さあ、古代の日本をつくった3つの仏像、最後のZは奈良・東大寺に鎮座する「大仏」です。いわゆる「奈良の大仏」は通称ですね。本当の名前は知っていますか?
盧舎那仏(るしゃなぶつ)、あるいは、毘盧舎那仏(びるしゃなぶつ)といいます。盧舎那とは、サンスクリット語で、ヴィロチャナー、光を放つもの、という意味なんですね。
世界最大級の木造建築、東大寺大仏殿に収められている盧舎那仏は、高さが約15メートル強。この像全体が、3メートルもの高さがある巨大な蓮弁(れんべん=ハスの花びら)の上に座っているんですね。蓮弁に描かれた模様をよく見ると、これがまったく驚きなんです。
そこには、太陽系のような小宇宙が何億も集まり、銀河系のようなものができている様子がデザイン化され、線刻されています。これはまさしく現代にも通じる宇宙観ですよね。世界の中心にそびえる須弥山(しゅみせん)さえ、はるか下界の小さな宇宙の一つに描かれている。
この図を「蓮華蔵世界海図」といい、あらわされている広大な大宇宙を三千大千世界(さんぜんだいせんせかい)といいますが、この宇宙全体が、盧舎那仏の台座に描かれているんですね。
つまり、人間には計り知ることのできないほどの大いなる世界の上に座り、この世界を体現する仏、それが大仏、盧舎那仏なんですね。仏教がつくりあげた、おそらく最大、最高の仏像です。これが華厳(けごん)の仏なんです。
南都六宗のひとつで、最後にさかんになったのが華厳宗だ、と前回、タカハシ君がうんちくを語ってくれましたね。その中心経典は「華厳経」というたいへんに長いお経です。4世紀ごろからインドで編集されていたこの経典が中国に伝わり、740年ころ、新羅の僧、審祥(しんじょう)が日本に伝えて研究が始まりました。それまでの仏教を総合し、世界像を示しているこの華厳経に、盧舎那仏があらわされている。それは宇宙全体を総合する仏、宇宙的な生きた体として描かれているのですね。
さあ、奈良時代に入り、ひとつの国家として動きはじめた日本では、バラバラな豪族とか地域を、具体的な施策で統合して治める必要が出てきます。ではいったい、どのような方法がいいのでしょうか。
そこに出てきたのが、それぞれが似たようなものを照らし合い、お互いにお互いが映り合い、影響し合うネットワーク、そういう仕組みをつくるというアイデアでした。
つまり、ここで日本が取った政策とは、この盧舎那仏をいただいた華厳経の仕組みを使うことだったのです。華厳経には、それぞれの存在が一種の真珠のように磨かれた鏡の球で、盧舎那仏の光を受けて、お互いにお互いが映り合うような宇宙観が描かれています。日本という国をつくるために、この華厳世界をモデルにしたネットワークが、大仏のつくられた東大寺を中心に展開されていくんですね。
では、その方法は、具体的にはどのようなものだったのでしょうか。次回には、そこをお話ししましょう。
【次回は7月20日(火)、02 仏教世界観、Z=大仏の2回目です】
盧舎那仏(るしゃなぶつ)、あるいは、毘盧舎那仏(びるしゃなぶつ)といいます。盧舎那とは、サンスクリット語で、ヴィロチャナー、光を放つもの、という意味なんですね。
世界最大級の木造建築、東大寺大仏殿に収められている盧舎那仏は、高さが約15メートル強。この像全体が、3メートルもの高さがある巨大な蓮弁(れんべん=ハスの花びら)の上に座っているんですね。蓮弁に描かれた模様をよく見ると、これがまったく驚きなんです。
そこには、太陽系のような小宇宙が何億も集まり、銀河系のようなものができている様子がデザイン化され、線刻されています。これはまさしく現代にも通じる宇宙観ですよね。世界の中心にそびえる須弥山(しゅみせん)さえ、はるか下界の小さな宇宙の一つに描かれている。
この図を「蓮華蔵世界海図」といい、あらわされている広大な大宇宙を三千大千世界(さんぜんだいせんせかい)といいますが、この宇宙全体が、盧舎那仏の台座に描かれているんですね。
つまり、人間には計り知ることのできないほどの大いなる世界の上に座り、この世界を体現する仏、それが大仏、盧舎那仏なんですね。仏教がつくりあげた、おそらく最大、最高の仏像です。これが華厳(けごん)の仏なんです。
南都六宗のひとつで、最後にさかんになったのが華厳宗だ、と前回、タカハシ君がうんちくを語ってくれましたね。その中心経典は「華厳経」というたいへんに長いお経です。4世紀ごろからインドで編集されていたこの経典が中国に伝わり、740年ころ、新羅の僧、審祥(しんじょう)が日本に伝えて研究が始まりました。それまでの仏教を総合し、世界像を示しているこの華厳経に、盧舎那仏があらわされている。それは宇宙全体を総合する仏、宇宙的な生きた体として描かれているのですね。
さあ、奈良時代に入り、ひとつの国家として動きはじめた日本では、バラバラな豪族とか地域を、具体的な施策で統合して治める必要が出てきます。ではいったい、どのような方法がいいのでしょうか。
そこに出てきたのが、それぞれが似たようなものを照らし合い、お互いにお互いが映り合い、影響し合うネットワーク、そういう仕組みをつくるというアイデアでした。
つまり、ここで日本が取った政策とは、この盧舎那仏をいただいた華厳経の仕組みを使うことだったのです。華厳経には、それぞれの存在が一種の真珠のように磨かれた鏡の球で、盧舎那仏の光を受けて、お互いにお互いが映り合うような宇宙観が描かれています。日本という国をつくるために、この華厳世界をモデルにしたネットワークが、大仏のつくられた東大寺を中心に展開されていくんですね。
では、その方法は、具体的にはどのようなものだったのでしょうか。次回には、そこをお話ししましょう。
【次回は7月20日(火)、02 仏教世界観、Z=大仏の2回目です】
職業柄、かねてより、日本の伝統や文化を大切にしたい
理解したいと思っておりましたが
こんなに良くわかるページがあったとは。
これからも、勉強させてもらいます。
余談ですが、ワタシは法隆寺の近くに住んでおります!
RoseNo.04の中田文子です。
メッセージありがとうございます。
法隆寺の近くに住んでらっしゃるって
いいなぁ。
そうそう、昨日のニュースで
今の法隆寺は聖徳太子が建てたものではなく
再建されたものだってことがわかったとか・・・
といっても7世紀のことだから
やっぱり、すごい古いのんやけど・・・
La Forceさんのブログ見ました。
建築とタロットの組み合わせなんて
すごい魅力的!ワクワクするわー
これからも一緒にお勉強しましょうね!
ローズNO.6の小林きみこです。
いくら私でも奈良の大仏は知っています。
蓮の花にそんなものが描かれていたとは!
「蓮華蔵世界海図」!見たいです!
なんか、ものすごく見たいです。
どうした、私?
昔の人ってすごいですね、なんというか想像力が。
スケールもでかいですよね。
話を読んでいくうちに私の頭のなかも
プワーと広がっちゃいました。
↑注)ちょっとおかしくなってます。
大仏さんの名前初めて知りました。
難しい・・・なんであんな難しい漢字使うんやろ?
私には当て字くらいにしか見えない。
でも簡単に理解できないからすごい=尊敬・崇拝
になるのかもしれませんね。