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映画 ■■大統領の執事の涙■■

2014年02月20日 23時14分03秒 | 映画
他に面白そうなのがないから...
って
消去法的に選んだ映画だったんだけど
観て良かった!



映画 ■■大統領の執事の涙■■



Yahoo映画の評価(2014年2/3現在) 4.14(5点満点)



私自身がとても興味を持っている題材なので
高い評価となりました。

映画の訴えている政治的メッセージに
反対する意見を持つ人には
いまいましい映画だと思います。

或いは、公民権運動や政治や
アメリカの現代史に興味の無い人には。
あまり楽しめない映画だと思います



キング牧師の妻コレッタ・スコット・キングの自伝を
以前、英語のリーディング教材で
読んだことがありました。

その自伝に書かれていた
バスライドや、レストランでの抗議運動
黒人達のデモに警察が放水や警察犬をけしかけたりして
暴力的に妨害した様子が全米に中継されたこと
キング牧師の非暴力運動
ブラック・パンサー、マルコムX
KKKなどが出てきて

それまで文字で得てきた知識を
時系列に復習できて
映像にして、音や色彩を伴って
その時代の音楽、風景、ヘアスタイルも交えて
観ることが出来
更に、その時代の息吹
実際に関わっていた人達の心情が
伝わってきて本当に興味深く面白かったです。



公式サイトを見て初めて
マライヤ・キャリーも出ていたって!?

アイゼンハワー大統領を演じていたのは
ロビン・ウィリアムズで

ジョン・F・ケネディ大統領は
『ヘアスプレー』『魔法にかけられて』の
ジェームズ・マースデン

レーガン大統領はアラン・リックマンとか
全然気付かなかった!

特にレーガンは本人そっくりでした
多分、特殊メークで本人そっくりになるよう
頑張ったんだろうな、と思います

JFKが若々しくて颯爽としていて
とても好感持てました
ジェームズ・マースデン、いいね!


















ネタバレ感想

奴隷の子どもとして生まれたセシル
父親に「白人には決して逆らうな」と教えられて育ち
その父親は、白人に理不尽に殺されてしまいます。



農園を抜け出し
給仕する仕事を手に入れ
そこでまた
「空気のような存在になれ
相手が何を求めているか読み取れ」
とたたき込まれます。

飲み込みが早く
機転が利き、洞察力に優れていることも加わって
優秀な執事であると評判を呼び
ついにホワイトハウスでの仕事の申し出を受けます。



あの時代に
ワシントン通勤圏にある一戸建てに住むなんて
かなり余裕のある生活だと思うけれど
満足な教育も受けていない黒人が
ここまで成功した例は
あまりなかったのではないでしょうか?
運も良かったし
有能であった上に
人一倍努力もした結果なのだと思います。



さて、セシルには2人の息子がいますが
長男は公民権運動に傾倒し始め
それは「白人には決して逆らうな」をポリシーとしてきた
父親・セシルと対立することになります



息子は
白人のご機嫌を取って奉仕する
執事という父親の仕事を軽蔑します

そして、同じ仕事内容をしても
白人よりかなり低い給金しかもらえないこと
昇格して、より責任のある地位に就くことは
望めないことに不満を感じつつも
公平な扱いを訴えない父親が理解出来ません



父親セシルは、じっと耐えてきた世代であり
息子は、「もうこれ以上耐えられない」と
拳を振り上げ始めた世代なのです

父親と息子の確執
世代間の考え方の違い

そして、父親の生き方を批判する息子は
その父親が「白人には決して逆らわない」ポリシーで
稼いできたお金で大学に通っているのです

父親本人は、どんなに望んでも
叶えることの出来なかった教育のチャンスを
デモや集会に参加するばかりで
無駄にしている息子が腹立たしい限り




自分の父親が執事であることを
恥じ入りながら告白するルイスを
キング牧師は優しく諭します

「父親のやっていることも立派な公民権運動なのだ
白人の元で忍耐強く仕事をし続けるなかで
黒人の優秀さ、有能さを白人にアピールしてきた
そういう地道な努力の末に
今ようやく
我々は声を上げられる時が来たのだ」

