That's the Way I Am

私の好きなものについて

「昔は良かった」なんて思わない

2012年01月17日 01時10分00秒 | diary
私は最近全然本を読まないのだけど
今読んでいる本が久々に面白くて
ハマっております。



その本の主人公は私より一回りくらい上
その主人公の境遇に共感するとともに
「時代の流れ」というものを改めて感じました。



私の中学時代
学校では
女子は家庭科、男子は技術(本棚作ったり~?)

高校では
女子は家庭科、男子は柔道



女性は結婚したら退職する人が
今よりかなり多く

夫婦別姓なんて
話題にもなっていませんでした。
そんな時代。



私は田舎で育ったので
長男は結婚したら親と同居
娘たちは結婚して家を出て行くのが当たり前。



姉、私、弟という3人兄弟の真ん中だった私
小さい頃から、母に
「この家は、弟が継ぐんだから
弟は長男なんだから、兄弟3人の中で、一番偉いんだから
あんたたちは、立ててあげなきゃダメ!」
と、ことあるごとに言われてた。

ところが!
弟は、成績はクラスの下から数えた方が早いくらい
勉強はダメダメで
体が弱くて、運動も全然出来なくて
何かあるとすぐ泣いて母にいいつけに行く
卑怯なヤツだったから
「兄弟の中で一番偉い」なんて言われても
全然納得出来なかった。



そんな両親の価値観に猛反発を覚えた姉は
フェミニストになりました。

私もかなり姉の考え方に影響を受けました。

姉も私も、いつもジーンズにTシャツ。
ノーメイク。



私が20代の頃、バブル経済まっただ中で
女性はワンレン、ボディコンが大流行していましたが

「女性らしさ」を強調したファッションには
ものすごく抵抗を感じていました。

「素敵」「やってみたい」と憧れることはありませんでした。



今読んでいる本の中で
主人公が、だいたいこんなこと言ってる↓



勉強を頑張っていい成績をとって
運動を頑張っていい記録を出して
自分の意見をしっかり持って
それをハッキリと主張しても

それが男の子であれば、褒め称えられ賞賛されるのに

女の子である自分は
「女のくせに生意気
女のくせにでしゃばるな」と非難される




主人公の言葉は、なんだか懐かしい。
それは、私も若い頃
漠然と抱えていた気持ちでした。



主人公はアメリカ人女性なので
日本よりかなりフェミニズムは進んでいましたが
やはり、私と同じように言われて育って

「女性であることはつまらない
女性である自分は劣っている」と感じるようになり

女性である自分に誇りを持てず
ボーイッシュな服装を好み
「自分は女性である」という事実が
自分の中で、しっくりと落ち着かない状態で成長していきます。



「私は女性だ」という事実と
自分の精神が折り合いがつかない...

私も10代、20代の頃
そうだったのかな、と、今思います。



私のような感覚を味わうことなく
「自分は女性だ」という事実を自然に受け止め
女性らしいファッションを楽しんで
女性であることを誇りに思い、楽しんできた女性の方が
圧倒的多数だと思いますが...。

マハラジャのお立ち台の上で
短いスカートはいて
羽のついた扇子を持って踊ることは
社会現象になっていたし



さてさて
私が大学を卒業した年は
男女雇用機会均等法元年

それからあっという間に
家庭科は男女共修になり

看護婦、保母という呼び名もなくなりました。



私がまだ20代、就職したばかりの頃
高校時代の友達に会った時
こんな愚痴聞いた

「別の会社に就職した友達に
久しぶりに会ったとき

『職場の飲み会の時は
私たち(女性社員)はホステスだよね~
お酌して、肩に腕回されたり、抱きつかれたり』

なんて愚痴聞いて
『ああ、私だけじゃないんだ
どこに就職しても、同じなんだな』
と思った。」

...って話聞いて驚いた。



セクハラなんて言葉もなかった時代
友達同士で愚痴を言い合って
慰め合って、ただ、耐えるしかなかった時代。



でも、もう、そんな時代は終わりました。



今は
「男の子なんだから泣くな」とか
「女の子なんだからおとなしくしなさい」
なんて言い方をする親は見なくなりました。

「長男が、兄弟の中で一番偉い」
なんて育て方している人はいないんじゃない?



なでしこジャパンが世界一の強さを証明した時
自分の中の雄々しさ、猛々しさを
思う存分暴れさせて
「屈強でたくましい女性」を謳歌しているメンバーの姿は
本当に眩しかった。



私が若かった頃は
女性がサッカーするなんて考えられなかった。
「女のくせに」って攻撃されていただろう。

「雄々しさ、たくましさ」は
隠して、弱いふりして生きていった方が
生きやすい時代だったと思う。



でも今
「女々しい」とか
「女の腐ったような」とかいう言い方も聞かなくなりました。



時は流れて
変わりましたね~



何が言いたいかと言うとね



最近
「ALWAYS 三丁目の夕日´64」
っていう映画のトレーラーよく見るじゃないですか

このトレーラーみる度に

「昔はのどかで
地域コミュニティは信頼感でしっかり結ばれていて
未来に対する希望に満ちていて...

ああ、昔は良かったなあ...」

なんて気持ちが
不覚にも、チラチラとわいてくるのね。



いやいやいや、待て待て!
あの頃の希望は
経済的な成長に裏打ちされていたからであって

人生の選択肢は殆どなかったからこそ
人は迷うことなく、ただがむしゃらに働いて
そのことに不安や不平を感じることはなかっただけの話。



確かにあの頃
今よりも良いことはたくさんあった。

でも、当時の良いことの多くは
失ってしまったかも知れないけど

より良く変わってきたことも多いと思う。



女性としては
良くなってきたことの方が多いと思う

圧倒的に生きやすくなっていると思う。

まあ、選択肢や可能性が増えた分
迷いや不安やストレスも増えてしまった。

責任も増えたから
状況は厳しくなってきているけれど

少なくとも
私が20代の頃感じていたみたいに
女性であることを誇りに思えない...

「自分は女性だ」という事実を
なかなか受け入れられない...なんて女性は
今、殆どいないんじゃないかな?



と、言うわけで
「昔は良かった」なんて60年代の風景の暖かさに
紛らわされないぞ!



そう思っている人が
私の他にもいると良いな~なんて思うわけです。

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