オーストリア/スロヴァキア：将棋の旅 4

（３）「中欧」について

来年のヨーロッパ選手権はハンガリーのブダペストで開催される。これに合わせて、日本将棋連盟が、プロ棋士をブダペストに派遣するとともに、オーストリア・スロヴァキアでも将棋の指導・普及を行ないたい意向がある。その話をオーストリアのトマスとスロヴァキアのアダムに向けると、二人とも飛び上がって喜んでいた。是非実現するよう、本会でもお手伝いをしたいと思う。

ハンガリー、オーストリア、スロヴァキアはチェコ、ポーランドと合わせて「中欧」と呼ばれる。以前の「東欧」のことだ。古くは、１９世紀のオーストリア＝ハンガリー帝国の支配下・影響下にあったし、その後のナチスによる蹂躙や（オーストリアを除き）共産主義への組み入れなどの経験も共有している。今では、西欧でもなく、旧ソ連圏でもないアイデンティティを発揮することが期待されている。

将棋でいえば、中欧諸国でヨーロッパ選手権が開催されることが多い。2007年と2008年はチェコ、2010年はハンガリー、2012年はポーランド。そして、2014年は再びハンガリー。西欧の将棋指しも旧ソ連圏の将棋指しも参加しやすいのだ。これらの中欧諸国に将棋が根付いて、いずれは、ヨーロッパの将棋シーンの中心に中欧諸国が立つ日が来ることを私は思い描いているし、その実現を応援している。　　（2014-03-21）