That's the Way I Am

私の好きなものについて

火花読んだ

2016年01月12日 18時11分31秒 | diary
この人にしか書けない題材だと思った
芸人たちの生活感が非常にリアルで
面白かったが
それは作品そのものから感じたというより
「ピースの又吉が書いた」ものだから
そう思ったんじゃないかな

「僕」の台詞も
「僕」の語る情景も
みんな又吉の声で聞こえてきた

第二作はあるのか
小説家として
芸人の世界以外を扱うことはあるのか?
ちょっと興味深い



夢に人生を賭けて
負けた時に失うものの重大さ

人に笑われて
「気楽な人生ね」と思わせて
実は計りしれない恐怖と
いつも一緒にいる

「何も考えていない
いい加減なこと言って
ふざけているだけ」と思わせて
実は芸人の仮面の下には
こんな文学があるのだ



文学を愛する青年が
「破天荒なことをやって人を笑わせることだってできるさ」

道化師を演じて
「愚かな奴」と笑われて

小説が芥川賞とって
嘲笑っていた人達が掌を返したように
「素晴らしい」と崇め奉り始める

一連の騒動を
高い所から「愉快、愉快」と
眺めて笑っているのではないかな?



それとも、芸人が
他の芸人とは違う、芸人としてのアイデンティティーを
死に物狂いで探して

「古本屋街好きの、ちょっと変わった芸人」
という立ち位置を見つけて
必死に「普通の芸人じゃない」ことをアピールして
変人を演じるうちに
「火花」という作品が生まれたのだろうか



どちらが本当の自分か分からないけど
そんなふうに
仮面を付けて演技して

自分の予想を超えて大騒ぎしている聴衆を見て
仮面の下で
驚きつつも笑いをこらえている
...そんな印象を受けました

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