関連を学び、合わせて環境保全にも関心を持っていくことを目標としている。簡単にいうと、自然を学び自然の仕組みを理解しながら自然写真を極めていくことをその目的としている。
 
NPMは当初サークルとしてのテーマを決めて年1度の写真展を憧れの「富士フォトサロン札幌」で開催してきた。その後会員個人がそれぞれテーマを決めてオムニバス形式で写真展を開催し現在に至っている。「富士フォトサロン札幌」はプロ、アマを問わず写真に係わる者の憧れの的であり、ここに写真を展示する事は容易なことではない。今年、2010年4月には六本木の「富士フォトサロン東京」で写真展を開催する事が出来た。これは私にしてみれば驚きのひと言に尽きる。
 私は
NPMに席をおいて今年で10年目、水辺をテーマに撮り続けてきた成果を、2年前の2008年に憧れの「富士フォトサロン札幌」で個展の開催という形で発表することが出来た。これは岡本先生の適切なご指導があったからこそ実現した事であり心の底から感謝している。この感激は生涯忘れることは出来ないであろう。
 
NPMで撮り続けて来た写真と道端で出会った小さな自然を、このブログに投稿し皆さんのご批判を得ていきたいと思う。

 


艶やかな舞(四季彩の丘)

2010-07-29 18:59:41 | 写真
 夏をむかえた四季彩の丘は花々が咲き乱れ、蝶や虫など全ての生命が大合唱を演じている。蜂はヤナギランやラベンダーに蜜を求め、蝶は紋白蝶やアゲハなど種類も多い。その中で羽の模様が特徴的で色鮮やかな蝶を見つけた。調べてみるとクジャク蝶というらしい。
赤や青など鮮やかな模様とその色彩が孔雀に似ているからだろう。
 ラベンダーの周りを軽やかにステップする艶やかな孔雀の舞に見入った。

水  鏡(北大研究林)

2010-07-28 19:32:24 | 写真
 夏空の下、蕗の葉がシンメトリーに映りこんだ川面に見入る。漣もなくそこだけがトリミングされたように鮮明だ。自然が醸しだす造形は何とも不思議で魅力的なものだ。

Face(北大研究林)

2010-07-27 19:11:58 | 写真
 川の流れは、川底の形状や転がっている大小の石、水草や藻などと接触して流速や流れの方向を微妙にコントロールされている。結果、美しい縞模様を描き出す。
 観察する場所と光の反射の条件によって、時折思わぬ造形を醸し出す。自然は魔術師のようだ。

ファッションショウ(ポロト湖)

2010-07-26 14:37:07 | 写真
 ポロト湖の遊歩道を1.5kmほど入った所から湖岸に下りてみる。そこにはすでに時季を終えたミズバショウの小群落がある。よく見ると、一匹のアゲハが苞の先に止まって動こうともしない。
 相手がファッションショウなら私はカメラマンのつもりで、上下、左右、いろいろな角度から取り捲った。

Debut(北大研究林)

2010-07-23 10:58:41 | 写真
 北大研究林を流れる幌内川にはいくつかの古木や倒木が横たわっている。流れに侵食されたのか、手ごろな大きさとなって川面にアクセントを添えている。それは航行する何艘かの船のようにも見える。初夏から夏にかけて古木には赤いクリンソウが咲く。古木は緑苔に纏われているから配色がとても良い。しかもたった一輪しか咲かない。対岸から風に運ばれた種が咲かせたのだろうか。
じっと見ていると古木は緑色の舞台のようにも見えてくる。初夏の舞にデビュウしたクリンソウ。緑陰の中でどのようなステージを展開するのか楽しみだ。

見据える(つくも水郷公園)

2010-07-20 20:55:16 | 写真
 つくも水郷公園は、パークゴルフ場、ボートの乗降場、キャンプ場、サイクリングターミナルなどを備えた士別市民の憩いの場である。周りにはお堀があり、6月から9月にかけて一面にスイレンの花が咲き乱れる。スイレンの花は他の花と異なって純日本画風な雰囲気を醸し出している。花の周りにはトンボが飛び交い散策する人の目を楽しませている。
 その一角で葉っぱに止まっている一匹のトンボを見つけた。私の方をジーっと見つめているような感じがする。300㍉の望遠で覗くとその眼光の鋭い事!見つめるというより見据えていると言った方が良い。時折、小首をかしげるようなしぐさを繰り返し、ジーっと見据える分析的な目は哲学者を連想させる。










イヨッ!こんちわ(ポロト湖)

2010-07-12 19:50:40 | 写真
 白老の夏は霧が発生しやすく肌寒い日が多い。今年はどうしたことか、蒸し暑い日が続いている。そのせいかポロト湖やヨコスト湿原にはアオイトトンボが飛び交っている。
ポロト湖では、遊歩道から少し外れた草むらにその美しい姿を見ることが出来る。スローモーションで1本の草の下方から上方へ、そして隣の草へと渡っている。体は小さいのだが尾部が青色で規則正しい模様が印象的だ。時折スポットライトを浴びて青い光を反射する。
 そのスローな飛行を追っていたら1枚の葉っぱの上に止まりクルリと向きを変えた。トンボと私の目が合った。その時トンボは左手を上げた。「イヨッ!こんちわ」と言っているような気がした。私もあわてて挨拶した。