このキング牧師の言葉が
私はとても嬉しかった
キング牧師は
声をあげたくてもあげられなかった人達のことを
よく理解しています



執事である父親も
公民権運動に打ち込む息子も
目指しているものは同じ

肌の色にかかわらず
優秀な人間には
平等にチャンスが訪れる社会を求めているのです



セシルの次男はベトナム戦争で戦死し
アーリントン墓地に埋葬されます

彼もまた彼のやり方で
自分たちもまた
アメリカ国民であることをアピールし
アメリカ人としての市民権を
主張したように私は感じました



「白人には逆らうな」がポリシーだった父親セシルも
ある日、遂に
黒人の給料は同じ仕事の白人より低いこと
昇格のチャンスがないことの改善を訴えます

彼にとっては
それまでの生き方を180度変える行動だったと思いますが
公民権運動の盛り上がりと
息子達からの影響を受けて
変わっていったのだと思いました



そして、レーガン政権の時
再度、不公平を訴えます
「不満があるなら辞めろ」と言われ
初めて「辞めます」と宣言します

「白人には決して逆らうな」
「空気のような存在になれ」と
自分に言い聞かせてきたセシルが
初めて白人に逆らい
平穏な空気に石を投げ
大きな波紋を広げた瞬間でした



結果的にホワイトハウスで働く黒人執事として初めて
昇格を果たします



公民権運動の歴史の中で
特に重要な
歴史が変わっていくポイントを
彼が仕えた歴代の大統領の
有名な演説で語っていくのも
非常に印象深く

それが、最後のオバマ大統領の
Yes, we can.
の演説に繋がる所が実に秀逸な構成で
本当に感動的でした



セシルが綿花農園から逃亡してきた時
黒人の大統領が生まれるなんて
夢にも思っていなかったでしょう

でも
執事として正直に勤勉に働いてきたセシルも
この輝かしい歴史の1ページをめくった一人なのです



オバマ大統領もこの映画をご覧になったそうですが
オバマさんを陰で支えてきた
たくさんのセシルのような人達の存在を
忘れないで頑張って欲しいな~と思いました。

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2 コメント

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こんばんは (ゴーダイ)
2014-02-22 23:55:43
やっと見れました!
いや~終始泣いてた映画って初めてかも・・・(^_^;)

>そして、父親の生き方を批判する息子は
その父親が「白人には決して逆らわない」ポリシーで
稼いできたお金で大学に通っているのです

ここらへんすごい切ないですよね。
辛くてもじっと耐えなければ生きていけなかった世代と、社会を変えるために立ち上がり出す世代の、対比がちゃんと親子の葛藤として描かれていてうまいなあって思いました。
そして、最後「空気」である執事をやめて「お父さん」になるっていう(´;ω;`)

キング牧師の言葉よかったですよね。やっぱり社会を変えるのは愛と寛容なのかなあ
返信する
良かったよね~(TωT) (ann)
2014-02-24 02:21:28
大好きな映画、ゴーダイさんも泣きながら観てくださったって、とても嬉しいです。

父親と息子の確執って、普遍的なテーマも入っているのがより面白くなっていましたよね。
で、生涯わかり合えずに終わるのではなく、父親も息子に影響を受けて変わっていき、息子も年取って丸くなって、最終的には同じゴールを共に目指しているのが感動的でした。

キング牧師の非暴力主義は理想だと思うけど、実践するには「自分は死んでも良い」という覚悟や度重なる肉体的苦痛や恐怖に勝つ強さが必要なわけで...
簡単なことじゃないですよね

自分はこの「使命」をもって、この世に送られてきたと思っていたのかな...

でも、そういう強固な覚悟のある人って、人を動かす力を持っていますよね
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