彼女は、小中学校の同級生だった。Facebookで彼女の名前を発見したときは、ドクンと強い鼓動を感じた。紛れもなく彼女は初恋の人だった。
臨海学校のフォークダンスで、焚き火の奥で踊る彼女の美しい姿に、文字通り、見惚れた。卒業の時に、人を通じ、
「好きだ、付き合いたい」
と打ち明けた。が、卑怯なことに、すぐにそれを撤回した。彼女にしてみれば、
「なんのことか、わからん。変なはなし」
で終わったことと思う。
自意識過剰で、バカな中学生だった。
Facebookメンバーで西荻窪の寿司屋で飲み会をやって、さあ、席替えの時、彼女の横に滑り込んだ。溢れる言葉を止められず、彼女もよく話し、よく食べた。卒業後、結婚して子どもを持ち、今に至る話しを一通り聞いて、結婚に至る大恋愛に話を戻した時、彼女は、
「相手は誰でも良かった。勢いとはずみと、何かの間違い」
と言い放った。
敬愛する彼女の口から、そんな話しは、聞きたくなかった。最もいいオンナの彼女の口から、そんな話しを聞くなんて、まるで自分のプライドを根元から叩き折られた痛みに震えた。誰でもいいなら、自分だって良かったのではないか。
スイッチが、カタンと入った。