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私の好きなものについて

映画 ■■ものすごくうるさくて、ありえないほど近い■■

2012年03月03日 20時34分18秒 | 映画
「愛を読むひと」のスティーヴン・ダルドリー監督作品。
アカデミー賞候補とも言われていたので
期待していました。



映画 ■■ものすごくうるさくて、ありえないほど近い■■

☆☆

日本の Yahoo ムービーの評価 3.95(5点満点)



アメリカの同時多発テロで
父親を失った男の子(オスカー)が
父親が残した鍵と
鍵が入っていた封筒に書いてあった「BLACK」という言葉を頼りに
この鍵が開けるものは何なのか
探しに出かける



それは
同時多発テロで、最愛の人を突然亡くした人たちの
「なぜ?」という思いの
答えを探しに行くよう。

なぜ、こんなことになったのか?
なぜ、こんなに多くの人たちが
  突然、深い悲しみに突き落とされなくてはならないのか?
なぜ、あの人は突然いなくなったのか?
なぜ、あの人が?
なぜ、私がこんな悲しみに囚われなくてはならないのか?



いやいや
ものすごく賢くて、ありえないほど繊細!

非常に個性的な子どもだとは思うけど
やっぱり男の子だからなのか
何を考えているのか、私には分からない
私とは全く違う思考回路を持っている



よく男性は「デリカシーがない!」とか
「鈍感!」とか言われているけれど

いやいや、そんなことはない。
ものすごく傷つきやすく
ナイフのような、ガラスの破片のような存在。
うっかり近寄るとケガをする
自らが持つ鋭利な破片で
自分自身も傷つけている。




























ネタバレ感想



なぜこのようなことが起きてしまったのか
なぜアメリカはアルカイダに
攻撃されてしまったのか

同時多発テロ後には
テロ行為の発端となった理由
その政治的背景を探る番組が
多く作られていたけれど

大切な家族を亡くした人たちにとってみれば
そんな理由は全く心に届かないし

たくさんの番組が
歴史を紐解いて、原因を探ろうとすることが
遺族の心情からすると
何と意味の無いことか!
と、初めて気づきました。



残された人たちはみんな
「なぜ?」という問いを問い続けていますが
誰一人として
納得する答えを得ることが出来ないのです。



父親が残した鍵が開けるものを探すオスカー。
もし、見つけることが出来たら

父親が残してくれた謎の答えを見つけたら
答えの出ない「なぜ?」の迷路の中で
迷い続けている自分も
一つ、心が軽くなるかも知れない
何か、答えを見つけられるかも知れない

そんな期待を感じました。



しかし、実際には
鍵は父親がオスカーに「解いてごらん」と残した
ミステリーではなく

ただ単に、父親が買った骨董品の壺の中に
前の持ち主の鍵が入っていただけの話。



そうして振り出しに戻る。

オスカーは相変わらず
「なぜ?」の迷路の中で途方にくれたまま。



そして、オスカーだけじゃない。

911で愛する人を突然失った人たちは
みんなみんな

事件から10年経った今も
「なぜ?」の答えは見つかっていないと思います。

これからもずっと
「なぜ?」という気持ちを抱えて
生きていくのだろうと思いました。



でも、「探していた答えは見つからない」
という結論に出会ったことで
一つ、ストンと下りたような気がしました。

人生の中にはこんな風に
算数の答えのようにスッキリと答えが出ないことが
たくさんあります。

「答えが出ないもどかしさを抱えたまま
生きていくこと」を学んで
少年も、人生の複雑さを経験し
階段を一歩、上ったように見えました。

そして、自分と同じように
答えの出ないもどかしさを抱えている
たくさんの人に出会いました。

多くの人と、このもどかしさ、苦しさを
共有していることが
オスカーの心を暖かくしたのではないかと思います。



探していた鍵の開けるものは
オスカーが期待していたものではありませんでしたが

家に帰ってみれば
自分は
母親にずっと見守られていたのだと気づきます。



オスカーも、母親も
オスカーを見守っていた、声の出ない「間借り人」も
オスカーが訪ねて回ったたくさんのブラックさん達も

オスカーの探検の終わりには
みんな、少しだけ、何かが変わっていたような気がしました。

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